PEST分析に興味はあっても、以下のような悩みを持つ場合が多くあります。
・PEST分析って何?
・PEST分析のやり方は?
PEST分析はビジネスを取り巻く外部環境の中で、間接的に影響をもたらす要素を整理・評価できる方法です。
PEST分析では事業の機会または脅威になる動向を中長期的に把握でき、分析結果で得られる情報は経営戦略を策定する際に不可欠です。
この記事では、PEST分析の概要、実施方法やコツとともに、分析事例や実施上の注意点を順にお伝えします。
この記事を読むと、PEST分析を通じて市場の動向を把握できるようになり、企業戦略のあり方や具体的な施策が考えやすくなります。
PEST分析の概要
PEST分析は、戦略検討に用いるマーケティングフレームワークとして、認知度が高い分析手法です。
ビジネス環境の把握が必要な場合に利用されるケースが多く、既存事業・新規事業問わず利用可能な汎用性の高いフレームワークです。
ここでは、PEST分析のあらましや目的、分析要素などの基本情報を以下4つに分けて整理します。
1.マクロ環境を分析するPEST分析とは?
2.PEST分析の目的
3.PEST分析における4つの構成要素
4.PEST分析の細分化版:PESTEL分析
経営戦略の策定の一環として、PEST分析をはじめて取り組む場合も、久しぶりに実践しようと考えている場合も、基礎を押さえてから着手しましょう。
経営戦略の選択に迷ったり困ったりしている方はこちらを参考にしてください。
» 「経営戦略とは?」~優れた経営戦略を立てる3つの基本~定義・種類・フレームワークをご紹介
マクロ環境を分析するPEST分析とは?
PEST分析は、運営しているビジネスに関する外部環境が中長期的に及ぼす影響を整理・分析するために用いるマーケティングフレームワークです。
アメリカの著名な経営学者コトラー氏により提唱されたフレームワークとして知られ、マーケティングに関する授業や研修で頻繁に取り上げられます。
PEST分析では、ビジネスに直結する個別の事象ではなく、長い目で影響を及ぼす事象を取り扱うため、一見ビジネスとの関係性が薄く見えます。
しかし、事業の周辺で発生した事象が長い年月を経て影響力を発揮するケースも多く、PEST分析はそのような事象を網羅的に分析するのが得意です。
PEST分析の目的
PEST分析の実施目的は、ビジネスに関連するマクロ環境の変化を捉えて、市場競争に勝ち残れる戦略や施策の策定と実行です。
世の中の動きは、足元のビジネスには影響を及ぼさなくても、中長期的には影響するケースが多いです。
マクロ環境とは、政治や社会の動向など、自社では制御できないものの、事業に対して影響力のある環境要素を指します。
例えば、日本の人口が減少傾向を受けて、国内事業が主力だった企業が海外進出を始めるケースは、まさにマクロ環境の変化を見据えた取り組みです。
マクロ環境の動向に逆らうのは困難であり、世の中の大きな流れを正しく把握するために、PEST分析を実施する必要性があるのです。
PEST分析における4つの構成要素
PEST分析において、分析対象となる要素は4つに分類されます。
分析対象として収集した情報は、以下の4要因に仕分けして、要因ごとにビジネスに及ぼす内容を分析・整理します。
1.Politics:政治的要因
2.Economy:経済的要因
3.Society:社会的要因
4.Technology:技術的要因
それぞれの要因で収集すべき情報を明らかにして、効率よく分析作業を進めましょう。
構成要素その1:政治的要因
政治的要因では、政治を起点とする変化内容から、ビジネス環境に影響をもたらす可能性のある要素を整理します。
政治的要因に関する情報例として、具体的には以下が挙げられます。
【法令制定・規制緩和・税制変更・外交動向・金融政策・国内外の政治動向等】
政治的要因に関する動きは、現時点で変化や影響を感じにくい場合も少なくないため、中長期的な影響度を踏まえて分析しなければなりません。
構成要素その2:経済的要因
経済的要因では、経済的な変化が及ぼす自社の影響内容や影響度に着目します。
経済的変化は、自社に限らず顧客や調達先などサプライチェーン上の利害関係者にも同時に影響をもたらす場合も多くあるため、重要な要素です。
経済的要因に関する情報例として、具体的には以下が挙げられます。
【国内外の景気・物価動向・雇用情勢・金融動向(為替や金利)・経済成長動向等】
