一人の人間としても、起業家としても、成長すればするほど成功の確率は上がるはずです。しかし、成長するためには、今のあるがままではなく、それなりに頑張らないといけません。
さて、この「頑張る」について、いったいどの程度でやればいいのでしょうか。
人間には、生理的限界と心理的限界があり、前者が後者よりもずっと高い位置にあることがトレーニング理論でわかっています。
「もうダメだ、これ以上動けない」というとき、体が動けないのではなく、心が動けないと悲鳴をあげている場合がほとんどなのです。
一流のアスリートはその差を極限まで縮めているのに対し、普通の人は、かなり差が開いています。
よく、「自分なりに頑張る」と言いますが、こうした状態にある私たち一般人が「自分なりに頑張る」のは、かなり低い基準のことだと考える必要があります。
ビジネスで満たすべき基準は、「お客さんが満足してくれる」ところにあり、自分が満足しても意味がありません。自分ではなく、他者から必要とされる基準でやらなければならないのがビジネスです。
でも、自分なりの基準は心地よいので、つい、そこに安住したくなります。
しかし、他者基準で頑張らなければ結局うまくいかず苦しくなっていきます。そして、苦しいからまた安住の場に逃げるという悪循環を生みます。
そうならないために、ある時期、他者から必要とされる高い基準で頑張ってしまうことが必要なのです。
今の若い人は、「自分なりに頑張ることが大切だ」と考える傾向にあります。親からもそう育てられ、社会がそれを認めてきたからです。
そのよさもあります。彼らは私の世代よりはるかにエゴが少なく、周囲を思いやるという優れた点を持っています。
しかし、起業するうえでは、それがときとしてマイナスに働きます。
はっきり言いましょう。
起業して成功するためには「自分なりに頑張る」では足りません。
「自分なり」という絶対的な感覚を捨てて、相対的な感覚を持って周囲を見渡すことで、より高い基準を知ってください。そして、ある時期その基準で頑張ってみてください。
たとえば、あなたが長距離選手だったとして、自分なりに頑張ってグラウンドを毎日3周走る人と、コーチが求める基準に合わせて10周走る人と、どちらが成長するかは明らかです。
▶︎Point|「自分なり」を一度、捨ててみよう