会社員でいるときは、会社の看板で仕事をしています。たとえ出来高制の営業職であっても、お客さんからの信頼は自分一人で得ているのではありません。常にあなたの後ろには会社という看板があり、あなたはその力を借りているのです。言ってみれば、あなたが会社に依存する関係です。
しかし、起業すれば、会社という看板の存在は無くなります。
起業してから多くの人が気づかされるのは、「これまでは会社を信用して仕事をくれていたんだ」ということです。「この人は私が独立したら仕事をくれる」と思っていたけれど、いざとなったら全く期待はずれだったということが多々起きます。
個人を信用していたのではなく、会社を信用していたに過ぎなかったわけです。
起業していきなりこういう状況に陥らないよう、今から会社の看板を外して動いてみましょう。「もし会社が無くなったとしても自分とお付き合いしてもらえるかどうか」と考えて日々行動してみてください。こうした経験を積み重ねておくと、どうすれば人から信頼してもらえるかが実践的にわかってきます。
私はかつて、仕えた社長からこう教えてもらいました。
「この人(クライアント)が俺(自分)だと思え」
つまりは、「その人の立場になって常に考えろ」ということです。
もちろん、自分の立場も重要です。しかし、こちらの立場だけでなく、相手の立場にもなって考えると見えてくることがあります。
相手の立場も考えつつ、自分が伝えたいことを伝える。
これをやっていると「ああ、この人はこちらのことを考えてくれているんだな」と信頼してもらえるようになります。
それは、「独立したときに仕事がもらえる」という小さなことに終わらず、事業の最終的な成否を決める将来的な信頼を築くことにつながります。
▶︎Point|会社の信頼を借りていることを自覚しよう