「社員に主体性が無いんだよね・・・」
「思った通りに
動いてくれないんだよね・・・」
経営者の方々とお話をしていると、
必ずと言っていいほど出てくる話題です。
「社員の育成」「チームづくり」は
企業の永遠のテーマ。
皆さんもきっと、
感じたことがあることでしょう。
今回は、そんなテーマの
解決策になる!かもしれない・・・
そんな「あるツール」のお話。
キーワードは「死人」!?
いったい、
どんなツールなんでしょうか?
1. 動かざること山のごとし
僕には2人の子どもが居ます。
2歳の長男は、遊んで欲しい盛り。
帰宅してご飯を食べていると、
「抱っこしてー」
「絵本読んでー」
いつも、じゃれついてきます。
まだまだ、
物事の善悪もわからない年齢。
失敗も多いものです。
例えば、
僕がまだご飯を食べている間に、
テーブルに登ってきたりする。
そしてしまいには、
箸置きの上の箸に座っちゃったり(笑)
我が家では、
たいていのことには目くじらを立てず、
怒ることも最小限にする方針。
でも、
「食」に関することだけは別です。
「食べ物で遊ぶ」
「食べ物を粗末に扱う」
そういったことに対しては
容赦なく、烈火のごとく叱ります。
今回の「お箸に座る」も
僕は「食への冒涜」であると、
判断しました。
だから、こう伝えました。
「ハル(息子の名前)、
お箸、踏んでる。」
息子はビクッとしながらも、
その場を動きません。
「(厳しい口調で)お箸、踏んでる。
どうしたらいいのかな?」
息子は目をそらし、
何だか困った顔をしています。
そこで僕は、
ハタと気づきました。
「ああ。
これは、僕の言い方が悪い。」
そして、
こう言いなおしました。
「ハル、そこに座っていると、
お父さんの箸を踏んでいるんだ。
違うところに座ってくれるかな?」
息子の顔がパッと明るくなり、
「うん、いいよ!」と、
元気にテーブルから降りていきました。
さて、いったい、
何が起きたのでしょうか?
実は、この一連の出来事には
「マネジメントの根幹」に関わる
大きな学びが隠れているのです。
その学びとは・・・?
2. 社員が動かない、意外な理由(わけ)
マネジメントには
「行動分析学」という分野があります。
その名の通り、
人の「行動」に焦点を当て、
人の行動を変えるための方法論です。
社員の教育を考える上では、
この「行動に焦点を当てる」ということが
とても大切。
まず、意識しなくてはならないことが
「行動」と「状態」は違うということです。
私たちは、
「人の行動」を変えることはできますが、
「人の状態」を変えることはできません。
どういうことでしょうか?
少し事例を通して考えてみます。
先ほどの息子の例で言えば
◯「箸の上に“乗って”いる」(状態)
◯「箸の上に“座って”いる」(行動)
箸の上に息子が乗っているのは
「状態」です。
この「状態」を課題として把握し、
「やめなさい」と伝えても
人は動けません。
一方で、
「箸の上に
(自分の意志で)座っている」
というのは「行動」です。
ココに焦点を当てれば、
「別の行動をして欲しい」と
伝えることで相手の行動が変わります。
実は、冒頭で紹介した
「主体性がない」
「動かない」
というのも「状態」です。
人の課題は「状態」で捉える限り、
解決することはありません。
「行動」で把握する必要があるのです。
ただ、実際には「行動」を
「状態」と判別するのは難しいもの。
いったい、どうすれば良いのでしょうか?
実は、
便利なツールのがあるのです!
それは・・・。
3.「死人チェック」を使いこなす
行動分析学には「死人チェック」
という考え方があります。
このチェックに合格するかどうかで、
それが「行動」かどうかがわかります。
【死人チェックの考え方】・・・・・・・
◯ 死人でもできる
→「行動」ではない(=状態)
ex. 主体性がない、◯◯しない など
◯ 死人にはできない
→「行動」である
ex. “発言”が少ない、◯◯する など
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
例えば「主体性がない」というのは
「状態」です。
死人は、そのままの状態で居れば、
主体性がないですよね。
(ただただ、じっとしている。)
だから、このままでは、
この課題が解決することはありません。
「主体性がない」とは、
「どういう行動を指すのか」を
考える必要があります。
例えば「会議で“発言”が少ない」
というのもひとつ。
「発言」は、死人にはできないので、
これは「行動」です。
「では、会議で発言を増やすためには?」
と考え、施策を積み重ねていくことで
社員の「行動」は確実に変化します。
人の「状態」は変えることができません。
常に「行動」に焦点を当て、
それを改善するようにつとめていくと、
人の動きは大きく変化します。
「死人チェック」を活用して、
「生きた」指示を伝えていきましょう!
ライター:黄塚 森