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組織づくりとは?
企業を成長させる「強い組織」の作り方
代表理事
28歳で独立・起業し代表取締役に就任。M&Aを経て2004年52億の会社まで育て株式上場(IPO)を果たし、2005年『リーダーズアカデミー 』を設立。組織づくりに特化した、日本一のビジネススクールに成長。
2007年シンガポールへ拠点を移し、講演・企業研修・コンサルティングを行う傍ら、顧問・社外役員として経営に参画。業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博し、世界15都市でビジネスセミナーを開催。延べ53,000人以上のリーダー育成に携わる。
2013年 日本へ拠点を戻し、「上司学」をさらに進化させた新メソッド「組織づくりの12分野」を開発。世界で活躍するための日本人的グローバルリーダーの育成に取り組む。
主な著書としてシリーズ100万部を突破しベストセラーにもなった『 怒らない技術 』をはじめ『 あたりまえだけどなかなかできない 上司のルール 』、『 だから、部下がついてこない!』などがあり、累計150万部を超える。
理想の組織をつくるために、何をすべきか?
「社員が増え、今までの組織づくりではうまくいかなくなってきた。」
「組織づくりとは、具体的に何をすれば良いのか?」
組織づくりに悩む経営者・リーダーが多くいます。
理想の「組織づくり」を進める上で、必要なことは何でしょうか?
組織構造?適切な人員配置?人材育成?評価制度?企業文化の浸透?
などなど、組織づくりに必要な要素を上げるときりがないほどです。
私たちは「組織づくり」が学べるリーダーズアカデミーを運営しており、53,000人以上のリーダー(経営者・管理職)を見てきました。
また、自社で「「組織づくり」を実践し、上場した経験があります。
多くの会社の組織づくりを支援する中で、企業を成長させる「強い組織」をつくるには、3つのステップと12の要素が必要であることがわかりました。
本レポートでは、組織づくり体系的・網羅的に理解できるように、組織づくりの基礎から実践まで、図や事例を交えながら分かり易くまとめました。
組織づくりに悩む経営者・リーダーの皆さんの参考になれば幸いです。
1. なぜ組織づくりが必要なのか?
社長・経営者がどんなに優秀だとしても、1人でできることには限りがあります。
1人でできることの壁を越えるために、組織が必要です。
組織の成長なくして、企業の成長はありません。
ですから、どんな企業でも「組織づくり」の力が求められます。
しかし、ただ単に企業・組織を拡大しようとするのが正しいわけではありません。
企業の目的に応じて、目指すべき最適な組織の規模が異なるからです。
私は、多くの企業の組織づくりを支援してきて、企業・組織の規模を拡大したからといって、その企業が目指すゴールに到達しているわけではないという現実を見てきました。
企業が目的を実現する組織づくりを実施するためには、ゴールを明確にすることが重要です。
「会社として何を成し遂げたいのか?」
「どの程度の企業規模を望んでいるのか?」
現時点の理想で構いませんので、まずはゴールを明確にすること。
組織づくりは、手段であり、目的ではありません。
理想の企業像を実現するために、“手段として”組織づくりの力を活用しましょう。
2. 組織づくりの基本
組織づくりを進める上で、基本となる「5つの原則」と「組織構造」を確認しておきましょう。
2-1. 組織づくりの5原則
組織づくりには5つの原則があります。
① 統制範囲の原則(スパン・オブ・コントロール)
② 専門化の原則
③ 命令統一性の原則
④ 権限委譲の原則
⑤ 権限責任一致の原則
理想の組織づくりを進める上で欠かせない原則ですので、押さえておきましょう。
2-1-1. 統制範囲の原則(スパン・オブ・コントロール)
一人の上司が直接管理する部下の人数は5~8人程度にすべきという原則です。
管理する部下の人数が多くなりすぎると、管理が難しくなり、上司も部下も
部下の状況把握や適切なフォローができなくなり、上司も部下も不満を抱える可能性が高くなります。
