「人に仕事を任せるのが難しい…」
経営者支援をしていると全国の経営者からよくいただくお悩み事です。
このように多くの部下のマネジメントに苦労している経営者の方も多いのではないでしょうか。
今回は部下に仕事を任せる上で守るべき3つのポイントと
知っておくと得する人間の心理についてご紹介します!
特に心理についての内容は、
なかなか仕事を頼みづらい人にとっては必見の内容となっていますのでぜひご一読ください!
部下に仕事を任せられない人の特徴
まずは仕事を任せることができない人の特徴を見ていきます。
その特徴は大きく分けて以下の3つです。
1:自分の方が仕事が早いと思っている
2:部下にミスをされると面倒くさい
3:部下の能力を適切に理解していない
それでは一つずつ見ていきます!
1:自分の方が仕事が早いと思っている
1つ目の特徴は「自分の方が仕事が早いと思っている」です。
何度もその業務をこなしている自分の方が初めて業務を行う部下よりも早くできるのは当然といえば当然ですよね。その上、説明をする時間も割かなくてはならない。こうなってくると、さらに時間がかかります。説明をしていては、業務が止まってしまう。だからなかなか仕事を任せられない。こんな状態に陥っている方が多いのではないでしょうか。
しかし、説明に時間がかかるとはいえ一度説明してしまえば、自分が別の業務を行っている時に、部下が同時並行で作業できます。同じ時間で動く手が二倍とは言わずとも大幅に増えることは間違いないのではないでしょうか。
それに、部下の数が2人3人と増えていけば、同時並行で進められる業務の数は人数分増えていきます。そうなると、どんどん自分の業務を下ろしていく方が、結果的にスピードが早くなると言えるでしょう。
2:部下にミスをされると面倒くさい
確かに部下も同時並行でやった方が業務は早く進む。
とはいえ、ミスをされると修正に時間を食ってしまう・・・。
だったら最初から仕事を任せない方がいいのではないか・・・。
ということで2つ目の特徴は「ミスをされると面倒くさい」です。
ここでいう”面倒くさい”とは、
二度手間になる・後々時間がかかるといったニュアンスになります。
現場レベルだと、初期のうちはミスをしても大きな問題にならない仕事を任せることになるとはいえ、どうしても修正には時間がかかってしまうもの。同時並行で業務を早く終わらせるために任せたのに、余計の仕事が増えてしまっては本末転倒ですよね。
この問題を解決する鍵は、仕事の任せ方にあります。
どうやって任せるべきか、何を伝えるべきか、本記事の後半部分で解説していきます。
3:部下の能力を適切に理解していない
最後の特徴は「部下の能力を適切に理解していない」。
部下の評価を過大にしても過小にしても、良い仕事の任せ方はできません。
相手の苦手な分野の仕事を任せてしまうと、
当初の見込み以上に時間がかかったり、ミスを多発させてしまうかもしれません。
部下がどんな能力に長けているのか、
逆に何が足りていないのか、これらを把握しておく必要があります。
そのためには、部下と日々コミュニケーションを取り、相手を把握しておく必要があります。接点を増やして、相手の得意不得意を理解するようにしましょう。
仕事を任せる人が知っておくべき人間の特性
ここまで、業務レベルでの特徴を3つ挙げましたが、
ここで一つ、仕事を任せられない心理的な障壁をご紹介します。
ハラスメントの問題が目立つようになったり、
部下と年齢が離れていたりして、
仕事を任せると嫌がられるのではないか?
