この記事でわかること
・時間に追われてストレスに感じる時にやるべきこととは
・休むと決めても電話に出てしまう。そんな時はどうすれば良い?
・時間を効率的に使いながら、ストレスを軽減するための工夫
この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。
今回のテーマは「時間術」(記事のアーカイブはこちら)。
これまで時間を効果的に使うための時間術について伺ってきましたが、時間に追われている毎日に疲労感がある方も多いかもしれません。今回は、時間に追われて疲れてしまう時の対策について考えていきます。
登場人物プロフィール
【インタビュアー】MEGUMI
とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。
今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。
【専門家】嶋津良智先生
日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。
- 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
- リーダーズアカデミー 学長
- 早稲田大学エクステンションセンター講師
- 他、経歴・著書多数
前回のお話では、時間は「他人にコントロールされるのではなく、自分でコントロールする」というのが印象的でした。日々時間や仕事に追われ、プライベートでも様々なSNSやメディアを見てしまって、疲労している方が増えてきている気がします。こんな時、どのように対応したら良いでしょうか?
誰にも左右されない日を作る
前回お伝えしたように、予定が入る前に自分の時間をブロックしていくというのは重要ですね。経営者は土日にも何かしら連絡を返したり、平日にやり残した仕事をしてしまったりして、休むことが後回しになってしまいがちです。私の場合、「仕事をしない日」をあらかじめ決め、確保するようにしています。
平日に社員たちとのMTGやコミュニケーションに追われてしまって、自分の考える時間や作業する時間が土日に回ってしまい、1日も完全に休む時間を作れていない…という状況に陥ってしまうんですよね。
経営者において重要なのは、いかに自分がやらないことを決めるかですよ。何でも自分でやった方が早いと思ってしまいがちですが、自分でやっているとどんどん時間もなくなっていってしまいますし、ご自身の体も持たないでしょう。社員を信頼して任せ、経営者は「やらないこと」を決めるようにしてください。
以前嶋津さんが仕事の任せ方についてお話してくださった時におっしゃっていた、「上司の究極の仕事は、自分を社内失業者にすること」、ですね。(https://www.leaders.ac/creating-an-organization-14)
そうです。1日は有限で、有限な時間を使うには自分の時間を使うか、他人の時間を使うかしかありません。多くの人の時間を有効的に使ってこそ、企業がチームで成果を生み出すことができるのです。
嶋津さんの会社では、週休3日制度を導入されていますが、こちらも時間に追われ続けず、休むための取り組みと言えますか?
はい。あとは1ヶ月に1度、3日間は予定を入れない日を作っています。もし追われている仕事があればそこの期間を使って片付けるし、先送りにしていて先送りしていること自体がストレスになっているものを一気にやったりします。この3日間は誰にも関与されず、自分のやりたいことをやる時間という風に決めています。
そういう時間を作っておくと、時間に追われる中で少し落ち着いて、目の前の仕事に向き合えそうです。
この3日間は打ち合わせなどは入れないので、例えば自然豊かな場所でワーケーションするのもおすすめです。
場所を変えるだけでもリフレッシュできますよね。ストレスを抱えすぎる前に、自分がやりたい仕事に集中する時間を確保し、時間に余裕を持たれているのですね。
やはり時間を誰かに左右されている感覚がストレスに繋がりやすいので、誰にも左右されず、自分だけの時間を作るというのは重要ですよ。
「この電話は出ないといけない」は経営者の思い込み?
予定を入れない日を作っても、電話やトラブルの香りのするメールにはすぐに対応してしまいそうです。
私も予定を入れない日だとしても、どうしても出なければならない電話やメールには対応します。ただ、「この電話は絶対に出ないといけない」というのは大抵経営者の思い込みです。「自分がやらないと」と思いすぎているんですね。本当にやらないといけない、緊急で対応しないといけないものはごく僅かだと思いますよ。
確かに、絶対に今日やらないといけないか?というのは一度自問自答してみた方が良いですね。
はい。その上で、やるべきだと思ったらやれば良いんです。大切なのは、自分で決めて、自分で時間をコントロールするということです。
午前中はクオリティタイム
平日は時間を効率的に使いながら、時間に追われてしまうストレスを軽減する工夫はありますでしょうか?
弊社では、午前中のスタッフから私へのコンタクト、私からスタッフへのコンタクトも禁止にしています。
なぜでしょうか?
午前中の3時間は午後の5時間に匹敵すると言われるほど、睡眠で脳を休めた後の午前中は集中しやすく、「クオリティタイム」と言えます。非常に効率よく仕事ができる時間帯なので、社員それぞれが自分のやるべき仕事に集中する時間にしているのです。
なるほど。私は朝一番にメールを返したり、午前中にMTGを固めてしまっていたりしたのですが、それが自分の時間も社員の時間も非効率にしてしまっていたのですね。
あらかじめ午前中は誰かに連絡をしなくて良いし、誰からも連絡が来ないと分かっていれば、ストレスなく仕事に集中しやすくなります。こうしておけば、社員は集中すべき仕事を午前中に配置するようになります。これを決めていないと、「あの件どうなった?」「この件は?」と次々に連絡が来てしまい、集中がその都度途切れます。
社内全員が統一して決めておくことがポイントですね。
はい。時間術に詳しい人に言わせれば、集中している時に集中力が途絶えるようなことが起きると、同じ集中力を取り戻すまでに同じ時間がかかるらしいです。例えば20分集中してやっていたのに、誰かから声をかけられて集中力が途切れると、その集中力をもう一度取り戻すのに20分かかる。
確かに集中力が一度途切れると、なかなかもう一度そのゾーンには戻れない感覚があります。同じ時間がかかると考えると、かなり効率が悪いですね。ストレスにもなりそうです。
時間をストレスなく、上手く活用するためには、集中力を継続するということは凄く大切です。私が以前経営に携わっていた会社では、私への連絡は9-10時、13-14時、17-18時の3時間のみにしていました。そうするとこの3時間はものすごく電話がかかってくるのですが、私自身もその時間は社員のための時間として確保してあるので、連絡に集中できるんですね。それ以外の時間は作業時間や社員との面談などに充てて、連絡が入ることで集中力が途切れないように工夫していました。自分がやりたいもののために使う時間を分けて作っておくと良いですよ。
なるほど!近年は様々なコミュニケーションツールで即時に通知が来てしまうので、それらで集中力が途切れたり、連絡を返すことばかり優先してしまいがちです。自分で連絡を返す時間を確保しておけば、連絡を返しそびれることもないですし、それ以外の時間は連絡に気を取られずに集中できそうですね。これは経営者でなくてもできる工夫だと思います。ありがとうございました!
この章のポイント
・「仕事をしない日」をあらかじめ決め、確保する
・自分で何でもやろうとしない。他人の時間を使う
・1ヶ月のうち3日間、何も予定を入れない日を作る
・本当にやらないといけない、緊急で対応しないといけないものはごく僅か
・午前中は「クオリティタイム」。自分のやるべき仕事に集中する
・集中力が途切れると、集中力を取り戻すまでに同じ時間がかかる
嶋津式の組織マネジメントをもっと学びたい方へ
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