主に政府や中央銀行が開示しており、経時変化を押さえるのがポイントです。
構成要素その3:社会的要因
社会的要因は、生活に影響する事象であり、市場の需要や顧客の行動・趣向に変化を及ぼす要素を取り上げます。
社会のあり方が変われば、求められる製品やサービスも変わるためです。
社会的要因に関する情報例として、具体的には以下が挙げられます。
【人口変化・環境問題・社会風潮・価値観・文化の変容等】
ビジネス形態が消費者向け・法人向けに関係なく、分析の必要性が高い重要要素です。
構成要素その4:技術的要因
技術的要因では、技術発達がビジネスにもたらす要因を整理します。
技術発達がプラスに働く場合もあれば、技術発達により自社の強みが薄れてしまう場合もあるのです。
技術的要因に関する情報例として、具体的には以下が挙げられます。
【新規技術の動向・技術に関する規制・技術の普及状況等】
技術革新が企業の盛衰に直結している事例も多いため、見逃さないようにしましょう。
最新技術を用いて、顧客体験の変革による付加価値向上や業務のデジタル化による効率化に興味のある方はこちらも参考にしてください。
» 中小企業のDXとは
PEST分析の細分化版:PESTEL分析
PESTEL分析は、PEST分析に、法的要因と環境的要因を分析要因に追加し、分析項目を細分化した外部環境分析のフレームワークです。
法的要因や環境的要因は、ビジネスへの影響度が大きくなっており、考慮すべき外的要因としての重要性が高まっています。
追加される2要因は、元来、政治的要因と社会的要因での分析対象であり、分析対象として独立しているだけです。
そのため、従来のPEST分析と比較して分析作業の大きな追加はなく、情報収集時に追加の2要因を意識していれば、自然とPESTEL分析になります。
追加構成要素その1:法的要因
法的要因では、国や地域が施行する各種ルールがビジネスにもたらす要因を分析します。
新たなルールや変更されたルールへの対応には多大な費用や労力がかかるためです。
法的要因に関する情報例として、具体的には以下が挙げられます。
【国や地域における法律や条例・業界規制・複数間でのルール等】
ルール遵守はビジネス継続には不可欠であるため、自社に関連する法的事項の動向は見逃さないようにしましょう。
追加構成要素その2:環境的要因
環境的要因は、ビジネスに影響するあらゆる自然現象が分析対象になります。
自然環境の変化は中長期的に発生する事象もあれば、突発的に発生する事象もあり、予測しづらいのが特徴です。
環境的要因に関する分析対象の情報例としては、具体的には以下が挙げられます。
【自然災害・気候変動・公衆衛生等】
自然現象はビジネスにプラスに作用する場合もマイナスに作用する場合もあり、長期的な視点で自社ビジネスへの影響や程度の評価が重要です。
PEST分析の実践方法とコツ
PEST分析は、適切な作業ステップを踏み、ポイントをしっかり押さえれば、精度の高い分析結果が得られます。
PEST分析での作業は3つのステップに分類され、それぞれのステップには確実に進めるための重要ポイントが存在します。
1.情報の収集
2.収集した情報を整理
3.整理した情報を要約
3つのステップで実施すべき内容と、重要ポイントを確実に実行するコツを踏まえて分析作業を進めましょう。
ステップ1:情報の収集
PEST分析の最初のステップでは、信頼性・信憑性の高い情報に的を絞って収集作業を進めます。
このステップでのコツは、国や業界団体が公表している情報を中心として収集する点です。
企業が独自に集計をしている調査もありますが、調査対象数が少なかったり調査対象が偏っていたりと、調査前提が信頼性に欠ける場合があります。
ステップ1で収集された情報が、企業戦略検討の前提情報になる点を踏まえると、収集する情報はできるだけ正しく捉えた情報であるべきです。
情報を収集したら、事実に即した分析作業が出来るように、解釈や推定などが含まれた情報を除外して客観的情報のみに絞りこんでおきましょう。
ステップ2:収集した情報を整理
PEST分析の作業ステップ2つ目は、前工程で精査された情報の特性に合わせて情報を選別する作業です。
PEST分析の目的は、ビジネスに今後影響を及ぼしうる外的要因の整理と、影響内容(機会と脅威)の見極めであるためです。
将来の成長を目的として、既存事業の戦略見直しや新規事業の戦略策定に必要な検討材料を集めるために、PEST分析は用いられます。
