- 2016.09.22
- 20年後の結論
起業して約20年が経ちました。
「国が自分に何をしてくれるかを問うのではなく、
国に対して自分に何ができるかを問いなさい。」
20代の中頃、J・F・ケネディーの言葉に心を動かされてから「自分に何ができるのか?」を自問し続けた結果、
現代は経済が人の幸福に大きく影響する時代
↓
経済を活性化させるのは起業家
↓
日本では起業家が育つ環境が劣悪
↓
このままでは危ない
↓
起業に挑戦できる社会を創ろう
と考えて「起業を支援する」というミッションを持った会社を起業しました。
「日本の開業率を10%に引き上げます!」を旗に掲げて
「起業環境の変革に繋がる」と思ったことを一所懸命にやってきました。
色々なことに挑戦してきました。
その過程で数千社の会社と関わり「起業の現実」「経営の現実」を
リアルに目の前で見てきました。(*1)
それは、残念ながら、甘いものではありませんでした。
20年間、そんな厳しい現実を経験してきて得た一つの結論は、
「経営を安全な活動にしないといけない」
という強い想いです。
昔、旅は危険でした。自国を出て世界に出るのは、
命のリスクをかける行為であり「危険な活動」でした。
ですから、一歩踏み出す人は極少数の「冒険家」しかいませんでした。
しかし、今は、冒険家ではなく、普通の人でも世界中を旅することができます。
命を天秤にかける必要はありません。
もちろん、現代でも危険な場所や一定のリスクはあります。
しかし、人類が世界へ出始めた大航海時代などと比較すると、
圧倒的に多くの人が世界中を旅することが出来るようになりました。
なぜでしょうか?
「安全になったから」です。
インフラや移動手段の圧倒的な進化によって、
誰もが安全に旅をすることができるようになりました。
旅をするのに「死ぬリスク」などを覚悟する必要など無くなりました。
私たちは、そんなリスクを深刻に考える必要もなく、
海を越え、地球の裏側にでも行くことができます。
経済や時間の制約はありますが、
命をかけなくても、行きたい所に行くことができます。
ですから、今では、多くの人が世界に踏み出して行きます。
安全になったから、人は世界への第一歩を踏み出して行けるようになったのです。
経営も同じです。
経営活動が危険で、命を覚悟するような活動である限りは、
それに挑戦しようとする人は少ないままです。
大きなリスクを取れる少数の冒険家だけになってしまいます。
もちろん、現代では、経営活動に失敗しても命が無くなることはありません。
しかし、経営の失敗は経済的なことだけではなく、
アイデンティティーに影響するなど、深い傷を残すのも事実です。
経営という活動そのものが安全になってリスクが少なくなれば、
起業して経営に挑戦する人は増えるはずです。
また、経営が失敗する確率も下がりますから辛い思いをして経営する人が少なくなります。
楽しそうに経営活動をする経営者。
ハードではあっても日々の仕事が充実していて輝いている経営者。
そんな経営者が増えれば「いいなあ」「自分も経営者になりたい」と思う人が増えるはずです。
子供がスポーツ選手やアイドルに憧れるように。
そして、一歩を踏み出す起業家が増えるはずです。
そうやって次世代の「価値」と「雇用」を生み出してくれる起業家が生まれる土壌が出来ます。
このように「起業に挑戦したい」と少しでも思った人たちが、
一歩を踏み出しやすい世界にするには「経営活動そのものの平均的な安全性を高める」しかないと考えています。
一歩を踏み出したいと思った人が、世界中に行けるようになったように。
どんな活動であれ、その活動そのものの安全性は参加者に大きく影響します。
ですから、私たちが今、日々、考えているのは、
「どうやったら経営活動が安全になるのか?」
ということです。
創業して20年が経ち、私たちが目的として越えようとしている壁は、
相変わらず目の前に高くそびえ立っています。しかし、
「経営を安全にした会社」
次の20年後には、そう呼ばれる会社になることを目指して、
これまでと同様、ミッションに向かって、日々、経営活動が持つリスクと対峙し続けて
「経営活動を安全にしていきたい」と考えています。
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(*1:取引のあった会社で4000社以上。セミナーや出版などのつながりを考えると数万社とのつながりがあります)