同じようなタスクをしているのに、自分よりも早くできたり、効率よく「こなしている人は周りにはいないでしょうか?
または、経営者やチームの管理者となり、チームとしてこなす多くのタスクに追われている人もいるのではないでしょうか。
このように、タスクに追われている人がいる一方で、タスク管理を上手くこなし、効率よくタスクをこなす人もいます。今回は、そんなタスク管理の上手い人がやっているタスク管理の方法を紹介いたします!
タスク管理とは
やらなくてはならないことは日々やってきます。このやらなくてはいけないこと、すなわちタスクをただこなすだけでなく、「まずはどのようなタスクがあるのかを整理して、処理していくこと」をタスク管理といいます。
このタスク管理をすることで、やらなければならないことをむやみにやっていくことを防ぐことができます。
個人のタスク管理の方法
すでにタスク管理をおこなっている人も多いかもしれません。しかしながら、自分ではタスク管理をやっているつもりでも、なかなか上手く進まなかったり、自分で想定した時間通りに進まないということなどがあるのではないでしょうか。ここでは、タスク管理を初めて行う人にも、すでに取り組んでいるもののなかなか上手くいかない人にもおすすめの個人のタスク管理のやり方を紹介します。
タスクとするもの
タスクとは、やらなければならないことです。しかしながら、やらなければならない事とは、どこまで書き出せば良いのでしょうか。
例えば、朝食を作るといったタスクであっても、献立を決める、食材を買いに行く、調理をするといった細かなタスクにわけることができます、ここからさらに調理をする部分や買い物など、タスクはいくらでも細かくすることができます。
そのため、タスクとするものを決めるのは実は非常に難しいのです。タスクがうまくこなせない原因は実はタスクとするものがおおざっぱすぎたり、または細かすぎたりしているからかもしれません。
そんな人は次の順序でタスクを洗い出してみましょう。
- やらなくてはいけない目的を明確に記述してみる
- やることを作業レベルの目的まで分解する
- タスクを並列関係と直列関係に整理してみる
ここでいう目的とは、何のために、なぜといった行動の理由を表します。それに対して、よく混同される目標とは、いつまでに、何をどのくらい、どうするのか?といった手法・手順を表します。
- 目的:何のために、なぜといった行動の理由
- 目標:いつまでに、何をどのくらい、どうするのか?といった手法・手順
タスクを洗い出す時に必要なのは、目的です。すなわち、やることに付随する手法や手段(目標)ではなく、なぜそのタスクをやるのかといった理由(目的)が明確なタスクとそうでないタスクを見極めるのに使えます。
目的から洗い出した、タスクは必ず作業のレベルの目的まで細分化しましょう。
例えば、営業の電話をかけることは
「営業リストの作成」、「営業リストへの電話」、「次の営業リストの作成」、「次の営業リストへの電話」
のようにタスクを分解できます。
そして、ここから、直列と並列の関係でタスクを整理していきます。
一つ目の「営業リストの作成」と「営業先への電話」は、営業リストを作成しないとできないことなので、直列の関係となります。一方で、「営業リストへの電話」と「次の営業リストの作成」はどちらか一方をやらないとできないことではないので、同時に処理できる事すなわち並列の関係となります。
タスクの見える化をする
書き出したタスクは見える化しましょう。やらなくてはならないことを作業単位まで落とし込んだら、実行する必要があります。実行する際に必要となるのが、タスクの見える化です。
タスクの見える化には次の方法があります。
- タスクカードを作成する
- ツールを使う
一つ目の方法は、タスクカードを作成する方法です。
タスク管理で洗い出した作業をパッと確認出来て行動に移れるようにするのがタスクカードです。載せる内容で、最も重要なのは、そのタスクをやることで、達成できる目的を書くことです。そこに、やらなくてはならないことを書きましょう。
この時、詳細にすることを記述するのは禁物です。行動の目的は明確にすることは必要ですが、目的を達成するために必要な行動は複数あります。実際にタスクを行う時に最適な手段をとることが、タスクを最も効率よく処理することにつながるからです。
誰でもタスクカードを作成できるようにプレジデントアカデミーでサンプルPDFを作成しました。もしよければ、使ってみてください!