そのため、現在に限定して影響する情報やビジネスに影響しない情報は目的に合致しないため、分析対象から外すのがコツです。
選別された情報を4つの構成要素に分類できると情報単体の分析は完了し、残りは分析された情報全体から読み取れる外的環境の評価に移行します。
ステップ3:整理した情報を要約
PEST分析の最後は、構成要素単位で分類された事実を要約し、更に4つの要約から外的環境がビジネスに及ぼす影響を総括する作業です。
PEST分析の目的は、外的環境の動向が中長期的に自社や市場にどのように作用する可能性があるかの整理です。
よって、単なる事実情報のままでは影響内容が不明確なため、複数の事実から読み取れる情報を端的に整理するのが重要になります。
例えば、政治的要因として、関連する法案の制定や多国間にまたがる規制の導入が予定されているとします。
その場合は、「度重なる規制適用で、従来のビジネス形態を維持するのが困難になる」といった要約になり、ビジネスの脅威要因として表現するのがポイントです。
総括された情報は、経営戦略の策定から具体的な施策の落とし込みまでの前提情報になるため、要約は入念に実施しましょう。
要約作業のコツや考え方について興味のある方はこちらの記事も参考にしてください。
» 経営者必見!鋭いアウトプットを出す「具体と抽象」能力
PEST分析における注意点3つ
PEST分析を誤って利用すると分析に費やした時間が無駄になってしまうため、事前に使用上の考慮事項を押さえておく必要があります。
PEST分析を適切に活用できるよう、使用前に知っておくべき注意点は3つです。
1.短期的計画の分析には向いていない
2.直接的に影響する外部環境は分析できない
3.分析結果は変化する可能性がある
マーケティングフレームワークには用途や用法が決まっているため、正しく利用して最大限の有用性を引き出しましょう。
注意点その1:短期的計画の分析に向いていない
PEST分析は、1年未満の計画を策定する際の環境分析方法として、効果的でない場合が多いです。
PEST分析で収集する対象情報は、すぐに影響力がもたらされるというよりも、中長期的にビジネスに影響を及ぼすためです。
例えば、人口減少を取り上げると、人口が突然減る可能性は少なく、年の経過とともに徐々に減ります。
そのため、特定の年齢層を対象とするビジネスで考えた場合、急激に顧客が減るわけでなく、数年単位で顧客が減って市場が縮小すると分析できます。
税制などが突然変更するケースもあるため、PEST分析の対象が中長期な要素でない場合もありますが、基本的な分析の時間軸は数年単位と考えましょう。
注意点その2:直接的に影響する外部環境は分析できない
PEST分析は、ビジネスに間接的に影響をもたらす大きな動向の整理が主目的であり、直接的な影響を及ぼす要素は分析に含まれない場合が多いです。
経営戦略はビジネスを取り巻く外部環境と内部環境に関する情報を基にした検討が求められます。
要因のありか | 要因の種類 | 分析手法例 |
外部環境 | 間接的にビジネスに影響を及ぼす要因 | PEST分析 |
直接的にビジネスに影響を及ぼす要因 | ファイブフォース分析・3C分析・SWOT分析 | |
内部環境 | 自社がビジネスに影響を及ぼす要因 | VRIO分析・3C分析・SWOT分析 |
そのため、PEST分析では評価できていない要因は、SWOT分析や3C分析などを用いて整理し、総合的な評価が必要です。
注意点その3:分析結果は変化する可能性がある
PEST分析の評価結果は、基本的に1年程度の期間では大きく変化しにくいですが、社会の前提が変わる事象が発生した場合はその限りではありません。
例えば、新型コロナの感染拡大は、人が会うという従来の前提が実行できない状況を引き起こしました。
それにより、テレワークが短期間で拡大し、新型コロナの取り扱いが緩和されても、テレワークは働き方の1つとして定着しています。
人々の働き方の変化は、様々な業界の前提を変えており、完全に元通りにならない流れはPEST分析でも考慮が必要な要因です。
そのため、大きなインパクトのある事象が発生した場合には、改めてPEST分析のし直しが必要になる点を念頭に入れておきましょう。
新型コロナの感染拡大をきっかけに広まった新たなビジネスについて興味のある方はこちらも参考にしてください。
» 【2021最新版】コロナによって生まれた新ビジネス28選
企業によるPEST分析事例の紹介
