ある程度の規模の会社になれば、そこに勤めている人たちが行っている仕事は「部分」です。会社員のあなたは、川上から川下までの流れのどこかにいて、「部分における最適」を目指して働いています。
しかし、起業して経営者になると、川上から川下までを見渡し「全体を最適化する」ことをやらねばなりません。
起業するときに、「自分は仕事ができたから、経営ができる」と思ったら間違います。仕事ができることは、起業して成功する必要条件ではあっても、十分条件ではないのです。
売れっ子俳優が自分の事務所をつくってダメになるのは、俳優という仕事ができてもプロデュースはうまくないからです。
弁護士や税理士など「士業」の人たちも、専門分野で優秀だからと独立したはいいが、仕事を取ってこられず伸び悩むケースが多々あります。
スポーツでも「名選手、必ずしも名監督にあらず」とよく言われますよね。
このように、「全体最適」ができないために失敗している人が多く、彼らは「なぜ失敗しているか」すらわかっていません。
経営者には、常に全体最適思考が必要ですが、急にその状況に置かれてもなかなかできません。早くから練習して慣れておくべきです。
今の会社で、社長になったつもりで全体を俯瞰して見る訓練をしましょう。
たとえば、工場で部品を組み立てる仕事に就いているなら、「この金属はどこからいくらで仕入れてきたのか」「自分がつくった部品は誰が運んで売っているのか」「運搬費はどのくらいかかるのか」「いくつ売ればもとが取れるのか」……などと、経営者目線で会社の全体を見ておきましょう。
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