次にこのタスクカードをカレンダーに貼りましょう。カレンダーに貼るときは、ひとつ前で紹介した、直列、並列の関係を意識して、いつ、どのタスクをやるのかを明確にしましょう。
まず、直列の関係にあるものを並べます。その後、並列にできるものをそれぞれ、ずらしていきます。これがわかりやすいタスク管理方法になります。細分化したタスクが時間のかかるものであれば、日にちごとに分けてタスクを直列で並べ、空いた時間で時間をかけずにできるものを追加します。この時、一日の中に必ず空き時間を作りましょう。
仕事や日常生活では、予期しないことが必ず発生します。このタスクカードにない突然発生するタスクを解決する時間を事前に設けることが、元から計画したタスクを予定通り終わらせる秘訣となります。
二つ目は、ツールを使う方法です。
最近では、アプリやウェブツールで無料でタスク管理をできるものが増えています。こういったタスク管理ツールを上手に活用する方法もあります。目的を明確にし、タスクが判明したら、あとはタスク管理ツールの使い方にしたがって処理してみましょう。このとき、タスクの直列関係か並列関係かはよく考えて使いましょう。
ここでは、タスク管理ツールを2つ紹介します。
1.Google ToDO
Google ToDoは個人レベルのタスク管理に特化したツールです。個人レベルのタスクに特化していて、用途としてはリマインダー的な使い方ができます。
タスクはGoogleカレンダーから直感的に追加でき、直列関係や並列関係を意識しながらタスク管理が可能です。
参照:https://sevendex.com/post/1370/
2.Trello
タスクを看板形式に並べて管理する方式をカンバン方式といいますが、その方式で最も有名なタスク管理ツールがtrelloです。Trelloは、タスク管理の鉄則である直列、並列の関係を可視化できるだけでなく、多くのプラグインがあり、使い方に応じて仕様を変更できるが魅力です。
例えば、Trelloのタスクをある程度のマイルストーンで見たい場合の拡張「Elegantt」や、一時的に列を非表示にしたい際の拡張「Trellists」など、すべて無料で使えます。
タスク管理の見直し
タスクの管理方法も見直しをするようにしましょう。PDCAサイクルをまわすことでさらに良いタスク管理ができるようになります。チェックするポイントは次の二点です。
- タスクを定める目的がおおざっぱすぎではないか、または、細かすぎるのではないか。
- 予期せぬタスクが入る時間は十分にとっていたか
主にこの2点を確認することで、次にタスク管理に活かされるでしょう。やることをまずは明確にし、実践し、修復する事でタスク管理の上手い人を目指しましょう。
チームでのタスク管理の方法
会社で業務を遂行する際は、チームで動くことがほとんどです。では、このチームで動く場合はどのようにタスクを管理すれば良いのでしょうか。ここでは、管理職や経営者の方にも役立つ「チームでのタスク管理の方法」を取り上げます。
【チームでの上手なタスク管理法】タスクとするもの
チームでのタスク管理でも、タスクとするものの選定からやりましょう。ここでも、個人のタスク管理と同様にタスクの目的を細分化し、作業レベルの目的まで落とし込みましょう。
手順としては、個人のタスク管理と同様で、次の3つです。次の順序でタスクをチームで洗い出してみましょう。
- やらなくてはいけない目的を明確に記述してみる
- やることをチームで行う作業レベルの目的まで分解する
- タスクを並列関係と直列関係に整理してみる
- チーム内でのタスクの割り当てを決める
- 個人でのタスクの細分化を行う
チームでのタスク管理では、まず管理者がこの手順に沿って取り組み、最後はチーム全体で作成・同意を取っていきましょう。この手順に沿えば、やることがチームの中で明確化され、目的を共有することができます。
【チームでの上手なタスク管理法】タスクの可視化
チームでのタスク管理をするときは、個人でのタスク管理の方法と同じく、タスクを見える化することが重要です。個人の時と異なる部分は、目的の明確化をある一定のレベルで個人に決めさせるところでしょう。
個人でタスクを管理するときは、すべてを自分で決める事となりますが、チームでタスク管理をするときは、すべてを管理者が決めてしまっては、残りのチームメンバーは決められた仕事をこなすだけとなってしまいます。
したがって、ここでは個人のタスク管理でも重要であった、作業部分にバッファーを作ることがより一層必要です。例えば、タスクカードを用いてチームでのタスク管理をする場合、それぞれチームメンバーに割り当てられたタスクをやることで、達成できる目的を書くことをチームメンバーに求めましょう。
まず、お客さん赤らの要望や経営者からの指示に応じて、チームに求められる目的を管理者が決めます。
次に、その目的をチームで行うレベルまで目的を細分化し、それに必要なタスクを洗い出します。この作業は、管理者だけで行った後にチームと共有して、ブラッシュアップするのがお勧めです。
最後に、チームでの作業レベルの目的から個人へのタスクを割り振ります。そこから先の目的の細分化やタスクの洗い出しは個人に任せましょう。
【チームでの上手なタスク管理法】プランニングとそのツール
個人で行うレベルのタスクの洗い出しができたら、そのやる順番をプランニングしましょう。
