チームビルディングを行うことで生産性を上げたいけど、どうすれがいいかわからない方も多いのではないでしょうか。今回はチームビルディングの実践事例をお伝えするとともに、上手に取り組むためのポイントも紹介します。
チームビルディングのやり方に困っている人はぜひご覧ください。
チームビルディングとは?
チームビルディングの定義としてよく言われているのは「チームを作るためのワークやプログラム、今あるチームの関係性を良くするための研修などの具体的な方法」ということ。これは狭義のチームビルディングであって、広義ではありません。
チームビルディングの広義の意味は「メンバーのスキルや能力、経験を最大限に発揮し、目標を達成できるチームを作り上げていくための取り組み」です。そのため、研修やワークなどはチームビルディングの手法の一つに過ぎないということを頭に入れておいてください。
チームビルディングの目的
チームビルディングの最も大きな目的は「個人では達成できない大きな仕事をチームの協力によって成し遂げる」ことです。
アフリカのことわざに「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」というものがあります。会社での仕事もこれと同じで、小さい仕事は一人で行い、大きな仕事はみんなで行うことで様々なメリットがあります。
みんなで行うことで、自分の得意なことに専念できる、分担することで結果的に一人で行うより早く仕事が終わるなどのメリットがあるのはもちろんですが、それ以外にも自分では気づけなかった発見や突破口が見つかったり、チームメンバー同士で刺激し合いさらなる高みへ成長することができたりします。
こちらの記事ではチームビルディングの定義や目的、3つの手法について詳しく解説しています。
チームビルディングの実践事例7選
チームビルディングの定義や目的が理解できたところで、具体的な実践事例が知りたくなってきた方も多いでしょう。ここからはチームビルディングを行って上手くいった事例7選を紹介します。
なお、今回は広義の意味ではなく、狭義の意味に絞ったチームビルディングの実践事例です。
株式会社ぐるなび
出典:株式会社ぐるなび
株式会社ぐるなびは社長と部下が並んで歩きながら会議を行う「ウォーキング・ミーティング」を行っています。結果としてウォーキング・ミーティングでは、社長と部下の距離が縮まったり、気分のリフレッシュも兼ねていることで、前向きな意見が多くなりました。
この始まりは、社長が健康のために毎日軽い運動を行おうと思ったことです。そのときに三日坊主にならないよう、趣味である人と話すことをプラスして楽しく歩こうと考えたそう。
特に志が高く、目的意識を持つ若い人たちと話すのが楽しかったため、若手社員をウォーキングに誘ったことが始まりでした。
ウォーキング中には仕事の話をすることが多かったそう。そのため、会議室ではなくウォーキング・ミーティングの時間を利用して社長と話す人も増えたそうです。
体を動かしたり、いつもとは違う場所で話したりすることで、気分のリフレッシュも同時に行われます。また、上下関係に縛られない時間になっていたため、意見をいいやすい環境で、オリジナリティのあるアイデアや意見が出てきていたそうです。
株式会社メルカリ
出典:株式会社メルカリ
株式会社メルカリでは、おもちゃのレゴⓇを用いて「自由にタワーを作る」「あなたの思うBe ProfessionalをレゴⓇで表現する」の2つのワークを行いました。結果として自分のことやチームメンバーの考え方などを理解できるようになり、コミュニケーションが活発化しました。
※Be Professionalは株式会社メルカリのバリューのひとつ
2つのワークで大切なのは、どういう思いでこの作品を作ったのかを周囲に伝えること。「ここでこの色を使った理由は…」「このブロックをここに置いた理由は…」と自分の思いを伝えることで、気づかなかった相手や自分の一面を知ることができ、相互理解につながります。
また、子ども向けのおもちゃであるレゴⓇを使うことで、上下関係や経歴などに縛られずリラックスした雰囲気でワークに取り組めるのも特徴のひとつです。
株式会社タニタ
出典:株式会社タニタ
株式会社タニタはビジネスゲームである「The 商社」を用いてチームビルディングを行っています。結果として仕事を自分ごと化して捉えられるようになったり、上司からの指示に対して対応できないと感じていたことでも、どうすればできるかを考えるようになりました。
The 商社とは3~6人程度でチームを作り、それをひとつの会社とし、どうすれば拡大していくかを考えるゲームです。ゲームの中でどうすれば会社を大きくできるかを考えるため、社員の自主性を伸ばすだけでなく、ゲーム内の仕事の取引は実際の仕事にも役立つことが多いそう。
ゲームとして会社の成長を考えるため、いつもよりもフランクに接することができ、チームメンバーの思考の理解につながったといいます。
株式会社バスクリン
出典:株式会社バスクリン
