経営は、いざ始めると周りに頼れる人も少なく、自分で、情報を収集することが重要となります。今回は、そんな情報収集の中でも一番一般的な本や書籍に関して、まとめました。
経営に役立つ本を、プレジデントアカデミーが提供する会社を成功に導く「経営の12分野」メソッドの目線で、28冊をご紹介します。
経営に役立つ本とは
そもそも経営に役立つ本とはなんでしょうか。「経営本」と呼ばれる、本屋さんの経営コーナーに置かれている本は、数えきれないほどあります。
本は種類もたくさんあります。多くの種類がある中で、業種が違うからや、ぱっと見の内容が異なるため、自身の経営に役に立たないということはありません。(専門的にはアナロジーという方法を使えば、どんなものでも自分の事業に応用できます。)本を読むことで得られるのは、知識だけではなく、ものの考え方や、人との接し方など、経営に役立つヒントがたくさん隠れています。
見た目が経営にかかわる本だけでなく、様々な本に経営に役立つヒントが隠されているのです。
経営に役立つ本の選び方
数多くの本から、読むべき一冊を探すのは大変な作業です。
経営に役立つと言われている本だけでも、膨大な量の本が出版されています。そんな時は、本を分野分けをして、ある程度絞ってみるのが1つの手です
具体的にどのように分類ができるか見ていきましょう。
経営の基礎を学ぶ
経営の基礎・基本を学ぶことが、まず経営者になるには必要です。経営者マインドや社長としての姿勢などを読むことがこれにあたります。
ほかの企業に対してどこを根本的に変えて経営したのかに関して、勉強することは、経営をするにあたって必要なこととなります。
ビジネスモデルなど、実践に役立つヒントを探す
事業の立ち上げ時には、必ずビジネスのフレームワークを考える必要があります。どのようなビジネスモデルであれば効率的に収益をあげられるのかや、仕組みとして社会に貢献できる要素を入れることができるかなどが重要となります。
経営に役立つ本には、このようなビジネスモデルへのヒントや既存の企業のビジネスモデルの紹介をした本が多くあります。こういった本はビジネスモデルの構築などに役に立つでしょう。
市場など、分析力の向上に役立つ本を探す
事業を行う上で、市場の動きを読むことは非常に重要です。ニーズやトレンドをつかみ続けることは、経営の判断を素早くできる一つの要因となります。
経営に役立つ本では、このような市場の動向をどのようにつかむかや競合他社に対してどのように対抗するのかを書いている本があります。そういった本も経営に役立つでしょう。
事例を探す
経営は新しいものではなく、過去に多く経営者が行ってきたものです。そのため、多くの事例があります。本になるものの多くは成功事例ですが、世の中には失敗事例も多くあり、それらも本で紹介されていることがあります。
経営を行うにあたって、多くの事例に触れておくことは事業を円滑に進めるにあたって重要になります。
おすすめの経営に役立つ本
経営に役立つ本を経営での重要なステップに分けてご紹介します。それぞれの段階で経営を助けてくれるほんとなりますので、参考にしてみてください。
ビジネス基礎に関して
経営を始めるにあたって、基礎や基本を学ぶなら次の三冊がおすすめです。
経営者になるためのノート
著者名:柳井 正
出版社:PHP研究所
出版年:2015年
ユニクロの社長が大切にする四つの力が紹介されています。欄外に書き込みができ、自分だけの一冊を完成させることができます。
経営者になるためのノート
社長力養成講座
著者名:小宮 一慶
出版社:ディスカバー•トェンティーワン
出版年:2009年
社長としての基礎や基本的な態度、目線の持ち方が分かります。金融危機を伴う景気後退のなかで、出版され、知恵を絞り、危機を乗り越え、むしろチャンスとしていこうとするすべてのビジネスパーソンに必須のスキルを提供しています。
あなたの会社が90日で儲かる
著者名:神田 昌典
出版社:フォレスト出版
出版年:1999年
営業の基礎がわかる一冊です。営業側主体の営業へと変化する方法が紹介されています。
営業側主体の営業とは、商品を買う際、客自らが店を探し出し、買わせてくれと言わせる方法であり、これを、エモーショナル・マーケティングと呼びます。
ミッションに関して
経営する際のスタートラインとなるミッションの設定やその浸透に対して、学ぶなら次の二冊がおすすめです。
小さな会社のビジョンのつくり方、浸透のさせ方
著者名:村尾 隆介
出版社:PHP研究所
出版年:2011年
小さな会社に特化したブランド戦略を行う専門家が執筆。ブランド戦略では、ミッションや会社の「ビジョン」や「クレド」を浸透させることが重要であり、その作り方が記載されています。
ビジョナリーカンパニー
著者名:ジム コリンズ
出版社:日経BP
出版年:2001年
理念経営の威力がわかります。世界的な名著で、傑出した業績を長期間持続させることに成功した11社を紹介しています。
商品力に関して
経営で重要となる競合他社との比較や価格の設定方法などを紹介する本です。
価格の心理学
著者名:リ コールドウェブ
出版社:日本実業出版社
出版年:2013
価格設定と人間心理について記載されています。価格設定に特化した書籍は珍しいです。
アイデアの作り方
著者名:ジェームズ W. ヤング
出版社:CCCメディアハウス
出版年:1988年
「人はどのようにしてアイデアを手に入れることができるのか」にフォーカスした本となっています。アイデアを生み出す過程と手段を紹介しています。
ポジショニングに関して
競合他社にたいして、どのような位置で販売をするのかを紹介した本です。
ポジショニング戦略
著者名:アル・ライズ
出版社:海と月社
出版年:2008
世界中で30年間読み継がれる、マーケターのバイブルです。
情報社会で「売れる商品」を生み出すための「基本戦略」そして「実践方法」を解き明かしています。
フォーカス!
