
一生懸命考えたサービスがどうしても競合と被ってしまう。と、頭を悩ませてはいませんか。
ユニークだからと言って、必ずしも自分が最初に考え付く必要はないのです。
新幹線の先頭部分がカワセミのクチバシをモチーフに作られたように、優れたビジネスをその本質的構造から捉え、自分にしかできない方法で肉付けしていけば良いのです。
実際に、ビジネスの世界において独創的とされる企業の多くは、実は模倣を駆使して成功してきました。 例えば、トヨタの生産方式はアメリカのスーパーマーケットを模倣しましたし、スターバックスのコンセプトはイタリアのイタリアのエスプレッソカフェを模倣して生まれました。
この記事では、読者のみなさんの模倣先となりえるようなユニークなビジネスモデルを持ついま注目の企業を7つ厳選して紹介します。さらには、実際に模倣する際のポイントをご紹介します。
この記事は、みなさんがビジネスモデルという仕組みレベルからユニークなビジネスを展開するためのアイデアの種になります。
ユニークなビジネスモデル構築のヒントに下記もお役立てください。
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面白いビジネスモデル11選
ここからは、筆者がビジネスモデル自体やその増やし方に面白さを感じた事例を幅広い業界から11こ厳選して紹介します。
各事例の特殊さを「ビジネスモデル図解」というツールを用いてわかりやすく紹介していきます!
「ビジネスモデル図解」について、詳しくは下記をご覧ください。
利用上の注意
本記事でビジネスモデルを紹介する際に用いられるビジネスモデル図解は、早稲田大学商学部井上達彦研究室で作成したものです。『ゼロからつくるビジネスモデル』東洋経済新報社、の付録で紹介されています。
また、CC BY 4.0なので、「井上達彦研究室のゼロつくBM図解」と引用の上ご自由にお使いください。
Amazon
GAFAの一つにも数えられる世界的大企業のAmazonは、主にインターネット上で物の売り買いができるECサイトとAWSと呼ばれるクラウドサービスを展開しています。Amazonの面白いところは、これらのサービスにおいて3つの異なるビジネスモデルを採用していることです。
どのような違いがあるのかそれぞれ見ていきましょう。
1つ目が、ECサイト内の「小売事業」です。これは、ビジネスモデル図解で分類すると小売モデルを採用しています。ECサイトの中でも、Amazonが販売者となっているものであり、Amazonが仕入れてきた商品の在庫を持ち、購入希望者に対して売る役割を担っています。
2つ目は、同じECサイト内の「マーケットプレイス事業」です。購入者からすると分かりづらいかもしれませんが、こちらは小売事業とは異なりビジネスモデル図解のマッチングモデルを採用しています。商品の売り買いはあくまで、小売業者と購入希望者の間で行われるもので、Amazonは在庫を持たずプラットフォーム上で、両社を引き合わせる役割です。これにより、自社倉庫だけでは不十分だった商品ラインナップを大きく拡充する事ができました。
3つ目は、クラウドサービスの「AWS」です。これは、ビジネスモデル図解の補完材プラットフォームモデルを採用しており、自社でクラウドサービスを手掛けるだけではなく、補完的パートナーにAWS内で利用できるソフトウェアを開発してもらうことにより、自社の価値をさらに高めているのです。
ここまでに説明したように、Amazonは異なるビジネスモデルを上手に組み合わせることで成功している企業なのです。

TBM
TBMは、プラスチックや紙の代替となる世界初の新素材「LIMEX(ライメックス)」を開発・製造・販売する日本のスタートアップ企業です。数多あるスタートアップの中でも、日本経済新聞社の2022年版「NEXTユニコーン調査」記事で、推計企業価値1,339億円、第5位に選ばれています。
この企業の大きな特徴は、石灰石を主原料とする新素材「LIMEX」。全世界に大量に眠る石灰石を原料とした新素材をプラスチックや紙の代替として用いることで、可採年数50年といわれる石油や2100年までに40%が失われる木などの、限りある資源を保全することが期待されています。
しかし、TBMの特徴は素材だけではありません。ビジネスモデル図解で分類すると、シンプルな製造販売モデルですが、そのビジネスモデルにも実は面白さが隠されています。
それは、「既存のインフラを利用することで、LIMEXの生産だけでなく、回収・再生利用までを一貫して行うエコシステムを構築したこと」です。
資源枯渇問題にアプローチする画期的な新素材LIMEXであっても、それが一般のごみと一緒に捨てられてしまっては、資源を使い続けている状況に変化は生まれません。そこで、TBMは既存のインフラで回収されたごみを買い取り、横須賀の自社リサイクルプラントに運び込むことでLIMEXの再生利用を実現しました。
自社だけで、エコシステムのすべてをカバーするのではなく、ごみ収集という既存のインフラを柔軟に利用することで、エコシステムを作り上げたのです。

