起業しようというようなポジティブな人であっても、強みばかりでなく、必ず弱みはあります。完全無欠を目指す必要などなく、弱みもあっていいのです。
ただ、何が自分の強みなのか、あるいは弱みなのかを知っておくことは重要です。さもないと、優先順位を誤ってしまう可能性があるからです。
優れた経営者として成長していくためには、まず強みを伸ばし、それができてから弱みを少なくしていくという順番を辿ったほうがいいと私は考えています。
弱点を克服しようというチャレンジ精神はいいのですが、最初に弱いところにとりかかってしまうと、パワーが発揮できないだけでなく、モチベーションの維持も難しくなります。
たとえば、起業家には「会計が弱み」という人は少なくありません。経営は会計なくしては成り立ちませんから、彼らの多くは「数字嫌いをなんとかしなくちゃ」と焦ります。その気持ちもわかりますが、だからといって簿記学校になど通う必要はありません。
会計は弱いけど営業が強いというなら、数字はさくっと見るに留め、どんどん営業活動をして会社の力をつくればいいのです。自分が弱い部分は、最初はパートナーや外部の応援を得て、会社に勢いが出てから取り組めばいいのです。
パートナーや外部から適切な応援を得るためにも、自分について知っておくことは重要です。「自分の得手不得手はなんなのか」を見極めましょう。
不得手なことは、だいたいが嫌いなこと。だから、自分でよくわかっているはずですが、それを見つめるのは、なかなか厳しい作業です。人は誰でも、自分の不得手を認めたくないものですから。
私も不得手を認めているようでいて実は、認められない自分もいます。ただ、認めてしまったほうがうまくいくと知っているから、意識的に認めているだけです。
私はオールラウンドに合格点が取れるけれど、何か1つのことに集中して突出した成果を上げるというのが苦手です。器用貧乏なところがあります。
だからこそ、自分の研究にのめり込んでほかのことは人任せという「ノーベル賞タイプ」に憧れてきました。しかし、どうあがいても私はそうはなれないということを認めたときに、今の仕事が本当に自分に向いていると思えるようになりました。
起業支援という事業や経営者の仕事は、いろいろなことをやらなければいけません。まさに器用貧乏の私にぴったりだったのです。
あなたも、今から自分の強み弱み、得手不得手について洗い出しておきましょう。そして弱点について認めてしまいましょう。それができれば弱みの半分は無くなったようなものです。
経営は1人ではなくチームでできます。ですから、自分が不得手なところは得意な人にやってもらい、誰かが不得手で自分が得意なところを自分がやればいいのです。
できれば、紙に書き出しながら、じっくり自分を分析してみましょう。
▶︎Point|自分の弱みを認めれば、起業はうまくいく