起業したら、「未来を予測する」ということを仕事としてやらなくてはなりません。
会社の行き先を決めるのは、経営者の最も重要な仕事です。社員を抱えたならなおのこと「どこに行くか」「どうやって行くか」がわからないでは許されません。
だから、起業家はシャーマンになる必要があると私は思っています。
今は昔と比べてビジネスサイクルが早くなっています。これまでは、100年以上のサイクルで変化してきたことが、今は30年も待たずにくるくる変わります。
それは、音楽業界の激変を見れば明らかです。
100年以上にわたって人々に浸透してきたドーナツ盤レコードは、CDの出現で急激に姿を消し、そのCDもあっという間にデータ配信に取って代わられました。以前はデパートや駅ビルにはレコード店が必ずあったのが嘘のようです。
たとえば、昔は靴店で起業したら、ちゃんとビジネスをしていれば一生、靴店を続けることができました。しかし、もしかしたら靴店という形態は無くなるかもしれないし、靴自体が必要とされなくなるかもしれないのが、今という時代です。
経営者にはなおさら、未来を読む力が求められるのです。
これからのビジネスは、大まかに次の4つの方向に向かいます。
(1)より簡便になる
(2)より短時間でできるようになる
(3)よりカスタマイズされていく
(4)より満足化されていく
こうしたことを踏まえて、マクロな視点であなたのビジネスの10年後、30年後を見据えてみましょう。
私がレンタルオフィス事業を始めたのも、以前は大きな会社が中心だったのが小規模企業が増えつつあったことや、小規模でもできるサービス業が経済社会の主流になりつつあったことから、「10年後、20年後にはレンタルオフィスは必要とされる」という確信が持てたからです。
起業するときには、実は、2年後くらいを予測できたらベストです。1年後のことは他の多くの人にもわかるでしょうし、5年後のことがわかっても、そこまで続けていられる体力がないことが多いからです。
しかし、2年後の予測は、10年後を予測するより難しいです。
10年後の社会は、だいたいあなたの予測した方向に向かうとしても、その間に小さなブレが出ます。このブレを読むことは簡単ではありません。
たとえ2年後が読めなくても、常に「2年後、10年後はどうなるんだろう」と考えるクセをつけると、だんだん予測能力は高まっていきます。
今から、社会のあらゆる側面に目を向けて、ロジカルにビジネスを予測する力をつけていきましょう。
▶︎Point|「10年後の社会はどうなっているか?」を真剣に考えてみよう