この記事でわかること
・デジタル化に伴い、人が時間に追われるようになった背景
・時間はなぜ上手に活用しなければならないのか
・世界一シンプルな成功法則
この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。
今回のテーマは「時間術」(記事のアーカイブはこちら)。
インターネットやSNS、アプリ等の台頭により、現代人は毎日忙しくなるようになりました。マルチタスクが続き、ストレスの増加や集中力の低下も懸念されます。時間を上手く使い、成果を出すためにはどうしたら良いのでしょうか。
登場人物プロフィール
【インタビュアー】MEGUMI
とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。
今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。
【専門家】嶋津良智先生
日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。
- 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
- リーダーズアカデミー 学長
- 早稲田大学エクステンションセンター講師
- 他、経歴・著書多数
電話やメールの他にも、Slack、Chatwork、Facebookなどコミュニケーションツールが多数存在し、返信しているだけで午前中が終わった…なんてこともあります。私たちにとって時間をいかに効率よく使うか、「時間術」は大きなキーワードであり、書籍化もされています。現代人はなぜ、時間に追われるようになってしまったのでしょうか?
私の印象としては、急に時間に追われるようになったというよりも、常に人は時間の使い方で人生が変わりますし、ビジネス本や自己啓発本で「時間の使い方」というのはずっと大きなテーマとなっています。
デジタル化への変革期だからこそ、時間に追われるように
ただ、近年のものすごく大きな変化を1つ挙げるとすれば、インターネットの出現による、デジタル化でしょうね。時価総額ランキングの企業を見てみても、世界の上位はアップルやマイクロソフトとなっており、製造業からサービス業へと推移しているのが分かります。
今やインターネット事業は私たちにとって欠かせない事業となりましたよね。
社会のデジタル化によって、人の価値観も大きく変化しました。価値観の多様化に合わせて、より人とのコミュニケーションに時間がかかるようになったんです。例えば、昔は「良いからこれをやれ」なんて指示も通用していましたが、今は何をするか、その背景を理解してもらうためのコミュニケーションを取りますよね。コミュニケーションの変化は、時間の使い方の変化にも繋がっているのです。
なるほど。良い・悪いは置いておいて、時間の変化という点ではコミュニケーションも関係しているのですね。
また、人手不足の今、業務のDX化、デジタル化は急速に進んでいます。これまでやり慣れてきたことを新しいことに変化させる時は、時間がかかるものです。
それはとても理解できます。例えば業務効率化を図るSaaSのサービスを導入する時、まずは習慣化してきていた業務を整理したり、目的を再整理した上で無駄になっている業務を洗い出したり、サービスを導入する部署内での運用ルールを決めたりと、一時的に時間が取られます。それは今後の業務効率化に繋がることですが、直近では通常の業務より時間がかかるものですよね。
はい。そういったことが多方面で起こっているので、時間に追われてしまっている状態なのです。
情報の量と速度の変化
デジタル化によって、仕事の仕方や情報の速度も変化したように思います。
昔は机の上に電話だけ置いてある、なんてこともありましたが、今やPCや電話、携帯と机の上にあるものを見ても変化が分かりますよね。また、MEGUMIさんが言う通り、情報の速度と情報量はかなり変化しています。デジタル化によって流通する情報が500倍になったとも言われています。
SNSのタイムラインやLINEの通知、Slackでの通知など、情報が来すぎてストレスに感じることがとても増えました。
情報が増えただけでなく、その情報が必要かどうかを判断しなければいけないので、意思決定する回数が増えているので、ストレスに感じるんです。
なるほど。確かに、それぞれの通知を読んでみて今必要じゃない情報だった際は、時間を無駄にしたなぁという感覚があります。
情報の速度もずいぶん変わりました。電話であれば通じなければ「しょうがない、またかけよう」と思って済ませられますが、Slackやデジタルのコミュニケーションツールは通じることが前提になります。ツールが多様にあるというのがまた厄介な部分ですね。
本当にそうですよね。自社ではslackで統一していても、クライアントはchatworkが主流の企業もあれば、teamsが主流の企業もあったりして、なかなかツールの統一は難しいです。
企業の観点で言えば、守らなければいけない事柄が増えたことも、時間に追われるようになった要因の1つですね。内部統制報告制度(J-SOX)やコンプライアンス、直近ではSDGsを始めとするESGなど、気にかける必要が増えています。ルールが増えるということは、やることが増えるということです。
世界一シンプルな成功法則
様々な要因によって、時間に追われるようになっているのですね。時間を上手く活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
世界一シンプルな成功法則は、人種や年齢・性別・生まれた環境にかかわらず、人間に平等に与えられている2つのリソースを大切にするということです。何か分かりますか?
時間と…何でしょう?
1日24時間の時間と、命です。偉い人間が36時間あるとか、この人はダメだから16時間しかないとか、そういったことはないですよね。みんな24時間、平等に与えられています。そして、時間というのは、何かをしている時は何かをしていない時なんです。例えば、東京ドームでアーティストがライブをしている時間は、そのアーティストが大阪でライブができていない時間でもあります。
そうですね。
時間は常にライブで動いているものなので、何かをやると決めた瞬間に、後ろ側にはやりたくてもできないことがたくさん存在するんです。
確かに。そう聞くと、とても時間が貴重なものだと思えてきました…。
今僕とお話ししているこの時間は、もう消えない事実として墓場まで持って行かねばなりません(笑)。つまり、時間を何に使うかを決めることはとても重要なのです。
無数にやりたくてもできないことがある中で、やることを決めなきゃいけないのですね。
時間はリソースであり資産の1つですから、時間を活用するメリットは、資産運用に置き換えてみると分かりやすいです。運用に成功すれば成果が出て儲けが出るし、失敗すれば損をします。よく「80対20の法則」と言われるように、人は放っておくと、時間に流されて、大切な20%のことに20%の時間しか使わず、どうでも良い80%のことに80%の時間を使ってしまいます。
休日にダラダラしてしまって、ほとんどが無駄な時間なのはあるあるです。
休日でリラックスする分には良いかもしれませんが、仕事で成果を出すには襷掛けにしなければいけません。つまり大切な20%の行動に80%の時間を使い、どうでも良い80%の行動に20%の時間を使うということです。
それが時間を上手く活用するコツであり、メリットですね。時間という資産を運用する。時間を効率的に活用する重要性がとても理解できました。次回は、時間管理を効率的に行う時間術について詳しく教えていただきます。
この章のポイント
・価値観の多様化に合わせて、人とのコミュニケーション量が変化
・情報の量と速度が変化
・人間に平等に与えられた1日24時間の時間と、命を大切にする
・時間はリソースであり資産
・大切な20%の行動に80%の時間を使い、どうでも良い80%の行動に20%の時間を使う
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