この記事でわかること
・自制心を身につけるコツ
・感情をマネジメントするためにやるべきこととは
・ビジネスの現場で感情をマネジメントする方法
・自制心を持ってリモートワークに取り組むための工夫

この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。今回は「自制心」の第3回目となります(記事のアーカイブはこちら)。 

前回は「自制心」を身につけることで社会人・経営者として周囲からの信頼を得ることができ、応援してもらいやすい環境を作れるということが分かりました。今回は、具体的に「自制心」を身につけるためのコツをお伝えしていきます。

登場人物プロフィール

【インタビュアー】MEGUMI

とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。

今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。

【専門家】嶋津良智先生

日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。

  • 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
  • リーダーズアカデミー 学長
  • 早稲田大学エクステンションセンター講師
  • 他、経歴・著書多数

<プロフィールはこちら>

ぜひ「自制心」を身につけて、周囲から応援していただける人間になっていきたいのですが、具体的にどのようなことをしていったら良いでしょうか?

「自制心」を身につけるコツをお伝えしていきますね。

自制心を身につけるには、理論を学び、使っていくこと

元々自分の感情をコントロールできる人もいて、性格も影響しているのかなと思うのですが…「自制心」を鍛えることってできるのでしょうか?

もちろんできます!私も、鍛えることで変わった張本人です。

嶋津さんがですか?いつも穏やかにお話ししてくださるので、「自制心」を元々お持ちなのかと思っていました…!

私も以前は感情的になってしまったり、ついサボりたくなってしまったりしていましたよ。

どのようにしたら変われるのでしょうか?

まずは理論を学ぶことです。理論をしっかり咀嚼をして、スキルを覚えて、それをとにかく使っていくことだと思います。スポーツや楽器でも、どんなに素晴らしい先生に習っていても、上手くなるためには教わるだけじゃなく練習が必要ですよね。

例えばピアノを「こうやって弾くんだよ」と習って、「なるほど」とその日に急に弾けるようになるなんてことは滅多にないわけです。練習の積み重ねが必要です。

ビジネススキルも同様に、日々練習して使っていかないと身になっていかないですよね。

確かに。学んだことで満足してしまいがちですが、実践していかないと自分のものにはならないですね。理論を学ぶ方法におすすめはありますか?

本やセミナー、ネットでもたくさんの情報がありますね。僕は体系的に学ぶことが必要だと思うので、本を読んだり、セミナーに行ったりすることをおすすめしますよ。

感情をマネジメントするコツ

怒りの感情をコントロールすることをアンガーマネジメントと呼び、昨今話題にもなっています。怒りなどの感情をコントロールするコツはありますか?

感情をマネジメントしていく上で、ものすごく大切なことは、条件反射しないということです。条件反射しないために必要なのは、「間」を置くということなんです。

感情を表に出すまでの時間を作るということでしょうか?

その通りです。時間を作ると、感情から思考に、脳がシフトすると言われています。最低でも6秒〜10秒ほど置くと良いそうですよ。
間を置くと何が良いかというと、自分を客観視できるようになるんです。例えばスポーツには「タイム」がありますよね。チームが劣勢の時、選手が焦って感情を乱しているとコーチが感じた際に、タイムを取る。普段の生活でも同様のイメージを持つと良いですよ。

自分で自分に「タイム」を取ってあげるんですね。イメージしやすいです!

僕はお母さん向けにセミナーをやることもあるのですが、例えば子供がいうことを聞いてくれなくて、感情的になりそうになった時、何の意味もなくて良いから騙されたと思ってキッチンに行って、冷蔵庫に頭を突っ込んでください、とお話しするんです。文字通り頭を冷やして、冷蔵庫を閉めて子供のところに戻ってみてください。自分の感情をマネジメントする、という意味が分かりますから。

すぐに実践します…!!!!

ビジネスの現場で感情をコントロールしたい時

仕事の場合は、一回コーヒーを入れたり、お手洗いに行ったりするのも有効ですか?

良いですね。これは自分だけでなく、会議の時などにも有効です。例えば会議で悪い方向に議論が進んでしまって、みんなが感情的になってしまった時は、議長的なポジションの人が一度休憩を取ると良いでしょう。感情が渦巻いている場所にいると自制心が効かなくなるので、一度その場から離れることが重要です。

1人が嫌味な言い方をしたり、怒ってしまったりすると、条件反射で誰かが言い返したりして、どんどん悪い空気になることってありますよね。ああいう時も、「タイム」ですね。

そうです。数分で良いので「タイム」を取ってみてください。

自制心を持ってリモートワークを行うには?

感情もそうですが、リモートワークが増えている昨今、誘惑に負けない自制心を持つことも求められていると思います。こういった観点で鍛える方法はありますか?

まず最初に大事なのは、人は「サボる」ということです。5分休憩した後、1時間効率的に仕事ができるなら、むしろ積極的に休憩を取るべきですよね。問題なのは、自分の感情や欲望に負けて、「なんとなくやりたくない仕事」を後回しにしてしまったり、1時間以上休憩してしまったり、明らかに仕事の効率が悪くなっている時です。

なんとなくやりたくない仕事を後回しにしてしまう…よく分かります…。改善しようと思ってもつい後回しにしてしまうんですよね。

そういった時は、自分で自分のことをサボらないで済む環境にマネジメントしていくことが必要です。例えば、予算と実績を管理する予実管理のように、自分が今日片付けたい仕事と、実際に片付けた仕事を書き出してみてはいかがでしょうか?

自分で書き出すだけだとサボってしまうのであれば、日報として上長に提出したり、朝会でみんなでシェアする時間を作ったりしても良いかもしれません。slackでその日の予定とやったことをシェアするチャンネルを作っている企業もありますよ。

自分がサボれない仕組みを作ってしまうのですね。

そうです。人の目があった方が頑張れるのであれば、友人とオンラインで繋いで作業をして、お互いに見張り合うというのも良いでしょう。私はよく、自分が営業でサボらないように部下を連れて営業回りをするようにしていました。部下も勉強になるし、自分自身もしっかりやろうと思えるわけです。

なるほど。自分がどんな性格なのかを把握しておけば、自分が自制心を持って行動できる仕組みを作ることができるんですね。

はい。もし誰かと一緒にいた方が頑張れる人は、そもそも無理にリモートワークする必要もないと思います。出社すれば良いのです。大事なのはリモートワークをするかどうかではなく、自分が効率的に働ける方法を選ぶことなのですから。

目的を見失わずに、自分自身で最高のパフォーマンスを出すためにはどういう環境が必要なのか。そのためにはどんな工夫をすべきなのか?それを一度考えてみてください。

ありがとうございました!次回は、部下やクライアントなど、身近な人に自制心を身につけてもらうためにはどうしたら良いかを伺っていきます。

この章のポイント
・理論を知るだけでなく、実践と練習が必要
・怒りの感情を抑えるには、6秒〜10秒、自分で自分に「タイム」を取る
・会議で皆が感情的になると止められない。一度休憩を取ろう
・自分がサボらないで済む環境に、自分でマネジメントしていく

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