エムスリー
エムスリーは、国内の医師のうち90%以上が登録するプラットフォーム「m3.com」を運営する企業です。コロナ禍の医療DX業界に対する追い風の影響もあり、2013年3月期には200億円台であった売上高は2023年3月期には2,300億円を超え約10倍に成長しました。
エムスリーの面白さは、ビジネスモデルの多角化のスピードとその領域です。
エムスリーは2000年創業の企業にも関わらず、2023年時点で既に17の国に累計73の事業を展開しています。このビジネスモデルの多角化は、主にM&Aによって行われます。実際に直近5年ほどは年10件以上のM&Aを行っており、メガベンチャー企業としては異例といえるでしょう。
そんなエムスリーの事業多角化ですが、大きく2つのフェーズに分けることができます。
まず1つ目が、日本で大成功した医療従事者向けWebサイト「m3.com」のモデルを海外に対して展開するフェーズです。エムスリーは、このWebサイトにおいて医師に対して医薬品を訴求することで、製薬会社から主な収益を得ており、ビジネスモデル図解で分類するとマッチングモデルを採用しています。実際にエムスリーは、全世界で650万人以上の医師会員を有し、その割合は全世界の医師の50%にのぼります。
近年は、アジア、ヨーロッパ、北米に対するこの海外展開パターンも一通り落ち着きを迎えました。
そこで現在取り組まれている、2つ目のフェーズがまだ病気にかかっていない層をターゲットにした「ホワイトジャックプロジェクト」です。こちらは、提供するサービスによりマッチングモデルと継続モデル使い分けています。
実際に現在までに第5弾まで発表されており、健診代行やがん防災プログラム、生活習慣病改善サービスなどを手掛けています。
このように、エムスリーは一見すると数多くの事業を展開していますが、まずは日本において成功したモデルを海外に展開する、次に予防医療分野に参入するという長期スパンの戦略の元で、多角化を進めていることがわかります。

フィルカンパニー
フィル・カンパニーは駐車場の上部にある空間に建物を建設する「空中店舗フィルパーク」事業とガレージ付き賃貸住宅「プレミアムガレージハウス」を展開する企業です。
未活性空間をその時代や場所にあった企画で活性化していくことを目的としています。
フィルカンパニーの面白さは、今まで見過ごされていた駐車場の上部の空間に着目し、土地オーナー、テナント、利用者の三者すべてが得をする仕組みを作り上げていることです。特に、「空中店舗フィルパーク」事業においては、土地オーナーとテナントを引き合わせる立場におり、マッチングモデルを採用していることがわかります
土地オーナーにとっては、元から所有している土地で既存の収入を維持したまま、低リスクで追加的な利益を得ることができます。
テナント企業にとっては、市街地に割安な価格で店舗を構えることができます。
利用者にとっては、地域の魅力が増すことに繋がります。
このように、フィルパークが主体となって今まで未活用だった空間に土地オーナー、テナント、利用者の三者すべてが得をする施設が建設されているのです。

