リスクの準備

16|セキュアベース(安全基地)をつくる

人は本能的に失敗を恐れる生き物です。それでもチャレンジングに頑張っていられる起業家には、大きく分けて2つのパターンがあります。

1つは、ものすごくコンプレックスが強いタイプ。

もう1つは、無条件に愛されて育ったタイプです。

前者は、コンプレックスをエネルギーに変えてガンガン行動するのですが、あるとき、それが行き過ぎて周囲と衝突したりします。

後者は、小さい頃から何かに挑戦して失敗しても帰れる安全地帯があったために、挑戦しやすい資質が備わっています。健全な経営で成功していくためには、挑戦し続けなければなりませんから、セキュアベース(安全基地)があった方がいいのです。

しかし、子ども時代のことなど、今さらどうすることもできません。あなたのセキュアベースは、あなた自身でつくってしまいましょう。

それには、2つの要素が必要です。まずは自分自身を無条件で愛してあげること。「100パーセント信頼しているから、何をやっても大丈夫だよ」と自分に伝えてあげましょう。

加えて、具体的で詳細なセキュアベースも構築します。つまり、「失敗したときに帰れる場所」をつくっておくのです。

タリーズコーヒージャパン創業者の松田公太さんは、1号店を作るときに7000万円もの借金をしたそうですが、借用証書に印鑑を押す前に、近くのコンビニを回ってアルバイトの時給を調べて「1日15時間働けば30年で返済できる」ことを確認して、失敗しても命まで取られるわけではないと考えて挑戦を決めたそうです。

松田さんにとっては、それがセキュアベースだったわけですね。だから、大胆に挑戦して、当時の飲食業界最速記録で上場させることができたわけです。

明確に数字が見えれば安心してトライできます。起業する前に、あなた自身のセキュアベースを確保しておきましょう。

▶︎Point|「失敗したときに帰れる場所」をつくっておこう

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