コストリーダーシップ戦略 とは? メリット・企業事例 成功ポイント を解説

コストリーダーシップ戦略とは、企業が競争優位を築くための経営戦略の1つです。
低コストでの製品・サービス提供の実現により、価格や利益率における競争優位性を確立します。

その名の通り「コスト」に着目した戦略ですが、単に「価格を下げる」ことではありません。
コストリーダーシップ戦略の本質を理解しないまま実行すると「頑張って安売りした」のに、「利益率が低下し、赤字」となる可能性もあります。
戦略の本質、成功のポイントを押さえて活用していきましょう。

自社の経営戦略を検討している経営者の皆さんは、ぜひ戦略の1つとして参考にしていただけると幸いです。

コストリーダーシップ戦略の概要

コストリーダーシップ戦略は、企業が採用する競争戦略の1つとして広く知られた取り組みです。
収益を拡大する際に、コストリーダーシップ戦略を用いる上で、以下の基礎情報は押さえておく必要があります。

  • コストリーダーシップ戦略とは?
  • ポーターの基本戦略における位置づけ
  • コストリーダーシップ戦略と低価格戦略の違い

コストリーダーシップ戦略を正しく理解して、ビジネス成長を進めましょう。

経営戦略の選択に迷ったり困ったりしている方はこちらを参考にしてください。

» 「経営戦略とは?」~優れた経営戦略を立てる3つの基本~定義・種類・フレームワークをご紹介

コストリーダーシップ戦略とは?

コストリーダーシップ戦略は、低コストで製品・サービス提供を実現し、競争優位を確立する経営戦略です。
ハーバード大学の教授である経済学者マイケル・ポーター氏によって提唱された基本戦略の1つです。大きく2つの方向性があります。

コストリーダーシップ戦略の方向性

①低コストを活かし、他社が実現できない安い価格で販売。価格における競争優位性を確立し、市場シェアの拡大を図る。
②低コストを活かし、他社と同等の価格でも高い利益率を実現。高利益率で競争優位性を確立する。

「コスト」に着目して競争優位を築き、市場の「リーダー」を狙っていく経営戦略だから「コストリーダーシップ戦略」です。

ポーターの基本戦略における位置づけ

マイケル・ポーターが提唱する3つの基本戦略とは「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」の3つです。
コストリーダーシップ戦略はポーターの基本戦略において、広い市場を対象に低コストを競争優位性としてシェア拡大や収益性の向上を図る戦略です。

コストリーダーシップ戦略とは?メリットや成功のポイント・企業の事例を解説、図1、ポーターの基本戦略における位置づけ

コストリーダーシップ戦略は市場シェアの大きな企業が取り組むケースが多いですが、必ずしも大企業である必要性はありません。
確かに、低コスト化を推進するにはある程度の財務基盤は必要ですが、低コスト化するノウハウ・技術・経験のある企業ならば取り組める戦略です。

差別化戦略や集中戦略の中身に興味のある方は、こちらの記事も参考にしてください。

» 差別化戦略とは?必要性・成功事例・メリットやデメリットも徹底解説


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コストリーダーシップ戦略と低価格戦略の違い

コストリーダーシップ戦略と低価格戦略の違いは、収益性確保を考慮しているか否かです。

低価格戦略は市場の中で最も安い価格で製品やサービスを提供してシェア拡大を目指す戦略であり、その際に利益の有無は考慮されないのが特徴です。
一方でコストリーダーシップ戦略は、コスト削減に焦点を当てた取り組みであり、販売価格を落とすことを前提にした戦略ではありません。
そのため、コストリーダーシップ戦略では収益性の維持・向上が見込めますが、低価格戦略では収益性の悪化により事業撤退の可能性もあります。

コストリーダーシップ戦略で実現される価格は利益が確保されており、収益性を無視した低価格戦略における価格とは全く意味が異なります。

コストリーダーシップ戦略のメリット4つ

コストリーダーシップ戦略とは?メリットや成功のポイント・企業の事例を解説、画像2、コストリーダーシップ戦略のメリット4つ

コストリーダーシップ戦略を適切に実行できると、さまざまなメリットを享受できます。
企業戦略として検討する際に、把握しておくべきコストリーダーシップ戦略の具体的なメリットは4つ挙げられます。