企業が外部に公表している資料や情報の中で、各社がどのように外部環境を捉えているかを説明するためにPEST分析を利用しているケースがあります。
ここでは、異なる業界に所属する4つの企業が公表している、PEST分析で取り扱われている分析対象の情報を紹介します。
1.伊藤忠商事
2.デンソー
3.TIS
4.プリマハム
企業の具体例を参考にして、PEST分析の内容の充実を図りましょう。
伊藤忠商事
大手総合商社の一角をなす伊藤忠商事はアニュアルレポートの充実度が高く評価されており、記載内容には詳細なPEST分析も含まれています。
伊藤忠商事のPEST分析では、4分野に関する情報を機会と脅威に分類し、各要因に関して2030年までの短期・中期・長期での影響力も図示しています。
分析分野 | 分析事項 |
政治 | 政情の不安定・地政学リスクの高まり・デリスキングの広がり・金融政策の正常化・持続可能性の重視・デジタル領域の規制強化 |
経済 | 世界経済の停滞・新興国の成長二分化・円安の為替相場 |
社会 | 気候変動対策・労働環境の逼迫・資源調達の重要性の高まり |
技術 | IT等の技術発達 |
社外の方が見ても、マクロ環境の捉え方が分かりやすく、PEST分析で整理すべき内容が網羅された模範的な内容です。
デンソー
自動車関連部品の製造業で国内最大規模を誇るデンソーは、2030年までの社会予測をするために統合報告書でPEST分析を用いています。
デンソーのPEST分析の特徴は、事実情報を4つの分析領域とは異なる独自の観点で分類分けした上で、機会と脅威に整理をしている点です。
分析分野 | 分析事項 |
政治 | 政治の分断や対立激化・地政学リスクの高まり・ 環境や人権に対する法律の策定・自国主義の拡大 |
経済 | 先進国経済の減速と新興国の台頭・特定経済圏の構築・ ESG投資の拡大 |
社会 | エネルギー需給のひっ迫や脱炭素の推進・人口の爆発的増加・高齢化と労働力の減少・人の価値観の変化 |
技術 | 非接触や無人化技術の広がり・デジタル環境と実体環境の融合・AIや量子技術の本格利用 |
参照:デンソー「Integrated Report 2023」
最終的には分類した情報の要約とともに、自社において必要な取り組みまで記載しており、PEST分析を十二分に活用している事例と言えます。
TIS
IT業界で知名度の高いTISは、CM等を活用した企業のブランディングを積極的に進めており、投資家向けの情報発信も充実させています。
統合報告書では、2050年の世界を念頭にPEST分析をしており、各分野における分析結果の要約が分かりやすく記載されています。
分析分野 | 分析事項 |
政治 | 化石燃料や資源利用への規制強化 |
経済 | 新興国の経済発達加速 |
社会 | 世界人口の増加・高齢化の進展 |
技術 | IT技術等の加速的発達 |
複数の情報から要約するのは慣れていないと悩ましい作業ですが、TISの公表内容は要約の粒度や記載内容が非常に参考になるでしょう。
プリマハム
食品業界で有名なプリマハムも統合報告書でPEST分析による、自社におけるリスクと機会を整理している企業の1つです。
プリマハムの分析では、分析対象の情報を4つの対策の方向性「既存強化」「将来の種まき」「社会との対話」「土台作り」に紐づけています。
分析分野 | 分析事項 |
政治 | 地政学リスクの高まり・商取引における国際協定の広がり・感染症等に関する規制 |
経済 | 金融政策や為替の動向・世界経済の停滞・コロナ政策による経済反動・ |
社会 | 人口動態の変化・生活様式の変化・原料調達リスク・持続可能性への関心拡大 |
技術 | IT技術の発達・食品保存技術の強化・次世代タンパク質の発展 |
統合報告書の中では、技術領域において食品加工業ならではの注目動向を組み入れており、業界特有の動向に関する情報が漏れなく分析されています。
PEST分析と併せて実施すべきミクロ環境分析
経営戦略の検討材料には、PEST分析のようなビジネスに関する流れを把握するマクロ分析と同時に、直接的な動向を把握するミクロ分析が必要です。
ミクロ分析を実施するとビジネス運営する上で、市場の厳しさや収益化の難易度をより具体的に見定められます。
ミクロ分析として、知っておくべき手法は3つあります。
1.SWOT分析
2.5フォース分析
3.3C分析
