業務管理をもっと効率的に実施したいと思って、業務管理システムを調べてみたけど、種類が多すぎて、どれが自社に一番マッチするのかわからない。
そう思った方も多いのではないでしょうか。今回は業務管理システムの種類やおすすめのもの、導入事例を紹介します。どの業務管理システムを使えばいいのか分からない方は参考にしてください。
なぜ業務管理システムが重要なのか
業務管理を行う方法として、業務管理システムを活用する以外にも人材を採用したり、他社に外注したりといった方法があります。ただ、人材の採用や他社への外注は、業務管理システムを使う時と比べてコストが跳ね上がってしまいます。
そもそも前提として、業務管理は成果(売上)に直結するものだけではありません。そのため、できるだけ効率的にコスパの良い方法で行う必要があります。そう考えたときに、人材の採用や他社への外注はコストが大きすぎるのです。
一方で業務管理システムを利用すれば、人材の採用・育成・維持よりもコストを抑えられます。それだけでなく、管理が属人的になるという課題も軽減してくれるため、担当者の変更時も引き継ぎなどがスムーズに進むメリットがあります。
業務管理システムの種類
ここからはどんな業務管理システムがあるのかについて解説していきます。それぞれのおすすめツールや導入事例も紹介しますので、業務管理システムをこれから導入してみようと思っている方や入れ替えを検討中の方はぜひご覧ください。
営業管理システム
営業管理システムでは、主に営業活動の情報の管理や、必要な書類の作成などができます。具体的には顧客情報の管理、営業日報やTodoリスト、訪問計画の作成などです。
営業管理システムを導入すれば、効率的に営業が行えるようになるだけでなく、属人的な営業も防げるようになります。会社として営業の仕組みを作っていきたい方は営業管理システムの導入がおすすめです。
おすすめツール
・Senses:直感的に営業の状況の進捗管理ができるので使いやすい
・Sales Force:カスタマイズ性が豊富なので自社に合うものを作れる反面、導入費用がかかる
・Microsoft Dynamics 365:Microsoft製品と連携して扱える
導入事例
・Senses:受注件数が1.5倍、リードタイムが1/3
・Sales Force:顧客獲得数が4倍、1年のアイデア提案の採用数が数件から数十件以上に
・Microsoft Dynamics 365:約80%のペーパーレス化、手作業ゼロ
顧客管理システム
顧客管理システムでは、顧客の情報や顧客との関係性を管理します。顧客の情報を具体的に紹介すると、社名や連絡先などの基本情報に加えて、訪問結果や購入情報、担当者など営業に関することです。
顧客情報を一元管理することで、メール配信などのマーケティングに活用できます。コールセンターなど、顧客とのコミュニケーションが多い企業で導入されることが多いです。
おすすめツール
・Sales Force:先ほど紹介した営業管理も兼ね備えているツール。連携が簡単に行える。
・kintone:チーム全体の情報共有が効率化できる
・Zoho CRM:案件や売上見込みの管理なども含めた営業データの収集と分析を行うことができ、売上げアップをサポートする機能が充実している
導入事例
・Sales Force:リアル・オンライン双方での顧客接点強化
・kintone:飛躍的な成約件数増加にも対応、顧客体験向上を推進
・Zoho CRM:顧客情報の属人管理を解消、顧客対応の抜け漏れゼロ
会計管理システム
会計管理システムは、企業の会計にまつわることの管理や必要書類の作成ができるツールです。具体的には、キャッシュフロー管理や各種帳票、財務諸表の作成などが行えます。主に経理の部署で利用されることが多いシステムです。
紙で会計の管理をすると、ミスが発生しやすかったり、過去のデータを探すのに手間がかかったり、関連法規の改正が行われたときに自分で情報を集めて修正しないといけなかったりと、非効率的な部分が多いです。
会計管理システムを利用すれば、ミスが発生しにくくなったり、過去のデータもすぐに見つけられたり、関連法規の改正があったとしてもシステム側で対処してくれたりと、経理に関する業務がかなり効率化されます。
おすすめツール
・CCH Tagetik:設定が細かくでき、様々な業務に対応している
・Bizforecast:Excelを有効活用できる
・ZAC:プロジェクトに特化したシステム
導入事例
・CCH Tagetik:業務工数が5分の1に減少、管理コストを1年で10%減少
・Bizforecast:時間・心理コストの削減、1~2営業日かかっていたデータの抽出が30秒~1分に
・ZAC:月次の締めの処理が2日短縮、タイムリーな収支管理
販売管理システム
販売管理システムは、商品受注後の出荷や請求など、販売業務で発生する一連の流れを管理するためのシステムです。仕入れや入荷を含めた、在庫管理機能を持つものも多く、主に製造業や卸売業で活用されています。
販売管理システムでは、請求管理や納品管理も行うことができます。そのため、請求管理や納品管理を効率的に行えるようになったり、数値が見える化されることで、目標の確認などがスムーズに行えたりするでしょう。
おすすめツール
・楽楽販売:自社の業務フローに合わせてカスタマイズできるため、使い勝手が良い
・アラジンオフィス:販売・運用、保守まで一気通貫でサポート
導入事例
・楽楽販売:業務効率アップ、売上確定にかかる時間が半減