  1. 価格競争力の向上
  2. 市場シェアの拡大
  3. 収益性の向上
  4. 新規参入・代替品への耐性強化

コストリーダーシップ戦略で期待できるメリットを正しく把握し、自社で採用した場合の効果を見極めましょう。

メリットその1:価格競争力の向上

他社よりも低いコストで製品やサービスを提供できるため、価格競争において優位に立つことができます。

「価格競争力」=「安売り」と考える方がいますが、そうではありません。
価格を安くしても利益を確保できる最低ラインが他社よりも低いため、取れる選択肢が多くなり、戦略上優位に立ちやすくなる状況を意味します。
例えば、他社が低価格戦略でシェア拡大を狙ってきた場合には価格を下げて防いだり、価格が拮抗し硬直している場合には利益確保を進めたりできます。

市場シェア拡大や新規参入・代替品への耐性強化を実現するために”手段として”価格を下げることであり、値下げが目的にならないよう注意しましょう。

メリットその2:市場シェアの拡大

他社よりも低価格で販売が可能になると、多くの顧客を獲得でき、市場シェアの拡大が見込めます
購買企業・消費者にとって安価な販売価格は魅力的であり、自社の製品・サービスを選択してもらいやすくなるためです。

例えば、製品・サービスの価格を重視する顧客であれば、今まで他社の商材を利用していても自社商材に切り替えを検討する可能性が高まります。
販売単価を落としても販売数が大幅に増えれば、結果的に売上高が増加して市場シェアの拡大につながります。

他社が実現できない安価な販売により市場シェアを一気に拡大しましょう。

メリットその3:収益性の向上

低コストでの運営を実現しつつ、販売価格を維持できれば、利益率は向上していきます。
なぜなら、抑制できたコストはそのまま利益として確保できるためです。

例えば、価格競争力が競合他社よりも優位で一定のシェアも確保できている場合には、無理に販売単価を落とす必要はありません。
その上でコストの無駄を省いて利益の拡大を進めれば、その利益を原資に既存ビジネスの拡大戦略や新たな戦略遂行を進めやすくなります。

コストリーダーシップ戦略で収益性を高め、成長投資のための原資確保を加速しましょう。

メリットその4:新規参入・代替品への耐性強化

低コストでの運営体制が構築できると、新規参入者にとって大きな障壁となり、自社の脅威に対する耐性強化につながります。
既存企業が築いた低コスト体制に打ち勝つには大きな費用と時間の投資が必要となり、強固な資本力を持つ企業以外は新規参入が困難になるためです。

市場に対する新規参入者や代替品が脅威になるケースは、販売価格が安価であったり、同価格でも高品質や高機能を実現している場合です。
しかし、低コスト化が実現できていれば、利益確保した上での安価な価格への見直しや商材の高付加価値化のための投資で対抗できます

魅力的な市場であるほど新規参入や代替品の脅威は高まるため、コストリーダーシップ戦略によるコスト競争力の強化で脅威への抵抗力を高めましょう。

新規参入や代替品による脅威を踏まえた市場環境を分析するファイブフォース分析に興味のある方は、こちらの記事も参考にしてください。

» ファイブフォース分析の概要や実施方法は?メリットや具体例をわかりやすく解説

コストリーダーシップ戦略のデメリット4つ

コストリーダーシップ戦略とは?メリットや成功のポイント・企業の事例を解説、画像3、コストリーダーシップ戦略のデメリット4つ

コストリーダーシップ戦略にはデメリットもあるため、企業戦略としての採用価値を見極めるにはメリットとてんびんにかける必要があります。
コストリーダーシップ戦略を選択した場合に想定されるデメリットは4つに整理されます。

  1. 価格競争の激化
  2. 製品・サービスの劣化
  3. 大きな投資の必要性
  4. 技術革新の遅れ

市場動向や競合企業との関係性、自社の経営状況への影響などを踏まえて、コストリーダーシップ戦略の採用が適切か判断しましょう。

デメリットその1:価格競争の激化

他社も同様の戦略を採用すると過度な価格競争に陥り、市場シェアは伸びずに利益率が低下する可能性が高まります。

安価な販売価格は強力な競争優位性の1つであり、顧客にも理解されやすく、購買行動への影響力も大きいのが特徴です。
そのため、市場シェアを高めたい企業が他社のシェアを奪うことを考える場合、価格低減アプローチは効率的かつ効果的な方法です。
しかし、「自社が価格を下げると他社も同様に値下げする」状況が続くと、過度な価格競争に陥り業界全体の利益率が低下する可能性があります。

