■ 浜口隆則の経営論 Vol.3:素直さという強さ ■
素直でいることは、難しい。
なぜなら、人が教えてくれる様々なことを、
素直に受け取ってみるのでなく、
拒否したほうが「自分を持っている」
という「感じ」がするからだ。
経営者は「自分」を持っていたい人種だ。
それはそれで悪いことじゃない。
しかし、その欲求を簡単に満たそうとするから、
結局、本当の自分を持てない。
自分を持っていたいと強く願う経営者は、
その「感じ」を味わいたいから、
手っ取り早く「拒否をする」
「素直にならない」ということを、
手段として無意識に使ってしまう。
そうすることで、自分を守ろうとする。
しかし、素直さを放棄して、拒否から得られる、
「自分を持っている感」は偽物だ。
あなたの本来の姿は、今のあなたではない。
もっともっと成長できる、あなたがいる。
本当の自分は、もっと先にいる。
それにもかかわらず、
今の自分で簡単に満足するのは、もったいないことだ。
それは社会の損失でもある。
経営者は成長し続けなければならない。
会社のためにも、社会のためにも、
関わるすべての人のためにも、そして自分自身のためにも、
成長し続けなければならない。
そのためには、まず、耳をふさぐのを、やめることだ。
そうやって自己満足の殻に閉じこもるのを、やめることだ。
本当に「自分を持っている」者は、
拒否から得られる「自分を持っている感」など必要ない。
だから、実は、素直になれる人こそ、
本当の「自分を持っている人」なのだ。
耳を、ふさいでいないか?
素直さを、弱さだと勘違いしていないか?
素直さを、もっと大切にしよう。
― 浜口隆則・著『社長の仕事』より