この記事でわかること
・決断をする時に注意すべき7つのこと
・決断してはいけない「問題」
・チームにおける決断をする際に気をつけるべきこと
この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画…「決断力編」の最終回となっています(記事のアーカイブはこちら)。
前回は、良い決断と悪い決断の違いについて教えていただきました。今回は、決断する時に注意すべき7つのことを伺っていきます。
登場人物プロフィール
【インタビュアー】MEGUMI
とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。
今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。
【専門家】嶋津良智先生
日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。
- 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
- リーダーズアカデミー 学長
- 早稲田大学エクステンションセンター講師
- 他、経歴・著書多数
本日もよろしくお願いします!
よろしくお願いいたします。
足すのではなく、引くことを意識する
決断をする時に、注意すべきこととして、一般的には以下のようなことが取り上げられています。
・睡眠不足や体調不良の時に決断しない(コンディションを整える)
・焦っている時や急いでいる時に決断しない、平常心を保つ
・周囲の声に振り回されすぎない
嶋津さんは、決断をする際に注意すべきことを聞かれたらどうアドバイスしますか?
私はよく「注意するべき17のチェックポイント」についてお話ししているのですが、長くなってしまうので、今回はその中から、特に重要な7つをご紹介しますね。
よろしくお願いします!
決断は「書きながら」する
まず、書きながら決断するということです。
紙に書いて整理するということですか?最近、紙に書く機会がめっきり減ってきました。
どうしても頭の中で決断しようとすると、色々なことが不明確になりがちなんです。書くというのは、不明確なことを明確にしてくれる威力がある。書くことで整理されたり、見えてきたりするものは多いです。
なるほど!確かに、なんとなく全体を把握しているつもりでも、書いてみることで足りていない情報があることに気づくこともありますよね。
「他人の問題」は決断しない
してはいけない決断、というのもあります。
決断してはいけないこと?なんでしょうか?
自分が所有していない問題、つまり「他人の問題」です。この領域は、あなたが決断をしてはいけません。
他人の問題に首を突っ込んだらダメということですね。分かっていながらも、ついやってしまいがちなことだと思います。
森を見て木を見よ
平面的・抽象的・短期的ではなく、多面的・根本的・長期的に全体を俯瞰して意思決定が出来ているかも重要です。
森を見て木を見よ、足元を見て先を見よ、ですね。
その通りです!あまりにも理想主義者や現実主義者的な偏った決断をしていないか、少し引いて考えてみてください。また、人はどうしても自分のフィルターを通して物を見てしまうので、先入観に囚われていないかどうかも、注意が必要です。
しょうがないか、でも良いから全員で納得を
マネージャーや経営者が、チームにおける決断をする際に気をつけるべきことはありますか?例えば、賛成派と反対派で分かれてしまった状況下で、決断を下す時は胃が痛くなるものです…。反対派にも決断を受け入れてもらう方法はあるのでしょうか。
反対派も決断した業務に取り組むわけですから、納得をしていない状態でそれに取り組むことになったら、せっかく決断をしても成果が出づらくなってしまいますよね。
そうなんです!どうしてもモチベーションが下がってしまいますよね。
最後は、“しょうがないか”という形でもいいですから、全員がしっかり納得した状態で決断をしなければなりません。またチームにおいては、常日頃から、重要度の低いことは人に譲っておくのもポイントです。
リーダーが独裁的に決め続けるというシチュエーションを作ってはいけないですね。
そうです。トップが裸の王様になっているケースはよく見受けられます。あまりにも自分の意見が通り過ぎるのはおかしいものだと思って、注意してください。
説明責任を果たす
裸の王様になることは絶対に避けたいですが、経営者は孤独になりやすくもあります。全員で納得する状態を作るために、できることはありますか?
もちろん、ありますよ。決断の理由を説明するということです。特にリーダーというのは、説明責任という大切な責任があります。
説明責任。政治でよく聞くワードですが、経営者においても大切ですね。
なぜその決断に至ったのか、その決断をした理由もしくはその決断をしなかった理由はなんなのか。しっかり説明責任を果たしていると、納得度が全く違います。
不安を理由に、決断を先送りにしない
決断の先送りをしていない、というのも注意点の1つです。
十分な情報収集ができているのか、説明責任が果たせたのか。色々考えていると、だんだん決断できなくなってしまいそうな気もします。
情報収集や説明は重要ですが、不安を理由に決断を先送りにしているのであれば、躊躇ってはいけません。不安と迷いは違う。迷っているのであればまだ決断しないほうが良いですが、不安は方法論で解決できます。
今までの3回で嶋津先生が教えて下さった方法を実践すれば、不安は解消されるはずですね。
そうですね。それに、確率論が高くなった状態で決断するのは、結局誰でもできる決断をしているのと一緒です。みんながどうしようか決めかねている時にできる決断こそが、質の良い決断だったりする。成功の確率が8:2、9:1と高まるほど良いと言われている時は、もう競合も決断を終えている頃でしょう。ビジネスとしては乗り遅れていることがほとんどです。6:4や7:3くらいで決断できることが、ある意味大切だってことですね。
「正しいこと」をしているか?
そうやって先輩方は新しいビジネスを生み出してきたわけですね。
最後に注意すべきことは、正しいことをしようとしているか、ということを確認してみてください。決断をしたものの、栃木でとれた牛肉なのに松坂牛とシールを貼るような決断だったら、良くないわけじゃないですか。
絶対にダメですね。
正しい決断をしようとしているのか。決断をする時、改めて自分に問うてみてください。
たくさん貴重なアドバイスを、ありがとうございます!
この章のポイント
・決断は「書きながら」する
・「他人の問題」は決断しない
・森を見て木を見よ
・しょうがないか、でも良いから全員で納得を
・説明責任を果たす
・不安を理由に、決断を先送りにしない
・「正しいこと」をしているか?
嶋津式の組織マネジメントをもっと学びたい方へ
インタビューでは語りきれなかったより詳しい内容を網羅した、オンライン動画コンテンツを無料で提供しています。嶋津式の組織マネジメントをもっと学んでみたいという方は、ぜひ合わせてご覧ください。