なるべく計画外のタスクが出ないように、出てきたタスクを整理することが重要です。
このプランニングが経験によって差が出てしまうと、新人であればあるほど、見落としていたタスクが生じることが多くなってしまいます。そのため、タスクのプランニングは経験に寄らずに誰でも上手くできることが求められます。
この経験の差を埋めるプランニングの方法の一つがWBSというものです。
WBSとはWork Breakdown Structureの略称で、タスクの親子関係を体系的に整理していく方法です。
WBSによるプランニングの方法は、タスクカードで明確にした仕事の目的を達成するために必要なアウトプットを定義することから始まります。
アウトプットをつくるための作業をアウトプット側、つまり、仕事の下流から上流に逆上るようにして作業を洗い出します。
「○○のために、何をしなければならない」という流れで考えることで、経験が無くても必要なことをもれなく洗い出すことができます。
【チームでの上手なタスク管理法】スケジューリングとそのツール
チームでタスク管理をする場合は、チームメンバーそれぞれにタスクを割り当てることが必要です。ここで重要なのは、チームの状況に応じて、タスクの割り当て方法を決めることがスムーズなタスク処理につながることです。
タスクのスケジューリングは次の三つがあります。
①納期に間に合わせるスケジューリング方法
②能力差を考慮したスケジューリング方法
③品質・リスク基準のスケジューリング方法
①納期に間に合わせるスケジューリング方法
このスケジューリング方法はチーム内の能力差が小さいときに有効なスケジューリング方法です。タスクを納期を最優先事項で管理する方法となります。
②能力差を考慮したしたスケジューリング方法
このスケジューリング方法は、チーム内での能力差が大きい時に有効なスケジューリング方法です。ベテランが新人よりも多くのタスクをこなしたり、タスクを行う時間の中にベテランが新人を育成する時間を設けるなど、能力差を考慮したスケジュールを行う方法です。
③品質・リスク基準のスケジューリング方法
このスケジューリング方法は、管理者がチームでのタスクをチェックするときに必要な視点となります。納期をまもることは必須ですが、その際にどのレベルの品質を達成するかが重要となります。タスクを行っている本人、なかなか気づきにくい点であるため、チームのメンバーが行き過ぎたクオリティでタスクをやっていないかを管理者が見ることによって、チーム全体として、納期に対しても適切な品質でのタスク処理ができるようになります。
タスクの進捗管理方法
個人とチームでのタスク管理方法で最も大きな違いは、進捗を複数人で管理しなければならないことです。
進捗を管理することがチームのマネジメントにおいては非常に重要になります。
タスクの進捗管理では、品質の進捗管理と納期の進捗管理がありますが、進捗の管理では、品質の進捗管理に重点を置きましょう。タスクを行っている本人には、品質の管理はなかなか見えにくい部分であるため、管理者が管理することが必要です。また、進捗の管理では、結果の管理ではなく、過程の管理が重要です。品質を確保するためにも過程を管理することが必要です。
過程の管理では、、誰が持てもわかりやすくするために完成に対する度合を数値化するとわかりやすくなります。
PDCAサイクルを回す
定期的に、PDCAサイクルをまわすことで、チームとしてのタスク処理能力を上げていきましょう。チームでは、新人の成長など、多くの変化が起こります。変化に応じて、柔軟にタスク管理を変更していくことで、チーム全体での能力が上がるでしょう。
今回はタスク管理の上手い人となるための方法を個人でのやり方とチームでのやり方に分けてご紹介しました。タスク管理を上手くすることで、仕事の効率は格段と良くなり、業務全体の改善にもつながります。今回紹介した方法は一例ですが、チームや個人で取り入れてみてはいかがでしょうか。
【ライター】
田中 大貴
株式会社 Urth 最高執行責任者
大学では、建築学を専門としながら、2018年4月からは早稲田大学で「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」を受講。 その後、文科省edgeNextプログラムの一つである、早稲田大学GapFundProjectにおいて2019年度の最高評価および支援を受け、起業。 早稲田大学建築学科では、株式会社エコロジー計画とともに、コンサートホール、宿泊所の設計、建設に取り組んだ。現在は、「〇×建築」をテーマにwebサービスの開発、営業から、建築の設計及び建設物の運営に関するコンサルタントまで幅広い事業を行う。
【監修】
野田 拓志
株式会社 ビジネスバンクグループ
経営の12分野ガイド
早稲田大学非常勤講師
大学時代、開発経済・国際金融を専門とし、 その後「ビジネス×途上国支援」を行う力をつけるために一橋大学大学院商学研修科経営学修士コース(HMBA)へ進学。 大学院時代に、ライフネット生命の岩瀬氏や元LINEの森川氏に対して経営戦略の提言を行い、そのアイデアが実際に事業に採用される。 現在は、「社長の学校」プレジデントアカデミーの事業部長として、 各地域の経営者の支援やコンサルティングを行う。2017年4月からは早稲田大学で非常勤講師として「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」を行う。