一人の上司が管理する部下の人数が統制範囲を超える場合は調整し、階層管理体制を構築する必要があるということです。
ピザ 2 枚では足りない大きさのチームを編成すべきではないということです。
これは 10 名未満のチームであるのが理想的です。
チームが小規模であるほど、お互いの距離が近くなり、官僚的な機構や意思決定で生じるオーバーヘッドが削減されます。これにより、ピザ 2 枚チームは、より多くの時間をお客様に費やし、お客様のために実験やイノベーションに継続的に取り組むことができます。
これは、Amazon で高いパフォーマンスを発揮しているチームにとっての最優先事項となっています。
(参考:https://aws.amazon.com/jp/executive-insights/content/amazon-two-pizza-team/)
2-1-2. 専門家の原則
分業化により、個々の専門性を発揮し、生産性を向上すべきという原則です。
組織づくりにおいて、個々の強み(専門知識・スキル)を活かすことは重要です。
特にリソースの限られた中小企業では、個人の強みを発揮できる組織体制をつくることは、企業成長の前提条件です。
分業化を進めると、その分野の専門的な知識やスキルが向上しやすく、業務効率化やノウハウの蓄積に繋がります。
専門分野に集中することで、ミス・トラブルの減少も期待できます。
また、個々の役割が明確になり、自らの担当業務に責任感を持ちやすくなります。
成果も明確になるため、モチベーションの向上も期待できます。
2-1-3. 命令統一性の原則
指示を出す上司は1人にすべきという原則です。
複数の上司から、異なる指示を受けると、部下は混乱します。
誰の指示に従うべきか確認しなければならず、生産性が低下します。
組織に対する不信感にも繋がってしまいます。
特に、経営環境の変化が激しい現在では、大きな変化に対する組織の対応の早さが求められます。
いざという時、即座に組織が行動を起こすためにも、指示系統を明確にしておきましょう。
2-1-4. 権限移譲の原則
定型業務は部下に権限移譲し、上司は非定型業務に専念すべきという原則です。
定型化された仕事(ルーティン業務)は可能な限り部下に任せ、
上司は「自分にしかできない仕事」に専念すべきです。
仕事を任せたら、過度な干渉はせず、支えながら見守る姿勢でいることが重要です。
2-1-5. 権限責任一致の原則
与えられる役割に対して、権限と責任の重さを等しくすべきという原則です。
「権限」に見合った「責任」を与えることで、部下の責任感と主体性を引き出します。
適切な「権限」があるから、自ら考え、創意工夫しようと思えます。
適切な「責任」があるから、責任感を持って取り組もうと思えます。
「権限」と「責任」のバランスが重要です。
責任がない状態で、権限だけが与えられると、無責任で安易な意思決定をする可能性が高まります。
誤った判断・行動をしても、責任を取る必要がないのであれば、
職権乱用により組織が機能不全に陥る恐れもあります。
大きな責任を負わなければならないのに、権限が与えられていない状態では、モチベーションは低下します。
「あなたは自由にできる権限はありませんが、責任だけ負ってください」と言われて、喜ぶ人はいません。
十分な権限がないと、「あきらめ」や「言い訳」にも繋がります。
2-2. 組織の基本構造
組織構造は、基本となる4つの型があります。
①機能別組織
②事業部制組織
③カンパニー制組織
④マトリックス組織
2-2-1. 機能別組織
機能別組織とは、企業の主要な業務機能ごとに部門を編成する組織構造です。
例えば、「開発部」「製造部」「営業部」「人事部」「経理部」など機能に分けて組織を形成します。
・各部門が特定の機能に集中するため、専門的なスキルや知識が蓄積されやすい。
・既に保有しているスキル、知識、経験に応じた配置をすることで、業務の重複や無駄が減り、効率的な作業が可能。
・トップダウン型の組織運営がしやすい。
・部門間のコミュニケーションが不足し、協力や情報共有が難しくなる
・経営層が意思決定するため、経営者の負担が大きい。