「他社との価格競争に負けずに売る」ことを目的化すると、過度な価格競争から抜け出せず「売っても売っても利益が出ない」状況となり本末転倒です。

デメリットその2:製品・サービスの劣化

コスト削減に重点を置くあまり、製品やサービスの品質が犠牲になる可能性があります。
過度にコスト削減を追求すると、本来必要な業務の省略や低品質な素材への切り替えが発生し、製品やサービスの品質維持が困難になるためです。

例えば、経験豊富な職人が必要な工程に安価で低スキルな人材を投入すると、コスト抑制できますが製造品質の担保が難しくなる場合があります。
さらにコスト削減を進めすぎて「安かろう悪かろう」に陥ると、顧客満足度の低下やブランドイメージの低下を引き起こす恐れもあります。
また、原材料の調達価格を優先して低品質なものを採用すると、歩留りの悪化による数量不足や製品品質の悪化も発生しかねません。

「品質を落とさずに」低価格を実現するからこそ、顧客の評価を得て市場シェア拡大につながる点を見失わないようにしましょう。

デメリットその3:大きな投資の必要性

「低コスト」を実現するには、生産・運営プロセスを効率化したり新たな設備を導入したりと、大きな費用がかかります
プロセスの効率化などは取り組めばすぐに実現できるものではなく、時間をかけてノウハウを蓄積させながら改善していくものです。

つまり、コスト削減には費用と時間が不可欠であり、それらなしにコスト削減を進めても十分な効果は得られません。
よって、費用と時間をふくめた「投資」として捉えた上で、コストリーダーシップ戦略の有効性を検討しましょう。

デメリットその4:技術革新の遅れ

短期的には低価格により競争力を得られても、技術革新への投資不足で長期的には競争力を失う場合があります。
低コストを維持するために、新しい技術やプロセスへの投資がおろそかになってしまうためです。

多くの産業において、過去から技術刷新せずに存続している企業を見つけるのは難しいです。
競合他社は絶えず技術革新を通じて競争力を磨いているため、自社が技術革新をやめるとたちまちシェアなど市場での立場は変わります。

コスト削減の対象はムダなコストに留めるべきであり、技術革新への投資をコストとみなすと自社の将来性に悪影響を及ぼす可能性があります。

コストリーダーシップ戦略での成功のポイント5つ

コストリーダーシップ戦略とは?メリットや成功のポイント・企業の事例を解説、画像4、コストリーダーシップ戦略での成功のポイント5つ

コストリーダーシップ戦略を成功させるには、コスト抑制に関する取り組みを多重に組み合わせる必要があります。
単一のコスト削減施策だけでは削減できるコストが限られたり、効果が長続きしなかったりして、持続可能なコスト競争力の獲得が困難なためです。

コストリーダーシップ戦略を推進する際に、コスト削減につながる検討すべき事項は5つです。

  1. コスト構造の把握
  2. 規模の経済の追求
  3. 生産・運営プロセスの効率化
  4. 経験に基づく作業の効率化
  5. 市場・競合の動向を踏まえた価格設定

コスト競争力を競合他社との差別化ポイントにして競争優位性を獲得すべく、取り得るコスト削減施策を講じましょう。

ビジネス全体におけるコスト競争力も含めた競争優位性を分析するバリューチェーン分析に興味のある方は、こちらの記事も参考にしてください。

» バリューチェーン分析とは?やり方やメリット、実企業の分析事例を解説

成功のポイントその1:コスト構造の把握

効率的かつ効果的なコスト削減の施策を講じるためには、製品やサービスの生産や販売の過程で発生するコストを業務単位で把握する必要があります。
発生しているコストが大きければ、対策による削減効果も大きくなる可能性があるためです。

コスト把握を進める際には、自社のコスト構造を分析して特徴やコスト削減の可能性を明確にする必要があります。
コスト同士の依存関係やコストが必要となる理由まで追求しましょう