・アラジンオフィス:EC化率60%到達、伝票入力時間が最大約10時間短縮
生産管理システム
生産管理システムは、商品の生産にかかる費用や原価、品質、納期などを管理することができるツールです。主に製造業で利用されることが多いです。商品の生産状況を効率的に行うことができます。
また、販売管理システムと連携することで、生産から販売までを一元管理することができ、さらに管理や確認がしやすくなります。
おすすめツール
・EXPLANNER:複数工場対応・ユーザーごとに表示言語を変更できるなど、大規模な生産を行っている企業向け
・TECHS:多種多様な製品や工場の情報を一元管理できる中小製造業に最適
・Fu-jin・Raijin:自社工場を持たない企業にも対応
導入事例
・EXPLANNER:業務効率化・経営のスピード化、生産管理システムを活用し迅速な意思決定につなげる
・TECHS:月143時間の工数を削減、働き方改革の効果を実感
・Fu-jin・Raijin:売価の妥当性に確信が持てるように、正確な在庫管理と製造記録管理を実現
人事管理システム
人事管理システムは、社員の情報を管理するためのシステムです。具体的には、社員の個人情報や勤怠、給与計算、年末調整、入退社などの労務手続きなどを管理することができます。
中でも多く使われているのは給与管理と勤怠管理です。これまでは手作業で行われていましたが、時間がかかるのと、自動化しやすい部分ではあったため、人事管理システムを導入する企業が増えています。
とはいえ、システムを導入するのにはお金がかかります。そのため、まずは給与管理だけ、勤怠管理だけというように、必要な機能を絞ってから導入するのが良いでしょう。
おすすめツール
・SmartHR:40を超える外部サービスと連携可能
・freee人事労務:人事も経営層も操作しやすい画面設計
・マネーフォワード クラウド人事管理:マネーフォワードの他サービスと連携が可能
導入事例
・SmartHR:入社手続きの工数を6分の1に削減、紙のコストを5,000万円削減
・freee人事労務:年末調整にかかる作業が5分の1に、給与計算の初心者でも簡単
・Money Forward クラウドHRソリューション:業務負荷を3分の1に軽減
ERPパッケージ
これまで紹介してきた全て、もしくは複数のシステムを一元管理できるのが、ERPパッケージです。ERPパッケージは複数の部署にまたがる情報を一元管理できるので、経営の判断がしやすかったり、多くの部署のデータを活用することで新しい課題が見えてくるかもしれません。
ただし、ERPパッケージは高価なものが多いため、導入する前に本当に必要なのか?機能が過剰すぎないか?などは確認しておく必要があります。
おすすめツール
・RobotERPツバイソ:様々ある機能の内、部分的な導入も可能なのでスモールスタートしたい企業向け
・Microsoft Dynamics 365 Business Central:拡張性が高くカスタマイズも容易にできる
・MA-EYES:カスタマイズなしでも利用できる
導入事例
・RobotERPツバイソ:ヒト、モノ、カネといった情報を様々なアプリケーションとつなげられる、他システムとの連携が簡単にできて便利
・Microsoft Dynamics 365 Business Central:80%のペーパーレスを達成、業務の属人化からの脱却
・MA-EYES:経営の意思決定が迅速化、簡単に操作できる
個別特化型とERPはどちらがいいの?
個別特化型とERPはそれぞれメリットとデメリットがあり、一概にどちらがおすすめとは結論づけることはできません。そのため、ここでは個別特化型とERPがどんな企業に適しているかを紹介します。
ERPが適している企業は、業務管理システムに対して、充分なコストや時間・人的リソースを割くことができる大手企業です。なぜかというと、ERPは情報を一元管理できるという良さがある一方で、どのように管理するかは自社でカスタマイズしないといけない可能性が高いからです。
もちろん、カスタマイズせずに導入する事も出来ますが、カスタマイズしないときと比べるとどうしても効果が落ちてしまったり、使いづらさが出てきたりなどで、結果的に使われなくなるなども起こり得ます。そのため、ERPを導入する際にはカスタマイズが必須になってきます。
カスタマイズをするためには専門の知識が必要であり、導入費用が高額になってしまうのです。
ERPに比べると個別特化型はカスタマイズをする必要が無くなるので、導入費用が安くなる場合が多いです。ただ、例えば販売管理システムと生産管理システムを連携させる場合は同じ企業が出しているものを利用しないと連携しづらいなどといったデメリットが発生します。
業務管理システムにコストや労力をかけられるならERPパッケージを利用するのがおすすめですが、そうでない場合はできるだけ同じ会社が出している管理システムを利用するのが良いでしょう。
まとめ
業務管理は、業務管理システムを導入することで効率的に実施できる可能性が高まります。自社に最適な業務管理システムの導入に向けて、今回の記事を参考にしてみてください。
【ライター】
佐藤みちたけ
大分出身のライター。起業のワークショップなどを通じて、学校教育に違和感を覚え、高校を中退。その後上京し、17歳の若さでライターとして生計を立てる。現在では、様々な企業や団体でインタビュー記事の執筆や、Webメディアの運営などを行なっている。