ピクシーダストテクノロジーズ
ピクシーダストテクノロジーズは、波動制御技術をコア技術とした製品開発、販売を行う筑波大学発の研究開発型スタートアップです。メディアアーティストの落合陽一さんが共同創業者を務めていることでも話題になった会社で、2017年創業と創業から日は浅いものの日本企業で現在10社しか上場していないNASDAQ市場に2023年8月に上場しています。
ピクシーダストテクノロジーズの面白さは、「社会的意義や意味があるものを連続的に生み出す孵卵器となる」というミッションを掲げ、7年で7つの商品を市場に送り出していることです。
その商品ラインナップを見てみると、オフィス用の吸音材から、ヘアケアデバイス、会話を視覚化するサービスまで多岐にわたります。
ビジネスモデル図解で分類すると、一般の製造業の企業と同じように製造販売モデルを採用していますが、これほど多くの業界で商品を発売することができた理由は、大きく2つの特徴にあります。
まず1つ目が、商品開発の元手となる技術の得方です。これまでの大学発スタートアップでは、教授が自らの研究成果を社会実装するために起業することが一般的でした。
しかし、ピクシーダストテクノロジーズは筑波大学や東北大学と提携し、創業後も継続的に技術シーズを大学から買い取ることで、連続的な商品開発を実現しているのです。
2つ目が、買い取った技術を元に進められる製品開発です。ピクシーダストテクノロジーズでは、技術をどう商品化しようと決めてかかるのではなく、多くの業界の現場へ足を運び、ヒアリングをする中で商品化の方向性を定めていきます。そして、実際に商品化する際には、各業界の企業と手を組み、協働で商品開発を行います。
これらの仕組みにより、創業から年月が浅いながらも、多くの商品を発売する事ができているのです。

ZMP
ZMPは、自動運転ロボットを製造・販売する企業です。物流支援ロボット「CarriRo」や自動運転コンピュータ「IZAC」等の製品を展開しています。2008年からロボット本体と並行して「自動運転プラットフォーム」の開発を進め、現在では業界で唯一の自動運転のハードウェアとソフトウェアを一貫して開発する企業として知られています。
ZMPの面白いポイントは、自社内にIZACという自動運転技術と、RoboMapという自動運転ロボット用のマップ、そしてROBO-HIという配送ロボットをアプリにつなげて連動させるための技術をすべて持っていることです。これらの技術により、自動運転ロボットがエレベーターを利用して階を移動したり、ロボット同士が細い通路でも円滑にすれ違うことが可能になります。さらに、ZMPはこれらのロボットの頭脳を自社のロボットで使うことに固執せずに、世界中のロボットに導入できるようにしています。
このうち、自社のロボット販売においては製造販売モデルを、自社のロボットの運用サービス事業では継続モデル、他社のロボットの運用支援サービスでは補完材プラットフォームモデルをそれぞれ採用しています。
このようにZMPは、自社のロボットに固執するのではなく、街のOSとして自社の運用支援サービスを提供することで、ロボットの製造販売を行う企業ではなく、いろんな会社のロボットが円滑に動くためのプラットフォーマーとしての役割を担っているのです。

NOT A HOTEL
NOT A HOTELは別荘を使いたい期間のみ、年10〜360泊まで購入できるというサービスです。ホテルと異なり、所有権を有している事も大きな特徴です。購入者のいない期間は、NOT A HOTELがホテルとして、別荘を貸し出します。そのため、購入者には維持管理や清掃の手間が一切かかりません。
NOT A HOTELの面白さは、NOT A HOTEL、購入者、ホテル宿泊者の三者が全員得をするビジネスモデルを実現している点にあります。ビジネスモデル図解で分類すると、別荘販売事業もホテル事業も小売モデルを採用していますが、いったいどのように三方良しのビジネスを実現しているのか、別荘の建設段階と、その運営段階の二つに分けてその面白さを見ていきましょう。
まず1つ目に、別荘建設段階です。NOT A HOTELは別荘の図面やCG図を作った時点で、サイト上で販売し、完売した後に建設します。そのため、NOT A HOTELは売れ残りや自社で在庫を持つリスクをなくすことができているのです。また、建設にかかる莫大な費用を事前に用意する必要がないという事も大きなメリットとしてあげられます。
2つ目に、建設後の運営段階です。購入者は、10泊以上で好きな泊数を購入できるので、別荘に滞在しない期間の費用を払う必要がありません。一方でNOT A HOTELは、購入者がつかなかった期間に貸し出すために、別荘を買うほどの資金はないという人向けにメンバーシップ制度を持っています。このメンバーシップ制度にとても面白い工夫がなされています。それは、年1〜3泊×47年という期間と、NOT A HOTEL側が泊まる場所と日付けをすべて指定する仕組みです。これにより、NOT A HOTELは時期によって空室が発生することを未然に防いでいます。さらに、このメンバーシップをNFTとして発行することで、メンバーシップ利用者は簡単に宿泊券を売り買いすることができるようになっており、日付けと場所が指定される不便さを解消しています。
これらの取り組みにより、NOT A HOTELはNOT A HOTEL、購入者、ホテル宿泊者の三者が全員得をするビジネスモデルを実現しているのです。

