お金の準備

04|創業資金を貯め始める

私は多くの起業家をサポートする中で、起業したくてもできない人たちもたくさん見てきました。彼らが起業に踏み切れない一番の理由は、「お金の心配」です。

起業すると借金に苦しめられそうで、「結局のところ、サラリーマンでいれば安心だ」という結論に至ってしまうのです。

そうならないように、今からできる最も具体的な起業の準備は「貯金」です。

創業資金として1年分くらいの給料を貯められていたら、少しは安心して動くことができるようになります。

 

私自身、社会人になってからずっと貯金をしてきました。

本多静六(学者でありながら巨万の富を築いた日本初の林学博士)さんの有名な蓄財法「給料の4分の1を貯金する」に感銘を受け、毎月給料の25パーセントを積み立てました。給与振り込みの口座とは別の専用口座を設け、簡単におろすことができないように、その口座にはキャッシュカードをつくりませんでした。

20年近く経った今もそのときの口座は生きていて、金額をアップして積み立てを続けています。

日本マクドナルドの創業者である藤田さんが、創業するときに、ある銀行から借り入れを断られたという有名な話があります。

藤田さんは、それ以来その銀行で積み立てを続け、やがてすごい金額となり、向こうから「取引してください」と頭を下げられるようになったという話を聞いて、私はとてもかっこいいと思いました。

藤田さんのマネをする必要はありませんが、やはり信用を得るためにも貯金は大事です。

 

「ただでさえ少ない給料から、どうしたら貯金に回せるのか」と悩んでいる人には、まず1カ月間「ケチケチ暮らしてみる」ことをおすすめします。

1カ月に絞って、どこまでムダを省いてお金を貯められるか、ゲーム感覚で楽しんでみてください。1カ月できたら、しばらく休んでまた1カ月やってみて、「前回よりもケチケチスキルがアップした」と思えるように工夫を重ねてみてください。

本当にケチケチしようと思ったら、スマホや光熱費など、毎月支払っているものの料金体系も見直そうと思うでしょう。すると、これまでいかに無為に使っていたお金が多かったかに気づくはずです。

「利益=稼いだお金-使ったお金」ですから、このようにして、使うお金を減らすクセをつけておくと、起業してからも役に立ちます。

 

少しずつでもいいから、創業資金を貯め始めましょう。

毎月、一定の額を貯金しようとしたら、それなりのやりくりが必須です。収支を合わせる練習にもなるし、お金を扱う力も育ちます。そうした勉強をしながら創業資金を貯められたら一石二鳥です。

ケチケチ大作戦を開始すると同時に、今すぐ銀行に行って積み立て専用の口座を開設しましょう。

▶︎Point|創業資金は積み立て口座から

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