・自部門の業務に集中するため、組織全体を牽引できる広い視野をもったリーダーが育ちにくい。
機能別組織は、「ピラミッド組織」と呼ばれる組織構造の一つです。
「ピラミッド組織」について、詳しくは下記の記事もご覧ください。
2-2-2. 事業部制組織
事業部制組織とは、提供している商品・サービスごとに部門を編成する組織構造です。
例えば、「不動産事業部」「WEBマーケティング事業部」「教育事業部」などです。
・各事業部が独立して判断できるため、事業部ごとにスピーディーな意思決定ができる。
・各事業部がそれぞれの市場や顧客に適応した戦略を立てられるため、柔軟な対応が可能。
・事業全体を管理できるリーダーを育成しやすい。
・各事業部が同様の機能を持つため、資源や人員の重複が起き、非効率的になりやすい。
・各事業部が独自の方針で動くため、企業全体としての統一性やシナジーが失われる可能性がある。
・経営層の意思が反映されにくく、企業ビジョンとずれる可能性がある。
2-2-3. カンパニー制組織
カンパニー制組織とは、各事業部を独立したカンパニーのように扱う組織構造です。
事業部制組織と構造は似ていますが、カンパニー制組織の方が意思決定の裁量権が大きいことが特徴です。
・事業部制組織よりもさらに迅速な意思決定と柔軟な対応が可能。
・事業部の責任者は経営の疑似体験ができるため、経営人材の育成につながる。
・各カンパニーが独立採算制で責任を持つため、利益成果に対する意識が高まる。
・各カンパニーの独立性が高いため、企業全体としての統一的な戦略を策定し、実行することが難しくなる。
・各カンパニーが独自の資源を持つため、全社的な資源の最適配分が難しくなる。
・事業部単位で重要な意思決定を下すため、判断ミスや不正が発生した場合、会社に重大な損害が生まれる。
2-2-4. マトリックス組織
マトリックス組織とは、機能別組織と事業部制組織を組み合わせた組織構造です。
機能別組織、事業部制組織それぞれの強みを活かすことができます。
・専門性に特化してパフォーマンスを高めると共に、スピーディーな意思決定ができる。
・1人が複数の部門の仕事に関わるため、社内のコミュニケーションが活性化する。
・異なる部門のメンバーが協力することで、創造的な解決策や新しいアイデアが生まれやすくなる。
・従業員が複数の上司を持つことになり、指示系統が混乱する。
・プロジェクトや業務の責任が分散し、誰が最終的な責任を持つのかが不明確になる。
・業務の優先度を判断するのが難しい。
マトリックス組織は、「横断的組織」と呼ばれる組織構造の一つです。
「横断的組織」について、詳しくは下記の記事もご覧ください。
3. 組織づくりに失敗する、たった1つの理由
「組織づくり」に全く取り組んでいない会社は、ほとんどありません。
しかし、多くの会社は何かしら組織づくりに取り組みながらも、うまくいかずに悩んでいることが多いです。
実際、多くの上司・部下が不満を募らせていることが分かっています。
組織づくりが上手くいかない理由は、「部分的な施策では、組織づくりの問題は解決できない」からです。
「組織づくり」は様々な要素でできており、1つの部分施策を実行できても、他の重要な要素が欠けていると機能しません。
例えば、素晴らしい「組織構造」「採用戦略」「評価制度」を導入しているが、ビジョンが定まっておらず、指導の基準が不明確。部下の意見を受け入れず、指摘ばかり。
そんな状態では、部下の信頼は得られず、どんなに素晴らしい戦略や制度があっても「絵にかいた餅」で失敗に終わってしまいます。
よくメディアで目にするのは、「採用戦略」「評価制度」「コーチング」など部分的な話ですから、多くの企業が組織づくりの部分施策に陥って失敗してしまうのも頷けます。
組織づくりを部分的に語れる専門家は多く、内容が具体的で共感を得やすいからメディアとしては取り上げやすいのです。
しかし、「採用戦略」「評価制度」「コーチング」などは組織づくりのパーツにすぎません。
「組織づくりを体系的に理解する」必要があります。
「組織づくり」は“部分最適”ではなく、“全体最適”の活動であると理解することが、組織づくりの失敗を防ぐスタート地点です。
4. 企業を成長させる「強い組織」の作り方3ステップ