という悩みを抱えている方も少なくないかと思います。
今回はスティーブ・ジョブズも実践していたという技術の載った書籍『人に頼む技術 コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学』より”頼み事をいたら嫌がられるかもしれない、という誤解”についてご紹介します。
先に内容の要約をすると、無愛想な実験者ミスター・ボイドから「実験のための予算が足りない。今渡した謝礼は返してくれないか」と言われ、得られるはずだった謝礼を返した人たちは、その金額が高ければ高いほど、ミスター・ボイドへの好意を抱いたというものです。
実は頼み事やお願い事を聞いた人は、依頼者に対して良い印象を持つということが実験で分かったため「もしかしたら嫌われるかもしれない」という思いを捨てて、ぜひ仕事を任せていきましょう。
ほとんどの人は、”助けることは、助けられることよりも、はるかに印象を良くするものだ”という間違った考えを抱いています。
(中略)
一方、助ける側に生じる効果は一貫しています。助けることで、相手に対してさらに好意を抱くようになるのです。この現象をよく表しているのが、1960年代に心理学者のジョン・ジャッカーとデイビッド・ランディが実施した、一風変わった実験です。実験者は「ミスター・ボイド」と名乗る人物。研究室を訪れた被験者の大学生に、「質問に答え、正解数に応じて報酬が与えられる」という実験の内容を説明します。ただし、ボイドは(わざと)とても愛想悪く振る舞います。冷たく抑揚のないしゃべり方をし、友好的な素振りなどみじんも見せません。「同じことを繰り返したくないから、私の話をよく聞くように」といった感じで被験者に実験手順を説明します。
(中略)
そして、本人から直接頼まれて金を返したことでミスター・ボイドに好意を抱くようになる効果は、金額と直接的な関係があることがわかりました。被験者は返した金の額が大きくなればなるほど、ミスター・ボイドに好意を抱くようになっていたのです。つまり、嫌な印象を抱いている人の頼み事に応じることで、その相手への嫌な印象が薄れます。さらに、大きな頼み事に応じると、その相手が良い人のように思える効果が生じます。
(中略)
このことからわかるように、実は、助けを求めることで相手から良くない印象を持たれるかもしれないと心配する理由はほとんどありません。
仕事を任せる3つのポイント
1:明確な期限を設定する
ではここから、実際に仕事を任せる上で守るべき大切なポイントを3つ紹介します。
まずは「明確な期限を設定する」ことが重要です。
仕事を任せる段階から、いつまでにやるべきかを共有することで、お互いに共通認識を持てます。共通認識があることでその後のやりとりがスムーズになったり、見込みを立てて動くことが可能です。
”明確な”期限は「3日後の金曜日まで」という粒度ではなく、「3日後の金曜日13時まで」くらい明確にすべきです。もしも金曜日までという設定をしてしまっていたら、自分は13時までと思っていても部下は退勤の17時をイメージしているかもしれません。この認識のズレをなくすためにも期限は明確な必要があります。
2:優先順位を決める
明確な期限の共通認識が取れたら、次は優先順位も決定してあげましょう。
部下が他の業務も持っていた時に、この仕事の優先度は他のものと比べてどの程度なのか、部下の自己判断ではなく上司の目線から判断してあげることが大切です。
優先順位を決めるには、必然的に部下が抱えている他の業務を把握することにも繋がるので一石二鳥ともいえます。業務量に応じて、期限を変更する必要が出るかもしれません。
このように、仕事を任せる段階から明確な期限の共通認識を取り、着手している業務内容も共通で認識できていると、スムーズに依頼できるでしょう。
3:進捗をこまめにチェックする
ここまで仕事を任せる段階で注意すべき2つのポイントを見てきましたが、最後は進捗の管理です。仕事を振った後、業務が滞りなく行われているのかチェックする必要があります。
部下に仕事を任せられない人の特徴2の「ミスをされると面倒くさい」という問題は、この進捗管理を疎かにしていると頻発してしまいます。
定期的に状況の報告をさせることで、仕事が間違えていないか、予定通り期限に間に合いそうか、といった情報を確認できます。たとえミスをしていたとしても、こまめに確認をすることで、期限ギリギリに発覚して焦ってしまうなんて事態には陥りません。
昼休憩前、退勤前、2時間に1回など区切りを明確につけながら報告をさせてみてはいかがでしょうか。
仕事を任せることは長期で見ると会社全体のメリットに
いかがでしたでしょうか。
以上3つのポイントを押さえて部下に仕事を任せていけば、同時並行で業務は進んでいき、徐々に部下も成長します。部下が成長し、業務の質と量が向上することが結果的に会社としての生産性を上げることになります。
最後に、部下に仕事を任せて生まれた時間を有効活用するためのレポートをご紹介します。
価値のあるところに時間を使っていくことで、さらに会社全体の底上げを図っていきましょう。
【ライター】
三富 大雅
早稲田大学スポーツ科学部
実践起業インターン【REAL】2期生
ばあごはん副代表
大学では、健康行動科学を専攻、特に「座り過ぎが身体へ及ぼす影響」について研究。早稲田大学×株式会社ビジネスバンクグループによる実践的な起業プログラム『実践起業インターンREAL』の二期生。シニア×学生のコミュニティ創生を目指す”ばあごはん”の副代表を務める。
【監修】
野田 拓志
株式会社 ビジネスバンクグループ
経営の12分野ガイド
早稲田大学非常勤講師
大学時代、開発経済・国際金融を専門とし、 その後「ビジネス×途上国支援」を行う力をつけるために一橋大学大学院商学研修科経営学修士コース(HMBA)へ進学。 大学院時代に、ライフネット生命の岩瀬氏や元LINEの森川氏に対して経営戦略の提言を行い、そのアイデアが実際に事業に採用される。 現在は、「社長の学校」プレジデントアカデミーの事業部長として、 各地域の経営者の支援やコンサルティングを行う。2017年4月からは早稲田大学で非常勤講師として「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」を行う。