起業してうまくいく人は、クリエイティブな力に富んでいます。
ですから、「自分はクリエイティブではない」と考えている人は、アイデア豊富な人を見て「自分にはないものを持っている」とうらやましがります。
しかし、クリエイティブネスとは、その人の内側から湧き出るのではなく、外から取り入れた情報の組み合わせに過ぎません。
たとえば、Aという部品とBという部品を組み合わせて、Cという新しいものをつくっているだけの話です。
そのときに、これまでの常識にはない切り口で部品を組み合わせれば、画期的なものが生まれるのです。
たとえば、「ほか弁」と呼ばれる温かい持ち帰り弁当を思いついたのは、飲食業界の人ではありません。飲食業界には、温かい食べ物を持ち帰らせて腐ったら困るという常識があり、誰もそれを考えませんでした。しかし、消費者の側には「温かい弁当を持ち帰りできたら嬉しい」というニーズがあったわけです。
私が始めたレンタルオフィスも、本来なら不動産業界がやればよさそうなものですが、彼らの常識にはなかったのです。
弁当の材料も、レンタルオフィスに使う部屋も、昔からあった部品です。それをまったく新しい切り口で組み合わせただけです。
既存の業界の常識ではなく、ユーザー視点で切り口を探してみれば、いたるところに大きな可能性があるのです。
あなたがクリエイティブな力を身につけたいと考えたら、まず取り組むべきは部品をたくさん集めることです。
そのためには、自分のビジネスについて勉強することに尽きます。経営書を読んだり、仕事の経験を重ねることで部品はどんどん増えていきます。
次に、それらを組み合わせる斬新な切り口を探しましょう。それは既存の常識にとらわれていると見つかりません。
世の中のヒット商品や、長く受け入れられている事象などを、さまざまな角度から見てみましょう。
缶コーヒーは、真上から見れば丸い形をしていますが、真横から見たら長方形です。少し傾ければ、また違う形になります。それと同じことを、あなたのビジネスでも取り入れましょう。
ちなみに、ビジネスのクリエイティブネスとアートのそれに、たいした違いはないと私は考えています。
アートは、人から感動されるものをつくる。ビジネスは、人の役に立つものをつくる。そして、ともにその対価を受け取るわけです。
ですから、そもそもビジネスはアートであり、優秀なビジネスパーソンにはクリエイティブな要素があるものです。
▶︎Point|クリエイティブは才能じゃない