著者名:アル・ライズ
出版社:海と月社
出版年:2007年
世界屈指のマーケティングコンサルタントの著者が執筆。「経営の多角化」でフォーカスを失い衰退した企業、自社の強みを的確に判断し、フォーカスを絞り込んで繁栄を続ける企業
の事例を検証し企業にとって対象を絞り込む事がいかに重要か、そして「何を」「どのように」フォーカスしたらいいのかを解き明かす!
ブランディングに関して
自社のブランドをどのように築いていくのかを紹介した本です。
ブランドのはじめかた
著者名:中西 淳 西澤 明洋
出版社:日経BP
出版年:2010年
経営とデザインの融合でブランドの作り方を解説しています。
赤字ブランドを黒字化し、成長をつづける「中川政七商店」十三代 中川淳と、「COEDO」「nana’s green tea」「生茶」など数々のデザインを手掛けるエイトブランディングデザイン代表 西澤明洋が、経営者、デザイナーそれぞれの視点から「ブランドのはじめかた」を解説します。
誰かに話したくなる小さな会社
著者名:浜口 隆則 村尾 隆介
出版社:かんき出版
出版年:2008年
小さな会社であっても、ブランドを持つと呼ばれる企業とはどういう特徴を持った企業なのかを解説しています。また、そんなブランドを持つ企業になるための秘訣も紹介しています。
集客力に関して
どのようにお客さんを集めるのかを紹介した本です。
実践マーケティング戦略
著者名:佐藤 義典
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
出版年:2005年
米国MBAで経営戦略の基本を身につけ、多くの企業のマーケティング課題を解決している実戦派マーケターの著者が開発した5つの「戦略ピラミッド」はアメリカ発のマーケティング戦略を日本風に変更したものです。この手法が紹介されています。
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?
著者名:森川 毅
出版社:KADOKAWA
出版年:2016年
若手ビジネスパーソン、学生必読のマーケティングの教科書です。USJをV字回復させた立役者が、成功を引き寄せるマーケティング戦略を紹介しています。
見込客フォローに関して
どのようにリードから商談に結びつけるかを紹介した本です。
4年連続No.1が明かす 訪問しないで「売れる営業」に変わる本
著者名:菊原 智明
出版社:大和出版
出版年:2006年
訪問しなくても売れる営業マンになれる秘訣を紹介しています。見込客から商談を始めるまでのステップがわかります。
THE MODEL
著者名:福田 康隆
出版社:翔泳社
出版年:2019年
セールスフォース・ドットコムでSaaSビジネスの急成長に立ち合い、自ら変革を実践してきた著者が「科学的アプローチ」「再現性」「ビジネスの成長」を重視して新たな営業手法を提案しています。
営業力
商談に結びついてから、成約するまでにどのように行動するべきかを紹介した本です。
絶対達成バイブル
著者名:横山 信弘
出版社:フォレスト出版
出版年:2016年
どのような状況でも目標を達成するための方法を400ページで解説、各項目が3-4ページで、目標を達成するための虎の巻としても使えます。
「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業
著者名:青木 毅
出版社:ダイヤモンド社
出版年:2014年
お客さんにほしいと思ってもらえるために、質問を使ってヒアリングをする秘訣をお伝えします。営業パーソンがするべきことを紹介しています。
CLV
お客さんが購入してから、CLVすなわち、カスタマーライフタイムバリューをどのように高めるかを紹介している本です。カスタマーライフタイムバリューとは、お客さんが購入してから解約されるまでに予想される収益のことです。
1人のお客様が100回再来店する店づくり
著者名:石川 佐知子
出版社:同文舘出版
出版年:2016年
サロンを開業後、業績を6年で17倍にできた秘訣を紹介しています。
小さな飲食店の忘れられない「記念日販促」
著者名:冨田 雅紀
出版社:同文舘出版
出版年:2012年
記念日をうまく活用することで、お客さんの満足度は大きく上がり、再販率も高まります。そんな丈夫な記念日の仕掛け作りを紹介しています。
経理・財務
企業を安定して経営し、成長させるために必要な経理。財務の知識を紹介した本をご紹介します。
起業のファイナンス 増補改訂版
著者名:磯崎 哲也
出版社:日本実業出版社
出版年:2015年
起業にまつわるファイナンス面を網羅的に解説した名著です。
