顧客満足度という言葉を一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。顧客満足度をあげて、売り上げを伸ばそうや、利益拡大を狙いましょうといった会議がある会社もあるかもしれません。
しかし、顧客満足度とは実際、どのような意味なのでしょうか。その本当の意味や、顧客満足度を上昇させたときの効果などをご紹介します。
顧客満足度とは?
顧客満足とは、CSとも呼ばれ、Customer Satisfaction(カスタマー・サティスファクション)を日本語訳した用語です。
顧客満足度とは、会社が提供する商品やサービスが、顧客の期待値(満足度)にどの程度、応えているかを定義する指標となります。
顧客満足度を上昇させるには
お客さんが購入をするとき、それは製品を購入しているのでしょうか。
その答えはNoです。お客さんは、製品の先にある、製品を買ったことによる満足感を得るために、すなわち製品から得られる「満足感」を購入しています。
著名な経営学者であるドラッカーも「顧客は、満足を買っている」という言葉を残しています。
製品に対しての満足感とは、どのような瞬間に訪れるものでしょうか。
それは、製品への期待値を、購入後の製品がその期待を上回った瞬間に訪れます。
つまり、顧客満足度を上昇させるには、「お客さんが購入前に抱いていた期待値を、購入後に製品・商品・サービスの魅力が上回った瞬間」をいかに生み出せるかが重要です。
ここでは、その瞬間をどのように生み出していくのかを具体的に紹介します。
顧客の期待値の把握
まず最初に行うべきことは、顧客の期待値の把握です。競合がいれば、競合との比較もしながら、自社の製品に対して、一般的にどのようなことが期待されているのかや求められている効果を把握しましょう。
この期待値の把握が一番重要です。お客さんが本当に望んでいることは何なのか、正確に把握することで、何を重視して改良・改善に取り組むべきかが見えてきます。
期待値の集計では、以下の4つのやり方があります。
- インターネットでの調査
- アンケート調査の活用
- お客さんへのヒアリングの実施
- 統計データの活用
インターネットでの調査
インターネットでの調査は、この中では一番手軽です。製品の名前や所属する業界などを検索し、その関連キーワードを見てみましょう。
お客さんは、気になる情報をインターネットで調べることが多く、多くの人は製品と製品に関連するワードを一緒に検索します。検索ワードを見ることで、ざっくりとした期待値や期待されていることは把握できます。
アンケート調査の活用
インターネットでの調査よりも、より具体的に求められている効果を把握できる方法がアンケート調査です。こちらは、インターネットでの調査に比べるとかなり手間がかかりますが、より正確なお客さんからの声を知ることができます。
アンケートでは、特にお客さんの商品に対する事前の期待値を把握することに役立ちます。この期待値をド膿瘍にしたら、上回れるかを考えることで、顧客満足度を上昇させる秘訣が隠れています。
購入前、自社の製品に興味を持ってもらっているお客さんに、アンケートを実施する機会はないか考えてみましょう。
ヒアリングの実施
既存のお客さんからのヒアリングは、製品が実際に期待を上回れているのかや上回っていない点を把握できる手段となります。
購入前に期待していたことや購入後に期待値を上回った部分、購入前は予想していなかったが、意外にも効果がありうれしかった部分など、細かくヒアリングし、お客さんの期待やそこへのコミット具合を推察していくことが重要です。
統計データの活用
所属している業界が大きい場合や注目度が高い業界では、事前に調査会社が顧客が期待することや購入後のヒアリングをまとめている場合があります。
そのような業界全体の情報も知ることで、必ず満たす必要のある期待値を把握したり、上回る必要のある期待値を知ることができます。
自社商品の実績の評価
顧客の期待値を把握したら、次は自社商品がその期待値に対して、上回ることができているのかを調べましょう。
そもそもの製品の機能が、期待されていることを満たしているのかや、満たす機能はあってもお客さんに気づかれていないのではないかなど様々な視点で、調べる必要があります。
調べるには、実際に製品を客観的に見ることや既存のお客さんへのヒアリングが効果があります。
顧客満足度を上昇させる具体的な手段
顧客満足度を上昇させるには、お客さんの事前の期待値を把握し、それを上回る結果を残す製品となることで、達成できることがわかります。
ただし、お客さんの期待値はどのように図るのでしょうか。また、集めてきた意見はどのように整理して、改良する優先順位を付けていくのでしょうか。
ここでは、その改良の手段を具体的に紹介します。
NPSの活用
NPSとは、「Net Promoter Score」の略で、製品への愛情や信頼を数値化する定義です。
すなわち、既存のお客さんが自社の製品をどれほど気に入っているかを把握することができる基準を出してくれます。
NPSでは、自社の製品やサービスを利用した顧客に「あなたがこの製品やサービスを周囲の家族や友人に勧める可能性はどのくらいありますか?」といった質問を行います。
0〜10の10段階で回答してもらい、顧客ロイヤルティを測定。
その評価に応じて「推奨者」「中立者」「批判者」に分類します。
回答者全体の推奨者の割合(推奨者数/全回答者数)から、批判者の割合(批判者数/全回答者数)を引いた数値がNPSの指数となります。
つまり、数値が1に近いほど推奨者の割合が多い、良い製品やサービスであることがわかります。
CRMやSFAの活用
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と言い、顧客情報や行動履歴、顧客との関係性を管理し、顧客との良好な関係を構築・促進することを指します。
SFAとは、「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略語で、日本では「営業支援システム」などと解釈されています。具体的には、企業の営業部門における情報及び業務プロセスを自動化することで、営業活動が管理する情報全般をデータ化して、蓄積・分析することができるシステムを指します。
参照:https://www.salesforce.com/jp/hub/crm/what-is-crm/
上の図のように、CRMやSFAは、営業部門において全体を管理することが可能です。
CRMやSFAを用いることで、お客さんの事前の期待値を数値として図ることができ、また自社の製品が応えられるような期待値を持ったお客さんを絞り込むことができます。
顧客満足度を上昇させることによる効果
顧客満足度を上昇させることで狙える効果とはなんでしょうか。最後に、顧客満足度を上げることでの狙うべき効果をまとめてみました。
アップセルできる
アップセルとは、既存のお客さんにたいして、さらに同じ製品を買ってもらうこととなります。顧客満足度を上昇させることを実施すると、製品に対して、お客さんは満足し、また同じ課題があったときに購入しようという気持ちになりやすいです。
そのように、同じ人に複数回買ってもらえるようになることが一つ目の効果です。
既存の製品アップグレードにつながる
既存の製品に関しての期待値を把握し、そこをうわ回っているかを知ることで、自社の既存の製品の改善ポイントがわかります。
そこを改善していくことで、自社の製品はグレードアップし、または新しい製品を生み出すきっかけも生まれてきます。
今回は、顧客満足度を上昇させることにフォーカスをおいて、まとめてみました。まずは、お客さんからの期待値を把握することが重要です。
まずは、はじめられるところからやってみましょう。
【ライター】
田中 大貴
株式会社 Urth 代表取締役CEO
大学では、建築学を専門としながら、2018年4月からは早稲田大学で「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」を受講。 その後、文科省edgeNextプログラムの一つである、早稲田大学GapFundProjectにおいて2019年度の最高評価および支援を受け、起業。 早稲田大学建築学科では、株式会社エコロジー計画とともに、コンサートホール、宿泊所の設計、建設に取り組んだ。現在は、「〇×建築」をテーマにwebサービスの開発、営業から、建築の設計及び建設物の運営に関するコンサルタントまで幅広い事業を行う。