2020年より、少しずつ日本のビジネス紙面で目にするようになった「パーパス」という言葉ですが、2022年にはビジネスの実践においても大きく広がり、経営の取り組み方としてアクティブになってきています。
その中でも、まずは大企業に取り入れられてきていたパーパスを用いたブランディング、すなわちパーパスブランディングが中小企業でも注目されるようになってきました。
今回は、そんなパーパスブランディングを、中小企業活用にフォーカスしてご紹介します。
パーパスブランディングとは?
パーパスとは、「なぜ会社が社会に存在するのか」という「存在意義」を表します。
社会の中で、会社がどのような価値を発揮できるか、そして、それが社会の中でどのように求められているのかを考え、会社の存在価値を社長自身も従業員も認識できていることがパーパスを設定する主な目的です。
そのうえで、パーパスブランディングとは、存在価値を外部にアピールし、企業のお客さんにも会社のパーパスを思ってもらいたいよう認知してもらうための施策です。
中小企業でパーパスブランディングを行う時の注意点
パーパスブランディングで重要な視点は、自社で定めたパーパスがお客さんにも納得感をもって受け入れられることが重要です。パーパスブランディングを中小企業で行う場合も、大企業が行う時と同じく、社会にとってどのような施策であれば、受け入れられるモノになるのかを考える必要があります。
中小企業と大企業で、マーケティング施策が異なることも多いですが、パーパスは社会での企業の存在価値になるので、企業の大小は問われません。そのため、パーパスブランディングでも企業の大小に関わらず、企業として社会に果たす役割や、存在意義をお客さんにどう理解してもらうのかが重要です。
中小企業にパーパスブランディングが必要な理由
パーパスが必要と言われ、それにともないパーパスブランディングも必要とされている現在ですが、なぜ必要とされているのでしょうか。
企業の提供するプロダクトやサービスが一般化しつつあり、また、プロダクト・サービスの変遷が早い中で、競合との差別化をプロダクト・サービス自体ではかることが難しくなっています。
そのため、企業が何を目指しているのか、プロダクト・サービスを提供することで、どんな社会を実現できるのかが差別化のポイントとなります。
そのため、パーパスを設定し、事業に対して、お客さんからのパーパス理解を受けることが重要になります。特に中小企業では、強みに乏しい企業も多く、パーパスを使って差別化をはかることも強みを増やすポイントです。
パーパスブランディング施策の中小企業での成功事例
パーパスブランディングは難しいと感じるかもしれませんが、中小企業でも成功している企業があります。ここでは成功事例をご紹介します。
株式会社門崎
黒毛和牛を取り扱う「格之進」ブランドを展開している株式会社門崎は、「一関と東京を食で繋ぐ 岩手を世界に届ける」をパーパスとし、レストランと食肉加工品の販売、卸、そして肉の啓蒙活動という4本の柱で事業を推進している企業です。
また、地元岩手の生産者とのビジネスモデルを構築していることが同社の特徴で「仕入れ額目標」を掲げ、売上の3分の1は地元岩手の生産物の仕入れに使うというモデルを構築しています。
この目標や、パーパスがお客さんに共感され、コロナ禍の中でお店を閉じている中でもオンラインでのイベントを通して、価値を届けています。
このように、パーパスブランディングを明確化することで、お客さんから応援されるブランド、企業を作ることができるのです。
今回はパーパスブランディングをご紹介しました。企業の提供するプロダクト・サービスがが一般化して行く中で、企業の目指す理想、会社が独自に定義した自社の存在意義というものが競合企業との差別化に大きく役立ちます。
パーパスブランディングを行うことで、競合との差別化ができ、お客さんに愛されファンが多い企業となる。そんな企業価値を高めるきっかけを生むことができます。長期的な視点に立ち取り組むことでもあります。是非、会社の未来のためにパーパスブランディングにチャレンジしてみてください。
【ライター】
田中 大貴
株式会社 Urth 代表取締役CEO
大学では、建築学を専門としながら、2018年4月からは早稲田大学で「ビジネス・アイデア・デザイン(BID)」を受講。 その後、文科省edgeNextプログラムの一つである、早稲田大学GapFundProjectにおいて2019年度の最高評価および支援を受け、起業。 早稲田大学建築学科では、株式会社エコロジー計画とともに、コンサートホール、宿泊所の設計、建設に取り組んだ。現在は、「〇×建築」をテーマにwebサービスの開発、営業から、建築の設計及び建設物の運営に関するコンサルタントまで幅広い事業を行う。