おてつたび
「旅に行きたいけど、お金がかかる」「繁忙期だけ人手が欲しいけど、採用できない」
一見まったく別の悩みに見えるこの2つを、逆転の発想で1本の線につないだのが、おてつたびです。
おてつたびは、地域の農家・酒蔵・宿泊施設といった事業者と、旅をしながら働きたい人をつなぐマッチングプラットフォームです。2018年に創業し、47都道府県に展開。2025年の新語・流行語大賞にノミネートされ、JR東日本との連携でシニア世代向けにも事業を拡大しています。
ビジネスモデル図解で分類すると、エムスリーやフィルカンパニーと同じマッチングモデルを採用しています。地域事業者からの掲載料は無料で、マッチングが成立したときのみ成功報酬として手数料を受け取る設計です。
このビジネスの際立った面白さは、「旅費というコストを、報酬というメリットに変換した」点にあります。旅行の最大の参加障壁はお金です。おてつたびはその問題を「お手伝いをすれば報酬がもらえる」という仕組みで解決しました。旅人にとって旅が「消費」から「体験×収入」に変わる瞬間、参加のハードルが劇的に下がります。
さらに巧みなのは、単なる人手のマッチングに終わらない点です。お手伝いを通じて地域の人と深くつながった参加者は、その地域のファンになり、翌年また訪れます。事業者にとっては、人手を確保しながら、将来のリピーターや関係人口を同時に育てられるという「二重の価値」が生まれています。
この「社会課題(地方の人手不足と都市の余暇の分断)をビジネスの構造に組み込む」発想は、地域密着型の事業を展開する経営者にとって特に参考になります。「自社にとってのコストや課題が、誰かのメリットになれないか」。そう問い直すための視点を与えてくれる事例です。

Sakana AI
「巨大なAIを作った企業が、ビジネスの勝者になる」
多くの人がそう信じている中で、まったく逆の仮説を立てて成功したのがSakana AI(サカナAI)です。
Sakana AIは、2023年7月に東京で創業した日本発のAIスタートアップです。共同創業者は、米Googleの元AI研究者であるデビッド・ハ氏とライオン・ジョーンズ氏。「Sakana(魚)」という社名は、小さな魚が群れを作ることで1頭の大きな生き物のように動く姿からとられています。そしてこの名前が、そのままビジネスモデルの本質を表しています。
OpenAIやGoogleが何千億円もの計算資源を投じて「超巨大なAIモデル」を作る時代に、Sakana AIが選んだのは正反対のアプローチでした。複数の小型AIモデルを組み合わせて連携させることで、巨大な計算資源がなくても高度なAIを実現するという「進化的モデルマージ」と呼ばれる独自技術です。
ビジネスモデル図解で分類すると、製造販売モデルをベースにしながら、産業ごとの長期パートナーシップという継続モデル的な要素を組み合わせています。具体的には、MUFGや大和証券グループと戦略的パートナーシップを結び、金融という高度な専門領域に特化したカスタムAIを共同開発しています。「汎用的なAIを万人に売る」のではなく、「特定産業に深く刺さる専用AIを、長期で作り続ける」というモデルです。
この戦略で、創業からわずか1年で日本最速のユニコーン企業(企業評価額1,000億円超)となり、NVIDIA・三菱UFJグループ・ソニーグループなど国内外から520億円超を調達しています。
Sakana AIが経営者に示す教訓は、AI業界を超えて普遍的です。「最大・最強・最安」を目指す競争に乗る必要はない。「圧倒的な強者が参入しにくい専門領域を見つけ、そこで誰よりも深く特化する」。大企業と正面から戦わず、ニッチな技術で産業別の”かかりつけAI”を目指す姿勢は、中小企業が規模の差を覆すための競争戦略そのものです。

