この記事でわかること
・時間を効率的に使うために重要な思考法
・限られた時間で「やらないこと」を決めるために行う2つの質問
・脳を休めた後の午前中が勝負!午前中にやるべき仕事とは

この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。

今回のテーマは「時間術」(記事のアーカイブはこちら)。 

情報の量と速度が変化したことで、人はより時間に追われるようになりました。その中で時間管理を行い、効率的に時間を使うにはどうしたら良いのでしょうか。

登場人物プロフィール

【インタビュアー】MEGUMI

とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。

今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。

【専門家】嶋津良智先生

日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。

  • 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
  • リーダーズアカデミー 学長
  • 早稲田大学エクステンションセンター講師
  • 他、経歴・著書多数

<プロフィールはこちら>

前回のお話から、大切な20%の行動に80%の時間を使い、時間を資産として上手く活用する必要があることが分かりました。今回は、時間を効率的に活用する具体的な時間術を教えてください。

時間を上手く使うには、「やらないことを増やす」「やらないことを決める」ことをやってみましょう。

優先順位ではなく劣後順位をつける

限られた時間の中で何をするべきか、優先順位をつけるのかなと思いましたが、やらないことの方を決めるのですね。

はい。時間の活用が上手い人は、優先順位よりも劣後順位を決めています。

それはなぜでしょうか?

前回お伝えした通り、人は20%の大切なことに20%の時間しか使わず、どうでも良い80%のことに80%の時間を使ってしまいます。しかし本来は20%の行動に80%の時間を使い、どうでも良い80%の行動は20%の時間をかけるべきです。そのためには、やらないことをたくさん決めなければいけません。

やるべきことよりやらないことが多いのですね。

仕事で成果を出している人は、仕事の量で時間を決めるのではなく、限られた時間の中でやるべき仕事を決めます。その時間の中でより効果を出せる仕事を選択しているんです。そのためには、やらないこと・手放す勇気を持つことが大切です。

仕事の量で時間を決めるとどんどん時間はすぎていきますが、限られた時間の中でやるべき仕事をするという考え方であれば、より鮮明に効果を出せる仕事を見極められそうです。自分でやった方が早いから、お世話になっている人からの頼み事だから、会社のルールになっているから、などの理由で続けていくことは、手放した方が良いですね。

その通りです。

やらないことを決める2つの質問

やらないことを決めるために、具体的にどのような考え方をしたら良いでしょうか?

私はいつも、以下の2つの質問をしてくださいとお伝えしています。
①これをやらないと誰が困るか?
②これをやる目的は?どのような成果を出すための行動か?

この2つの質問に対して少しでも迷うことがあれば、一旦やめてみてください。

誰のために、何のためにやるのかを整理するのですね。

そうです。2つの質問に答えられて、「どうしてもやらなければいけない」と感じたもの以外は一旦全てやめてみて、もし不都合が生じたらまた始めれば良いのです。例えば、会議は本当に必要か?という議論が社内で出たら、一度全部やめてみる。やめた後に、不都合に感じた人が、不都合に感じた会議のみ、再び始めれば良いのです。

まずはやめる勇気ですね。

午前中を有効的に活用する

時間帯によって使い方を変えたほうが良いことはありますか?よく午前中の方が集中力が高いという噂を聞くのですが。

おっしゃる通り、午前中は有効的に活用した方が良いですね。午前中の3時間は午後の5時間に匹敵するとも言われるほどです。睡眠をとって脳を休めた後の方が、人は効率良く時間を使うことができるものです。

やはりそうなのですね。午前中はどのような仕事をしたら良いでしょうか?

20%のやるべきことを午前中に、80%のことを午後にすると良いと言われています。

本当にやるべきことは午前中に済ませてしまうんですね。

人の集中力は4時間しか続かないとも言われています。よくメジャーリーグは日本よりも練習時間が短いと言われていますが、それは集中力が持続する時間に効率良く練習を行っているからです。

そう言われてみると、お昼を食べた後は夕方頃に集中力が切れてきますよね。

さらに現代は様々なコミュニケーションツールから連絡が入り、SNSやアプリなどスマホへの通知も多いので、集中力が途切れやすいです。私の会社では、午前中は私への連絡を緊急時以外は禁止にしていて、午前中の貴重な時間に集中できる環境づくりを行っています。経営者は特に連絡に追われやすいので、社内だけでも午前中は連絡禁止にするなど、午前中の集中できる時間を大切にするべきです。

確かに連絡が来ないと集中しやすそうですが、何か問題が発生していないか心配で、禁止にするにはなかなか勇気が要りますね。

そこで劣後順位です。本当に午前中に連絡を取ることが1番成果に繋がることでしょうか?成果を出せる仕事を午前中に集中して行い、午後に連絡を取れば問題ないことの方が多いのではないでしょうか。

うーん、おっしゃる通りですね。メールやコミュニケーションツールでの返信を早くしないとと追われがちですが、意外に数時間後に返しても問題ないことが多いです。一度すぐに返すことをやめてみて、不都合が生じる案件はすぐ返すようにすれば良いんですもんね。

そうです。良い発想転換が出来ていますね。私は、仕事の連絡は秘書にも共有し、スケジュール調整など秘書が返せるものは返してもらうようにしています。全部自分で返信することをやめているんです。会社はチームで動いているのですから、自分1人で動くものはなるべく減らし、限られた時間内で自分が成果を出せることに集中しましょう。

この章のポイント
・時間の活用が上手い人は、優先順位よりも劣後順位を決めている
・仕事の量で時間を決めるのではなく、限られた時間の中でやるべき仕事を決める
・やらないことを決めるための2つの質問
 ①これをやらないと誰が困るか?
 ②これをやる目的は?どのような成果を出すための行動か?
・20%のやるべきことを午前中に行う

<この記事のシリーズをもっと見る>

嶋津式の組織マネジメントをもっと学びたい方へ

インタビューでは語りきれなかったより詳しい内容を網羅した、オンライン動画コンテンツを無料で提供しています。嶋津式の組織マネジメントをもっと学んでみたいという方は、ぜひ合わせてご覧ください。

<無料で視聴する>