成功のポイントその2:規模の経済の追求

生産規模を拡大して1度に大量生産できるようになると、より低い単位コストで製品の生産が可能です。

このアプローチは「規模の経済」を追求する方法であり、製品あたりにかかる固定費を下げてコスト競争力を高める手法です。
規模の経済は生産規模拡大だけでなく、原材料などの調達量を増大させて、単位調達コストを低減する方法もあります。

コストリーダーシップ戦略とは?メリットや成功のポイント・企業の事例を解説、図2、規模の経済の追求

一定以上の調達量や生産量を確保するには販売・受注数の安定が必要なため、調達・生産・営業などの主要業務が一体となって取り組むことが重要です。

規模の経済が実現できる状況になると、企業はより低い単位コストでの製品生産が可能です。

成功のポイントその3:生産・運営プロセスの効率化

コストを削減するためには、生産プロセス・運営プロセスを効率化し、無駄の排除を追求するのが重要です。
なぜなら、業務効率化により製品・サービスに関する業務時間が短縮されれば、人件費や光熱費など時間に影響されるコストを削減できるためです。

業務効率化には業務の自動化も含まれ、作業をロボットで代替できれば、業務の安定性向上で歩留まりも向上して無駄になる費用も削減できます。
また、業務の効率化は新たな設備や仕組みの導入ありきではなく、業務のムリ・ムラ・ムダを洗い出して順番に業務内容を見直す方法もあります。

効率化の取り組みでは原価低減に注力しがちですが、供給チェーンの最適化も含めた全体・プロセスにも目を向けましょう。

業務効率化のアプローチとして注目されているDXに興味のある方は、こちらの記事も参考にしてください。

» 中小企業のDXとは

成功のポイントその4:経験に基づく作業の効率化

経験から培ったノウハウに基づく独自の技術や工夫の積み重ねは、製品やサービスにおけるコスト削減に効果的です。

例えば、生産量が増加するにつれて作業者の習熟や生産プロセスの効率化などにより、製品の単位コストが低下する現象は経験曲線効果と言われます。
累積生産量の増加により、作業の効率が向上し、その結果として時間とコストが節約されます。

年月を積み重ねて習得した知恵や技術は自社独自のコスト削減手法であり、継続的なコスト競争力の強化に寄与します。

成功のポイントその5:市場・競合の動向を踏まえた価格設定

価格における競合優位性を発揮し、かつ利益を確保できる価格の戦略的な設定が重要です。
価格は市場における競争優位性に大きな影響力を持つだけでなく、収益性にも影響する重要な要素であるためです。

コスト削減に合わせて価格を下げた際、他社の値下げを引き起こし価格競争に陥ると、シェア拡大どころか自社の売上が低下する恐れがあります。
そのため、価格設定は値下げありきではなく、シェア・収益性・競争優位性を踏まえて価格の据え置きや必要に応じて値上げの検討も必要です。

自社の製品やサービスが競争している市場を理解し、顧客のニーズや競合他社の戦略を分析した上で価格設定しましょう。

コストリーダーシップ戦略の導入手順

コストリーダーシップ戦略とは?メリットや成功のポイント・企業の事例を解説、画像5、コストリーダーシップ戦略の導入手順

コストリーダーシップ戦略を進める際に実施すべき手順は3つに整理されます。

  1. 自社と競合他社の状況におけるコスト状況や販売価格を評価
  2. シェア拡大を狙える販売価格を設定
  3. 上記価格でも収益を確保するための生産から販売にかかるコスト削減施策の実行

戦略実行の際に注意すべきは、顧客視点で新たな販売価格と確保すべき利益率から計算される、コスト削減目標の明確化です。
目標がなく漠然とコスト削減を進めると社員のモチベーションが低下したり、継続するのが困難になる可能性があるからです。

コスト削減の取り組みは、業務見直しや新たな取り組みへの対応などで社員の負荷が高まるため、賛同・協力してもらえる環境作りも考慮しましょう。

コストリーダーシップ戦略の成功企業例

コストリーダーシップ戦略とは?メリットや成功のポイント・企業の事例を解説、画像6、コストリーダーシップ戦略の成功企業例

コストリーダーシップ戦略を採用して、市場での立場を強固にしている企業はいくつもあります。
高いコスト競争力に基づく魅力的な販売価格は、市場から高い支持を得やすく、結果的にシェア獲得や拡大につながりやすいためです。