株式会社バスクリンでは「バスクリン銭湯部」という部活動がチームビルディングの役割を果たしています。バスクリン銭湯部では1~2ヶ月に一度のペースで部員が気になった銭湯を巡る、銭湯コラムでの情報発信、銭湯との共同企画などを行っています。
結果としてベテラン社員と若手社員のコミュニケーションが活発になったり、部署の垣根を超えて情報共有が行われたりするようになりました。
始まりはとある若手社員の働きかけ。会社の原点ともいえる銭湯文化がこのままではなくなってしまうという思いから、社内だけでも銭湯文化を盛り上げたいと思い、若手社員に声をかけたことが始まりです。
ただ、若手社員だけでは会社が盛り上がっているとはいえないと思い、当時人事部長だったベテラン社員にも声をかけ部活動がスタートしました。
一緒にお湯に浸かりながら、若手が知らない会社の歴史をベテランが話すことで、若手が刺激を受けたりしたそうです。
NTTコミュニケーションズ株式会社
NTTコミュニケーションズ株式会社では、チームビルディングの一環として、リモートワークで新入社員向けにさまざまなワークを行いました。
結果としてお互いを理解することでコミュニケーションが円滑に行えるようになったり、リモート環境でチームであることを自覚して働けるようになりました。
NTTコミュニケーションズ株式会社が行ったワークはパーソナルマップとムービング・モチベーターズの2つ。
パーソナルマップとはマインドマップのような形で、自分について相手に質問してもらうというもの。NTTNTTコミュニケーションズ株式会社では、チームビルディングを行ったときに5人程度のチームにわかれたそうですが、そのチーム名を決めるときに、パーソナルマップでの共通点を使ったそうです。
2つめのムービング・モチベーターズとは、仕事でのモチベーションの上位3つを書き出してもらうもの。説明するときにもちろんその人の仕事への考え方や価値観が伝わってくるため、相手をより知る機会になったそうです。
株式会社CHINTAI
出典:株式会社CHINTAI
株式会社CHINTAIでは、さまざまなワークでチームビルディングを行っています。結果としてワークの参加者同士の距離が縮まり、コミュニケーションが活発になりました。
ワークの内容は多岐にわたり、例えば真っ暗闇で行われる「暗闇入社式」や食レポや演劇、筋トレなどの参加型イベントです。
暗闇入社式では新入社員が役員と一緒に真っ暗な部屋に入って2時間以上を過ごします。相手の顔が見えないことで距離が縮まり、役員と新入社員での壁が薄くなったそうです。
また、参加型イベントでは普段話さないような人と話したり、仕事以外の話をすることで、相手の考えを理解できるようになり、コミュニケーションが活性化しました。
GMOペパボ株式会社
出典:GMOペパボ株式会社
GMOペパボ株式会社では、チームビルディングの一環で、社員旅行でのレクリエーションとして謎解き脱出ゲームを行っています。謎解き脱出ゲームとは、数人程度のチームで協力して謎を解くことで脱出を目指すゲームです。
チームの力を合わせて謎を解いていく中で、自然とコミュニケーションが活性化し、それは仕事にも良い影響を与えるでしょう。
チームビルディングに上手く取り組む2つのポイント
ここまでいくつかの事例を紹介してきました。自社で実践できるようなものが見つかり、取り掛かりたいと思っている方もいるかも知れませんが、その前にチームビルディングに上手く取り組む2つのポイントをお伝えします。
このポイントを押さえたうえで、チームビルディングを実施してください。
上下関係や経歴に関係なく全員が参加できるものを選ぶ
チームビルディングのワークを行う場合は、上下関係や経歴に関係なく全員が参加できるものを選びましょう。そうすることで、その人本来の思考や能力が発揮されたり、普段は見えない一面を知ることができ、コミュニケーションの活性化につながります。
目標を明確にする
同じ目標に向かってそれぞれが切磋琢磨しながらゴールに向かうことで、個人のモチベーションが上がり、結果として仕事の生産性も上がるでしょう。
チームビルディングでは、チームで協力して物事を進める楽しさを知れるのもメリットですが、チームのために自分の能力を発揮する喜びを知れることも、重要なメリットです。
このとき「相手チームに勝つ」のように目標がわかりやすく設定されていれば、個々の力が目標達成にどのように関わっているかが、比較的簡単にわかります。自分の力が目標達成に貢献したと知ると、それは仕事でのモチベーションにつながるでしょう。
まとめ
チームビルディングの定義や目的、実践事例を紹介してきました。実践事例はどの会社でも真似をして取り組みやすいものを選んだため、早速取り組んでみようと思った方も多いのではないでしょうか。
実際に取り組むときは、上手に取り組む2つの大切なポイントも押さえたうえで、目的を達成できるようなワークを行いましょう。
【ライター】
佐藤みちたけ
大分出身のライター。起業のワークショップなどを通じて、学校教育に違和感を覚え、高校を中退。その後上京し、17歳の若さでライターとして生計を立てる。現在では、様々な企業や団体でインタビュー記事の執筆や、Webメディアの運営などを行なっている。