「中小企業はSDGsにどう取り組めばいいの?そもそも取り組む必要があるの?」
そう思う中小企業の経営者の方も多いでしょう。結論から申し上げると、取り組むことのメリットよりも、取り組まないことのデメリットの方が近年増している社会環境から、ズバリ取り組んだ方が良いです。
では、SDGsに取り組まない具体的なデメリットはどういうものがあるでしょうか?詳しく解説します。
そもそもSDGsとは
まずはじめに、そもそもSDGsとは何かということに関して説明していきます。SDGsの定義をここでしっかり確認しておきましょう。
SDGsとは、持続可能な開発目標の略称です。といわれても、何のことか想像しにくいですよね?もう少し分かりやすく説明すると、環境や差別、貧困、人権などの課題を世界の全員で解決していこうという目標のことです。
SDGsが定められた背景には、これまでの経済発展や開発の仕方では、将来に向け地球や人類が良い状態で持続することはできない、という課題意識が全世界に広がっています。
SDGsに取り組まないとどうなる?
では、SDGsに取り組まないとどうなるのでしょうか?一言でいうと、時代遅れの経営として企業価値が低下していく可能性があります。時代遅れの考え方や経営の取り組み方は、市場や取引先、人材から支持を得にくくなります。
そもそも、他者と契約する時に「将来のことを考えて行動している企業」と「目先の利益のことしか考えていない企業」だとどちらと契約したいと思いますか?おそらく前者だと思います。
では、SDGsに取り組まないままのデメリットについて考えてみましょう。
取引を制限されてしまう可能性がある
まず一つ目は取り引きが制限される可能性があるというもの。
先ほども説明したように、SDGsに取り組まないと「この会社は将来のことを考えていないんだな」と思われる可能性があります。そうなると「同じ事業で将来のことを考える他社と契約しよう」と思い、取り引きが減少するかもしれません。
採用が難しくなる
SDGsに取り組まないデメリットの2つ目は採用が難しくなるというもの。なぜかというと、SDGsに関心のある人が多いからです。
新卒の場合、2022年卒の学生を対象にした株式会社学情のアンケートでは「就職活動における企業選びで、SDGsに関する取り組みや社会貢献を意識するか」という質問に対して、過半数以上が「意識する」と答えました。
また、転職者の場合は、エン・ジャパンの調査によると65%以上がSDGsに取り組んでいるかを重視するという結果も出ています。
このように就活生や転職者が企業を選ぶ判断基準の一つとして「SDGsに取り組んでいるかどうか」が入ってきているため、SDGsに取り組まないと、採用がこれから先だんだんと難しくなっていくでしょう。
オープンな資金調達が難しくなる
SDGsに取り組まないと生まれるデメリット3つ目は、オープンな資金調達が難しくなるということです。企業の将来性を見定めるベンチャーキャピタルや投資ファンド、広く資金の提供者を募るクラウドファンディングなどでは、将来性=SDGsの取り組み評価が既に盛り込まれはじめています。
事業をより大きくしようと思った時に必要な資金調達も、SDGsの視点を事業計画に盛り込んでいなければ、クリアしたい調達額についてハードルが上がってしまいます。
反対にSDGsに取り組むとどうなる?
ここまではSDGsに取り組まないと発生するデメリットについて紹介してきました。では、SDGsに取り組むとどうなるのでしょうか?
ズバリ!SDGsへの取り組みは、将来に向け企業価値を高める「ブランディング」に大きなメリットを与えることになります。
特に人材の「採用」については、転職者の場合51.3%の人がSDGsに取り組んでいると志望度が上がると株式会社学情の調査で判明しています。
優秀な人材獲得におけるプラス効果はかなり高いと言えます。
中小企業がSDGsに取り組むにはどうすればいい?
ここまででSDGsに取り組まないと様々なデメリットが発生することをお伝えしました。取り組みを始めるならできるだけ早いほうが良いですが、どういう手順で取り組めばいいのでしょうか?順番に解説します。
SDGs担当者を任命する
まずは、SDGsの担当者を任命しましょう。ただ、人材不足のこともあり、SDGs専任の人を選ぶのは難しいかもしれません。その場合はほかの業務との兼任で問題ありません。
SDGsのどの項目を自社で行うか検討する
SDGsには17の目標というのが定められており、その内どれが自社にとって無理のない範囲で取り組めるものなのかを定める必要があります。
出典:外務省
達成目標と計画を設定する
17の目標のうち、どれに取り組むかを決めたら、次はどれくらい達成したらいいのかという具体的な目標とそれに達するための計画を設定します。
ただ初めてSDGsに取り組む場合は目標を設定出来ない場合もあるでしょう。そんなときは会社がある自治体のHPを確認してみてください。多くの自治体では独自のSDGs方針が定められているため、それを参考に目標を決めるのが良いでしょう。
SDGsの取り組みを実施
目標と計画が設定出来たらあとは実施するだけです。実施の時は通常のビジネスと同じくPDCAサイクルを回すことが大切です。当初の目標や計画とずれることも多いかもしれないので、その際はPDCAサイクルを回して軌道修正を行いましょう。
SDGsに取り組んでいることと結果を報告
取り組みを始めたら、SDGsに取り組んでいることとその結果を自社の社員や外部に向けて報告しましょう。せっかくSDGsに取り組んでいるのに、外部の人が見れないと機会損失してしまいます。そのため、会社のHPの分かりやすいところなどにSDGsを取り組んでいることをアピールしましょう。
中小企業がSDGsに取り組む際のよくある質問
さて、ここからは中小企業がSDGsに取り組むときによく出てくる質問についてお答えしていきます。
人手不足で取り組めない場合はどうしたらいいですか?
人手不足で取り組めない場合は、自社の仕事の仕組み化などを行い効率化を行うか、人員を増やしましょう。もしくは、現在行っている仕事の要不要を判断するのも一つの手です。
SDGsに取り組んだ時の費用対効果がわかりません
SDGsは費用対効果があるから取り組むものではなく、取り組まないと持続可能な社会ではなくなってしまうから取り組むもの。つまり、取り組むと何かメリットがあるのではなく、取り組まないと地球や人類が終わってしまうから取り組む必要があるということです。
まとめ
中小企業がSDGsに取り組むにはどうしたらいいかをメインに説明してきました。SDGsは自社にとって無理のない範囲から始めることが大切です。今回の内容を参考に、早速SDGsへの取り組みを始めてみてください。
【ライター】
佐藤みちたけ
大分出身のライター。起業のワークショップなどを通じて、学校教育に違和感を覚え、高校を中退。その後上京し、17歳の若さでライターとして生計を立てる。現在では、様々な企業や団体でインタビュー記事の執筆や、Webメディアの運営などを行なっている。