この記事でわかること
・優秀な人材は、求人サイトからは応募しない
・良い人材予備軍の条件とは?
・未経験でも自社に適した人材を見極める方法
この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。今回は「採用戦略編」の最終回となります(記事のアーカイブはこちら)。
前回は新卒採用で発生しやすい入社後ギャップをなくすコツを伺っていきました。今回は、中途採用ならではのポイントや、取るべき人材について伺っていきます。
登場人物プロフィール
【インタビュアー】MEGUMI
とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。
今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。
【専門家】嶋津良智先生
日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。
- 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
- リーダーズアカデミー 学長
- 早稲田大学エクステンションセンター講師
- 他、経歴・著書多数
前回は、新卒採用について色々と勉強させていただきました。今回は中途採用編です!
わかりました!
優秀な人材を獲得するなら長期的アプローチを
実績・能力のある優秀な人材も、近年は大企業からベンチャーに転職するケースが増えてきたかと思います。しかし、一般的に採用市場で高く評価される人は取り合いなのでしょうか?
そうですね。僕はよく、誤解を恐れずに言うと、優秀な人材はマーケットにいないって言うんですね。そもそも本当に優秀な人って、企業で取り合いますから、わざわざ求人サイトから応募してこなくても働き先はいくらでもあるんですよ。
求人サイトから応募してくるということは、直接企業からの誘いはなかったからサイトに登録したとも言えます。
なるほど…ということは、本当に優秀な人材を獲得したかったら、求人サイトからの応募を見るという時点で手法が違いますね?
そうです。本当に優秀な人材が取りたかったら、普段からいろんな交流を深めて、何年も待つような長期の戦略が必要です。
僕がよくやっていたのは、色々なところで名刺交換した際に、いつか来てくれたらいいなと思う人の名刺を別に取っておいて、定期的にアプローチしてご飯を食べに行ったりしていました。
今の時代は特に、同じ企業にずっとい続ける人の方が少ないですもんね。良い人材の周りには、常にそういう方がたくさんいるのでしょうね。SNSで繋がっておくのも有効ですか?
そうですね。その方の投稿には動向が現れるでしょうから、常にチェックしておくと良いと思います。
採用戦略は奥深いですね。
良い人材予備軍の条件とは?
優秀な人材を獲得する難易度が分かったところで、優秀になりそうな人を探すのは難しいんでしょうか。良い人材予備軍のような。
良い質問ですね!僕は採用戦略の重要な部分はそこだと思いますよ。
この図をご覧ください。これは、仕事ができる・できないと、業界の経験・未経験で分類した時に、取るべき人材を表したものです。
仕事ができて、経験者であれば、即戦力ですね。でも、だからこそ競争率が高い。
その通り。そこで重要になってくるのが、いかに「仕事ができる・業界未経験者」を採用するかです。業界や自社の業務内容は未経験だったとしても、前職の経験やスキルを上手く活かせる場合も多いです。逆に実績があったからと言って、自社でも実績が残せるとは限りません。全く同じ仕事ではないわけですから。
そこは経験・未経験に捉われず、見極めが必要ですね。見極めのコツはありますでしょうか?
能力があって、経験があって、努力や熱意があるのが一番初めにとるべき人ですよね。これは分かりやすいと思います。
次に取るべきなのは、能力があって、経験はないんだけれど、努力や熱意がある人。
3番目が、能力もあって経験もあるけれど、努力や熱意がない人。
こういう人は、たまたま前の会社の環境や状況で情熱が持てていなかっただけであって、うちの会社に入ってきたら人が変わったように頑張ってもらえる可能性もある人なんですよね。ここはしっかり見極める必要性があります。
能力はないけれど、経験と、努力や熱意がある人も良いですね。努力・熱意があるということは、頑張って能力を身につけてもらえる可能性があるわけですから。
4番目は、努力・熱意はあるんだけど、経験も能力もない人。
努力・熱意はあるから、頑張りによって経験を積んで、能力を身につけたら戦力になる可能性はありますよね。
未経験でも、自社に適した人材を見極める
2番目に取るべき、「能力があって、経験はないんだけれど、努力や熱意がある」人が、自社にハマるかどうか、見極めるポイントはありますか?
僕がよくやるのは、深掘りですね。例えば、自社の仕事で必要な能力を疑似的に設定して、「こういう場面があったとしたらあなたはどういう判断をしますか?」「どういう考え方をしますか」「こういう状況があったとしたらどういう行動を起こしますか」と聞いていく。
その人の持っている能力が、自社の経験として活きるのか、たらればで当てはめて相手の思考や経験を判断していくということですね。
実際に自社で働いた場合のシチュエーションを想定させてみて、どう判断するかというのを見極めるんですね。
そうです。あとは過去の深掘りですね。その時に覚えておいてほしいキーワードは、「具体的には」「例えば」という2つです。
例えば進学・就職・転職とか節目の出来事について、なぜその選択肢を選んだのか、どういう考え方でその結論に辿り着いたのか、どうしてそこでそういう行動を取ったのか、具体的にはどうしたのか。
深掘りをしていくと、段々とその人の何を大切にして、どんなことを考えて、どういう行動をする人なのかという個性が見えてきます。
単に過去を聞くのではなく、その人の個性が見えるような質問を考えることが重要ですね。貴重なお話をありがとうございました!
この章のポイント
・優秀な人材を獲得するには、長期的なアプローチが必要
・未経験者でも、良い人材に育つ可能性がある
・能力、経験、努力・熱意の有無によって、取るべき人材を見極める
・「具体的には」「例えば」で過去を深掘りする
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