PEST分析と合わせて、ミクロ環境分析も実施して、経営戦略を適切に実施するための材料を整理できるようにしましょう。
SWOT分析
SWOT分析は、自社の環境を分析する内部環境分析と、自社を取り巻く環境を分析する外部環境分析を同時に行う分析です。
自社や自社に直接的に影響する外部環境など、個社に関する分析が含まれるため、ミクロ分析に分類されます。
SWOT分析の内、外部環境分析に当たるOpportunity(機会)とThreat(脅威)は、PEST分析における実践ステップ2で整理される内容に通じています。
そのため、PEST分析との組み合わせだと、効率的にマクロ分析からミクロ分析を進められるのがSWOT分析の特徴です。
5フォース分析
5フォース分析は、ビジネスにおける外部環境に関して、5つの要因が自社の事業に対してどのような脅威になっているかを評価するアプローチ方法です。
5つの要因は、自社を中心とするサプライチェーンの視点と、市場の競争相手の視点の2つの視点で構成されています。
視点 | 分析対象の要因 |
サプライチェーン | 買い手の交渉力売り手の交渉力 |
市場の競争 | 新規参入の脅威業界内の競争代替品の脅威 |
5フォース分析を通じて、対象市場の競争の激しさや収益化の難易度が把握できます。
3C分析
3C分析は、マクロ環境分析とミクロ環境分析を組み合わせ、ビジネスの外部環境と内部環境を一度に評価を行うアプローチ方法です。
3C分析は、Customer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの観点を対象に評価を行います。
CosutomerとCompetitorは外部環境に該当し、前述の5フォース分析によるミクロ分析と、PEST分析によるマクロ分析の組み合わせ実施が有効です。
一方、Companyは内部環境に該当し、先ほど紹介したSWOT分析や経営資源の競争優位性を見るVRIO分析の結果を利用します。
経営戦略は外部環境と内部環境を踏まえた検討が必要であるため、3C分析だと検討前提となる情報を効率的に整理・評価ができます。
経営戦略で企業の方向性が定まり、具体的な施策の検討方法に興味がある方はこちらも参考にしてください。
» マーケティング活動における4Pとは?フレームワークごとの戦略や事例も紹介
PEST分析で市場動向を全体俯瞰して、的確な企業戦略の実行へ
PEST分析の概要や実践方法とともに、分析事例やミクロな分析手法、PEST分析実施の際の注意点を解説しました。
PEST分析は、将来を見越した中長期な経営戦略を検討する上で、押さえるべき外部環境の要因を幅広く捉えられる有効な分析フレームワークです。
なぜなら、PEST分析では、長い時間軸で事業に作用しうる政治・経済・社会・技術の4領域を網羅的に整理する仕組みになっているためです。
一方で、PEST分析は、経営戦略を検討する上で不可欠な市場の具体的な動向や、サプライチェーン上の様相など、ミクロな環境分析は含まれません。
そのため、ミクロ環境の分析を目的とする別の分析方法との併用が、的確な企業戦略の検討には重要です。
PEST分析で活用してマクロな視点でビジネス環境を正しく理解し、効果的な戦略策定・実行のための1歩目を踏み出しましょう。
「経営」や「社長の仕事」の学びに興味を持って頂いた方に、プレジデントアカデミーの無料教材セットをお届けしています。
プレジデントアカデミーの内容やサンプル教材、オンライン受講可能なセミナー情報を郵送、またはPDF形式にてご提供します。
お気軽にお申し込みください。
» プレジデントアカデミー資料請求|プレジデントアカデミー|「経営と社長の仕事」を学ぶなら社長の学校
【監修】
黒田 訓英
株式会社 ビジネスバンク 取締役
早稲田大学 商学部 講師
中小企業診断士
早稲田大学商学部の講師として「ビジネス・アイデア・デザイン」「起業の技術」「実践起業インターンREAL」の授業にて教鞭を執っている。社長の学校「プレジデントアカデミー」の講師・コンサルタントとして、毎週配信の経営のヒント動画に登壇。新サービス開発にも従事。経営体験型ボードゲーム研修「マネジメントゲーム」で戦略会計・財務基礎を伝えるマネジメント・カレッジ講師でもある。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。日本ディープラーニング協会認定AIジェネラリスト・AIエンジニア資格保有者。経済産業大臣登録 中小企業診断士。