この記事でわかること
・採用戦略を成功させるための4つのステップ
・景気の変化によって、中小企業が取るべき採用戦略
・採用コストを抑えながら、求める人材を獲得しやすい採用方法
この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。今回は「採用戦略編」の第2回をお送りします(記事のアーカイブはこちら)。
前回は採用戦略が人材育成の最初の入口であることや、優秀な人ではなく、自社に必要な人を採用することをお伝えしていきました。今回は、より具体的なステップや採用方法について探っていきます。
登場人物プロフィール
【インタビュアー】MEGUMI
とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。
今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。
【専門家】嶋津良智先生
日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。
- 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
- リーダーズアカデミー 学長
- 早稲田大学エクステンションセンター講師
- 他、経歴・著書多数
前回、採用戦略においては「優秀な人」ではなく「自社に必要な人」を明確化する重要性を伺いました。今日は、より具体的な採用戦略のステップについて教えていただきたいです!
わかりました。一緒に考えていきましょう!
採用戦略を成功させる4つのステップ
採用戦略の立て方について、ネットで検索すると以下のような内容が出てきます。
・3C分析やSWOT分析で、自社と競合・市場の分析をする
・ペルソナを立てる
・採用方法を選定する
採用戦略のステップについて、嶋津さんはどのように考えられていますか?
私はいつも以下の4ステップをお伝えしています。
①自社の求める人材像(要件)を明確にする
②その人材が応募してくれる求人方法を導入する
③求める人材を見抜く選考をする
④採用した人が他社に逃げずに入社してくれるよう、フォロープログラムを組む
①は前回教えていただいたことですね。②は、採用サイトに載せたり、スカウト採用をしたりということでしょうか?
そうです。
例えば、看護師さんを採用するなら広い職種を募集する大手の採用サイトよりも、看護師採用専門のサイトを使った方がいいですよね。求める人材像・要件を元に、その要件を満たしてくれる求人サイト・応募の方法を導入することが重要です。
今は様々な媒体があり、SNS等でも人材を募集することができます。何が良いのか迷ってしまうことも多いのですが、選ぶコツはありますでしょうか?
これは会社によって正解が異なるので、難しいですね。マーケティングの一種ですから、色々と試しながらPDCAを回していくしかないと思います。
求人方法の選定ももちろん重要ですが、どんな内容を掲載するかによっても求める人材が集まるかが変わってきます。例えば掲載する写真が、踵がずり減った靴なのか、水着で遊んでいる集合写真なのか、スーツでビシッと決めている写真なのか、ラフな服装でクリエイティブなオフィスでの写真なのか…。
載せる写真1枚で、受ける印象は大きく変わりますよね。それによって、求人に応募する人も変わってくる。メッセージの出し方1つで来る人って変わってしまいます。必要な人材が、応募したくなるような内容を掲載しなくてはいけません。
だからこそ、①の人材の明確化が重要なんですね。
中小企業は、景気によって採用戦略を変化させる
採用戦略は、企業の大きさや時期によっても変わるものでしょうか?
中小企業の採用戦略という点でお話しするのであれば、景気によって戦略を変えるべきです。
景気によって?どういうことでしょうか?
景気によって、採用戦略の外部環境は大きく変化します。景気が良い時、企業の求人意欲は高まり、売り手市場になる。企業にとって採用はしづらいですが、求職者は就職しやすいです。
こういう時は、人を採りたくても、良い人が採れないというギャップが生まれます。採用コストがかかる上に、満足のいく採用ができない。大手企業が大量採用に走るため、中小企業の採用戦略はとても困難を極めます。
なるほど。中小企業はどうしたら良いのでしょう?
中小企業が取るべき採用戦略は、採用基準をそのままに採用人数を抑えるということです。人よりも商品開発やブランド戦略に投資をする。採用基準を緩和して目標人数を確保し、教育を充実させるということが必要です。
反対に景気が悪い時の外部環境は、企業の求人意欲が下がり、買い手市場になります。企業にとっては採用しやすいですが、求職者は就職しづらい。大手企業が大量採用に走らないので、中小企業でも採用コストを下げながら、満足いく採用をすることができます。
こういう時、中小企業は採用基準を上げ、即戦力の人材を採用するチャンスです。教育を緩和し、一気に会社を伸ばします。
中小企業は「リファラル採用」がおすすめ
なるほど!特に中小企業におすすめの採用方法はありますか?
私は最近リファラル採用をおすすめしています。リファラル採用とは、自社の社員に友人などを紹介してもらう採用方法です。採用コストを大幅に抑えられますし、社員からの紹介なので信頼でき、社風に合った人材を獲得しやすくなります。類友というやつですね。
確かに、応募側も友人の紹介だと安心できそうです。
経営者や人事としても、社員が紹介したくなるような会社とはどんな会社かを真剣に考え、会社を見直すことができます。社員がぜひ紹介をしたいと思うような、魅力的な会社作りをしていかないといけません。会社を見直せる上に、社員が良い人材を引っ張ってきてくれたら、採用コストも抑えられるし、今いる素晴らしい社員に近い人材が採用できる。良い人材が集まる確率をも上げられます。
企業にとって良いこと尽くめですね。
コスト面で言っても、採用会社に多額の広告料を払うより、社員に紹介料を渡した方が良いじゃないですか。
おっしゃる通りですね。リファラル採用には、たくさんのメリットがあるのですね!
第3回・第4回では、求める人材を見抜く選考や、入社後ギャップをなくす方法を伺っていきたいと思います。
この章のポイント
・採用戦略のステップは、①自社の求める人材像(要件)を明確にする、②その人材が応募してくれる求人方法を導入する、③求める人材を見抜く選考をする、④採用した人が他社に逃げずに入社してくれるよう、フォロープログラムを組む
・掲載する写真・メッセージによって、応募者が大きく変わる
・景気が良い時、中小企業は採用基準を緩和して目標人数を確保し、教育を充実させる
・景気が悪い時、採用基準を上げ、即戦力の人材を採用する
・社風に合った人材を獲得しやすいリファラル採用がおすすめ
嶋津式の組織マネジメントをもっと学びたい方へ
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