コストリーダーシップ戦略の具体的な企業事例として3社を取り上げます。

  • サイゼリヤ
  • マクドナルド
  • ニトリ

成功企業の取り組みを参考にして、自社ならではのコストリーダーシップ戦略を推進しましょう。

サイゼリヤ

サイゼリヤは「配送システムの効率化」「徹底したマニュアル化」などにより低コストでの運営を実現しているビジネスモデルで有名です。

サイゼリヤは、自社農場を持つことで新鮮な野菜を各店舗に効率良く配送するシステムを構築しています。
品種改良も自社で手掛け、生産性の高い野菜への改良がさらに効率化を促進しています。
また、徹底的に業務をマニュアル化して少数精鋭で運営が可能となっているため、人件費の削減効果も顕著です。

コストリーダーシップ戦略により、サイゼリヤは低価格ながら品質の高い料理を提供し、顧客から人気を得て市場での競争力を維持しています。

マクドナルド

マクドナルドは「物流システムの効率化」「サービスの標準化」「オペレーションシステムの効率化」などにより低コストでの運営を実現しています。

マクドナルドはハンバーガーのバンズをサプライヤーから直接店舗へ配送し、その他の食材は配送センターを経由して効率的に運ぶことで、物流コストを削減しています。
また、全店舗で共通したメニューを導入して従業員教育を徹底した結果、サービスを標準化。このようにして、同じ品質の商品を安定的に供給し、低コストでの販売を実現しています。
さらに、商品提供までの時間短縮に常に注力し、オペレーションシステムを毎年改善。そのため、迅速かつ効率的な商品提供が可能となりました。

コストリーダーシップ戦略により、マクドナルドはファーストフード業界で価格における競合優位性を確立しています。

ニトリ

ニトリは「商品企画・調達・生産・物流・販売」を一括して自社で担うビジネスモデルを採用して、低コスト化を実現しています。

「商品企画・調達・生産・物流・販売」を全て自社で対応する取り組みはSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)と呼ばれています。
SPAを採用すると、製品の製造や販売に関わる業務を包括的に自社で管理できるため、コスト削減を進めやすくなるのが特徴です。
また、製品に関わる主要業務を自社で担うことで製品品質も確保しやすくなり、自社の戦略に見合った品質と価格の両立が可能です。

SPAはアパレル業界で始まった手法ですが、家具業界でいち早く導入したことで高いコスト競争力を獲得し、市場での競争優位性を維持しています。

コストリーダーシップ戦略で更なるコスト競争力の追求へ

コストリーダーシップ戦略とは?メリットや成功のポイント・企業の事例を解説、画像7、コストリーダーシップ戦略で更なるコスト競争力の追及へ

コストリーダーシップ戦略は、企業が価格における競争優位を築き、市場で成功を収めるための有効な経営戦略の1つです。

コストリーダーシップ戦略の方向性

①低コストを活かし、他社が実現できない安い価格で販売。価格における競争優位性を確立し、市場シェアの拡大を図る。
②低コストを活かし、他社と同等の価格でも高い利益率を実現。高利益率で競争優位性を確立する。

コストリーダーシップ戦略を「価格を安くする戦略」と安易に捉えてしまうと、失敗につながるため危険です。
競合企業に対して競争優位を築くための経営戦略であって、コストを押さえても競争優位が実現できないのであれば、戦略として機能していません。

また、中小企業では「規模の経済」を有効活用するのが難しいため、コストリーダーシップ戦略に安易に走らず他の戦略を優先する方が良いでしょう。

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【監修】
黒田 訓英
株式会社 ビジネスバンク 取締役
早稲田大学 商学部 講師
中小企業診断士
早稲田大学商学部の講師として「ビジネス・アイデア・デザイン」「起業の技術」「実践起業インターンREAL」の授業にて教鞭を執っている。社長の学校「プレジデントアカデミー」の講師・コンサルタントとして、毎週配信の経営のヒント動画に登壇。新サービス開発にも従事。経営体験型ボードゲーム研修「マネジメントゲーム」で戦略会計・財務基礎を伝えるマネジメント・カレッジ講師でもある。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。日本ディープラーニング協会認定AIジェネラリスト・AIエンジニア資格保有者。経済産業大臣登録 中小企業診断士。