アスエネ
「社会問題を解決するビジネスは、儲からない」という常識を、このビジネスは静かに覆しています。
アスエネは、企業のCO2排出量を見える化・削減・報告するクラウドサービスを提供するスタートアップです。2019年の創業から急速に成長し、CO2排出量管理SaaSの導入社数で日本No.1の地位を確立しています。
ビジネスモデル図解で分類すると、継続モデル(サブスクリプション)を採用しています。企業が毎月定額でサービスを使い続けることで、CO2排出量のデータが自社に蓄積されていき、削減施策の精度が上がる設計です。使えば使うほど乗り換えにくくなる「ロックイン」が自然に生まれます。
このビジネスが際立って面白いのは、「法規制という外部環境の変化が、そのまま需要の拡大につながる」構造を持っている点です。日本では2023年以降、上場企業を中心にESG(環境・社会・ガバナンス)情報の開示が義務化されつつあります。そしてサプライチェーン全体のCO2排出量の開示(いわゆるスコープ3)が広がると、大企業の取引先である中小企業も「CO2の管理・報告」を求められるようになります。
つまり、「やらなければならない企業が増えるたびに、顧客候補が自動的に増える」という構造になっているのです。競合他社が「どうやって顧客を増やすか」に頭を悩ませている中、アスエネは「規制の波」を収益エンジンに設計することで、外部環境に後押しされながら成長しています。
さらに巧みなのは、大企業を入口にして中小企業へと需要が連鎖的に広がる点です。大企業がサプライヤー(仕入れ先)にCO2開示を求めた瞬間、そのサプライヤーである中小企業が新たな顧客候補になります。顧客自身が、次の顧客を連れてくる構造です。
経営者が学ぶべき視点はここにあります。「社会課題や法規制を、ビジネスの設計に組み込む」こと。環境問題のように「やがて誰もが対応しなければならない課題」に、競合より早く向き合った企業が「業界インフラ」になれる。この発想は、業種を問わず応用できます。

Polyuse(ポリウス)
「人手が集まらず、工事が進まない」「老朽化したインフラを補修する費用が出ない」
日本の建設・土木業界が長年抱えてきた2つの課題に、テクノロジーで真正面から挑んでいるのがPolyuse(ポリウス)です。
Polyuseは、土木・建築の公共インフラに特化した建設用3Dプリンターを開発・製造・販売するスタートアップです。多くの建設3Dプリンター企業が住宅向けに注力する中、Polyuseが選んだのは橋梁の補修・架け替えや、災害時の仮設構造物、特殊形状の公共施設といった「公共インフラ」という特化領域です。この領域の絞り込みが、ビジネスモデルの強さを生んでいます。
ビジネスモデル図解で分類すると、設置ベースモデル(ジレットモデルの進化形)に近い構造を持っています。3Dプリンター本体の導入を「入口」にしながら、実際の価値とその後の収益源は、設計データの提供・施工サービス・現場サポートという継続的なサービスにあります。本体を売って終わりではなく、「現場に設置したその後」からが本当のビジネスの始まりという設計です。
このビジネスの面白さは、「ハードウェア×設計データ×施工ノウハウ」を三位一体にした参入障壁の設計にあります。3Dプリンター本体だけであれば、競合他社も作れます。しかし「公共インフラ向けの設計・施工のノウハウ」「行政の承認・実績データ」「現場オペレーションの体制」が組み合わさったとき、競合が単純に追いかけることは難しくなります。コマツがIoT稼働データで互換品を排除したように、Polyuseは「公共インフラ工事のデジタルノウハウ」をブラックボックスとして機能させる設計です。
また、日本には高度成長期に建設された道路・橋・トンネルが老朽化のピークを迎えつつあり、建設業界の慢性的な人手不足と相まって、「人を増やさずに施工できる技術」への需要は今後確実に拡大します。外部環境そのものが追い風になる点は、アスエネと共通する構造です。
製造業や建設業を営む経営者にとって、Polyuseが示す最大の教訓は、「業界の困りごとそのものを収益構造に変える」という発想です。「業界が抱える課題に、テクノロジーで新しいアプローチをとれないか」という問いは、あらゆる業種で応用できます。