【増補改訂】財務3表一体理解法
著者名:國貞 克則
出版社:朝日新聞出版
出版年:2016年
財務3表が簿記を知らなくてもわかるようになる本です。財務が苦手でも経営をするにはまずは読まないと始まらない1冊です。
チームビルディング
チームを生み出し、継続して運営するためのノウハウがわかる本をご紹介します。
「任せ方」の教科書
著者名:出口 治明
出版社:角川書店
出版年:2013年
60歳でライフネット生命保険を起業・成功させた著者が、部下マネジメント論を展開しています。
採るべき人 採ってはいけない人
著者名:奥山 典昭
出版社:秀和システム
出版年:2016年
小さな会社でも優秀な人材を獲得できるようになる秘訣がわかる本です。
仕組み化
会社の中で仕組みを生み出し、仕事に効率化を生み出す手法をご紹介します。
最少の時間と労力で最大の成果を出す 「仕組み」仕事術
著者名:泉 正人
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
出版年:2008年
仕事は才能や意志の力に頼らなくても「仕組み化」することによって、最小の時間と労力で最大の成果を出すことが可能になります。自分が働くのではなく「仕組み」に働かせる、
著者の実践例を中心に具体的に学ぶことができます。
仕掛け学
著者名:松村 真宏
出版社:東洋経済新報社
出版年:2016年
人がつい動きたくなる仕掛けづくりを紹介しています
投資とリスクマネジメント
経営を行う上で、必要な投資とそれに伴うリスクに関して解説した本をご紹介します。
おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ
著者名:正垣 泰彦
出版社:日経BP
出版年:2011年
サイゼリヤの創業者が、マーケティングや経営に携わる誰もが直面する課題にたいして、解決策を提案しています。
サイゼリヤ革命―世界中どこにもない“本物”のレストランチェーン誕生秘話
著者名:正垣 泰彦
出版社:柴田書店
出版年:2011年
大風呂敷を広げ、実現してきた、著者の経営手腕の秘訣を知ることのできる一冊です。
事例
経営を行う上での、過去の成功者や現在の経営者の成功事例などを知れる本をご紹介します。
ワークマン式「しない経営」
著者名:土屋 哲雄
出版社:ダイヤモンド社
出版年:2020年
4000億円の市場を切り開いたワークマンの経営戦略を知ることのできる本です。
いかなる時代環境でも利益を出す仕組み
著者名:大山 健太郎
出版社:日経BP
出版年:2020年
22歳で一念発起し、漁業用ブイの自社開発を始め、そして園芸用品やペット用品、半透明の収納ケース、生活者目線の「なるほど家電」、LED(発光ダイオード)照明と、アイリスオーヤマは核となる商品を次々と変えて成長してきました。
危機のときに必ず業績が飛躍的に伸びるのはなぜか?代表自らが語ります。
今回は、経営に役立つ本をご紹介しました。経営をする中で直面する課題ごとに整理していますので、各段階で必要な本を選び、参考にしていただければ幸いです。
【ライター】
田中 大貴
株式会社 Urth 代表取締役CEO
大学では、建築学を専門としながら、2018年4月からは早稲田大学で「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」を受講。 その後、文科省edgeNextプログラムの一つである、早稲田大学GapFundProjectにおいて2019年度の最高評価および支援を受け、起業。 早稲田大学建築学科では、株式会社エコロジー計画とともに、コンサートホール、宿泊所の設計、建設に取り組んだ。現在は、「〇×建築」をテーマにwebサービスの開発、営業から、建築の設計及び建設物の運営に関するコンサルタントまで幅広い事業を行う。
【監修】
野田 拓志
株式会社 ビジネスバンク
経営の12分野ガイド
早稲田大学非常勤講師
大学時代、開発経済・国際金融を専門とし、 その後「ビジネス×途上国支援」を行う力をつけるために一橋大学大学院商学研修科経営学修士コース(HMBA)へ進学。 大学院時代に、ライフネット生命の岩瀬氏や元LINEの森川氏に対して経営戦略の提言を行い、そのアイデアが実際に事業に採用される。 現在は、「社長の学校」プレジデントアカデミーの事業部長として、 各地域の経営者の支援やコンサルティングを行う。2017年4月からは早稲田大学で非常勤講師として「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」を行う。