「弱い組織」は、組織の部分施策にばかり目を向けるため、変化に弱く、崩れやすい。
「強い組織」は、組織の全体像を見つめ、重要となる土台を築いた上で、課題に応じた必要な施策を実施するため、変化に強く、企業を成長させることができる。
組織づくりの失敗を回避し、企業を成長させる「強い組織」をつくるためには、
「組織づくり」を体系的に学び、全体像を把握する必要があります。
強い組織については下記も参考にご覧ください。
組織づくりの全体像を把握し、企業を成長させる「強い組織」をつくるためには、
「人間学」「関係学」「組織学」3ステップが重要です。
「組織づくり」というと、「組織学(採用戦略・評価制度など)」が注目されがちですが、それだけでは機能しないことを理解しておきましょう。
どんなに素晴らしい戦略・制度があっても、それを「人」が実行できなければ意味がありません。
組織づくりを実行する上司に必要な「人間学」「関係学」の土台がなければ、絵にかいた餅で終わってしまうので注意が必要です。
組織づくりを実行する上司に、必要な人間性が不足していれば、部下と関係を築くことはできません。
部下と関係を築くことができなければ、理想の組織を描いても、実現することはできません。
ですから、3ステップで組織づくりを進めていく必要があります。
また、各ステップをさらに4つずつに分けることで、「組織づくり」に必要な12の要素となります。
理想の「組織づくり」を実現するためには、この12の要素を満たせばよいのです。
4-1. 人間学
管理職としての“あり方”を見直すのが「人間学」です。
部下から尊敬されずして、部下を導くことは難しい。
どんなに素晴らしい組織理論を語ったとしても、尊敬されない上司に部下はついてきません。
伏せたコップに水は入らないのと同様です。
部下は上司を見て育ちます。
部下を変えたいと思ったら、上司が「管理職としての見方・考え方」を学び、実践する必要があります。
・言葉力
・時間術
・自制心
・決断力
4-1-1. 言葉力
組織は「言葉」が動かしていると言っても過言ではありません。
リーダーが頭で考えたことは「言葉」によってメンバーへ語り継がれていきます。
どのように伝えるか、そして、どのようにメンバーの行動に変容を起こしていくかは、組織力発揮のための生命線です。
どんなに素晴らしい未来を描いても、伝えられなければ組織は変わりません。
コミュニケーションで重要なことは、
コミュニケーションが成立していると勘違いしないこと。
コミュニケーションの目的は「伝えること」ではなく、
「伝わって相手の行動に変容を起こさせること」。
「伝える」コミュニケーションではなく、
「伝わる」コミュニケーションの取り方を学びましょう。
4-1-2. 時間術
リーダーの時間の使い方が、成果を決めます。
優秀なリーダーであるほど多くの仕事を任されます。
「重要な仕事」を選別しなければ、仕事が増え続け、忙しくなる一方。
優先順位を決め、「自分にしかできない仕事」に注力すべきです。
数少ない「重要な仕事」と向き合うためには、時間に追われるのではなく、時間を自分の管理下に置く必要があリます。
時間を味方に付け、より短い時間でより大きな成果を出すための仕事習慣を身につけましょう。
4-1-3. 自制心
リーダーは、大きなストレス・プレッシャーにさらされています。
そんな状況下で組織を導き、成果を出し続けるには、自分自身をマネジメントし、
感情に流されず、冷静かつ合理的な判断・行動をとる必要があります。
リーダーの”ブレ” は、組織を不安定にします。
どんな状況でもブレない自制心を身に着けるため、感情のコントロールを学びましょう。
4-1-4. 決断力
リーダーの大きな役割の一つは「決断」すること。
早く、質の高い意思決定が求められます。
リーダーの意思決定は、組織全体に影響を及ぼします。
誤った決断をしても、慎重になり決断に時間をかけすぎても、組織全体に大きなムダを生みます。
だからコンパスのように、いつでも向かうべき方向を示してくれる判断基準をつくっておきましょう。
4-2. 関係学
部下とのコミュニケーションを改善するのが「関係学」です。
上司の最大の役割は「部下に目標達成させてあげること」。
部下