面白いビジネスモデルを模倣するポイント
確かにおもしろいけれど、自分のビジネスとは違うのでどう活かしたらいいかわからない。
そんな方も多いのではないでしょうか。ここからは、面白いビジネスモデルを模倣するためのポイントのうち、特に重要な点をお伝えします。
抽象化して企業の構造を見抜く
まず1つ目に、抽象化して企業の構造を見抜くことです。
すぐに目につくのは、自分と同じようなビジネスをしている企業の成功事例かもしれません。しかし、その企業を模倣するとなると、模倣先の企業と完全に競合関係になるうえ、多くの同業者もその企業を模倣することになるため、とても厳しい戦いが待っています。
そこで、大事なことは自分とは違うビジネスを模倣することです。確かに自分とは業界や業態が違い、置かれている状況が違う企業を模倣することは困難なように思うかもしれません。
しかし、取引構造を見抜いたうえで、その企業特有の価値と合わせて考えれば、異業種であってもビジネスの構造を模倣することができます。
その際には、この記事で用いたビジネスモデル図解のように図示することがおすすめです。企業に関する多くの情報がある中でも、商品の流れやお金の流れなどにフォーカスして追うことで、骨格部分を逃さずにすっきりと企業全体を捉えることができます。
ビジネスモデルの模倣について、詳しくは下記もご覧ください。
現場やお客様の声に十二分に耳を傾け、PDCAを回す
2つ目に、現場やお客様の声に十二分に耳を傾け、PDCAを回す事です。
これは、ビジネスの多くの場面において強調されることだと思います。
しかし、一見遠く見える業界から模倣してきているからこそ、理論上は効果的な模倣だったとしても、現場やお客様の思いと、ずれてしまうこともあり得ます。
だからこそ、模倣をして終わりではなく、構造部分は保ちながらも細部にこだわり、何度も修正を加えながらより一層自分のビジネスにフィットした形を模索する必要があります。
ここまでに述べたように模倣を成功させるには、業界や業態に縛られずに視野を広く持って模倣先を探し、模倣した後もより適した形にするために修正を続けることが重要なのです。
模倣したビジネスモデルの継続的な改善を進めるうえで、「経営の要素と構造」を把握しておく必要があります。詳しくは下記もご覧ください。
まとめ
この記事では、面白いビジネスモデルを持つ企業を11こ厳選して紹介し、模倣する際のポイントについてもお伝えしました。
「面白いビジネスモデル」と一口に言っても、その面白さは事業内容の目の付け所から、多角化の仕方、収益の得方まで多岐にわたります。
また、これらの事例は確かにそれぞれ特定の業界におけるケースではありますが、一方で、後半に述べたポイントに注意しながら、模倣すれば、その目の付け所やプロセスといった成功のエッセンスは他の業界に対しても十分転用可能なものだと思います。
読者の皆さんに、個別具体的なものである事例に対しても、ビジネスモデルで捉える事によって構造的な面白さが伝わっていれば幸いです。
ビジネスモデルの構築・強化においては、「経営の12分野」も役立ちます。
経営の構造を体系的に把握し、経営の全体像を意識したビジネスモデルの構築・強化ができます。

3つの力を各4つの要素に分け、12の分野で、
経営を体系的・総合的に学べるプログラムです。
33,000人の経営者が受講し、大学や銀行でも採択されています。
「経営の12分野」の体系を作成・提供しているプレジデントアカデミーの詳細は下記よりご確認いただけます。無料動画や経営の実践ワークブックもプレゼントしていますので、ぜひご活用ください。
監修 / 黒田訓英
株式会社ビジネスバンク 取締役
早稲田大学 商学部 講師
経済産業大臣登録 中小企業診断士
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
日本証券アナリスト協会認定CMA
日本ディープラーニング協会認定 AIジェネラリスト/AIエンジニア
JDLA認定AIジェネラリスト/AIエンジニア
ライター / 加藤 壮一郎
株式会社ビジネスバンク プレジデントアカデミー編集部
株式会社ビジネスバンク
プレジデントアカデミー編集部
起業家インタビューEntrepreneur事業部
起業家インタビューEntrepreneur事業部
早稲田大学 商学部 井上達彦 研究室





