この記事でわかること
・時間を有効的に使えない人の特徴
・嶋津先生が週休3日制度を導入した理由
・時間を効率的に使うためのスケジュール管理の方法
・時間の管理が苦手な部下がいる時、マネージャー層がやるべきこと
この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。
今回のテーマは「時間術」(記事のアーカイブはこちら)。
時間を有効的に活用しなければならないと分かりながら、ついついYouTubeやNetflixを開いてしまい、サボってしまう人は多いのではないでしょうか。情報が溢れる今、取捨選択し時間を有効的に活用するのは難しいものです。本記事では、時間を効率的に使えない人の特徴について紐解いていきます。
登場人物プロフィール
【インタビュアー】MEGUMI
とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。
今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。
【専門家】嶋津良智先生
日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。
- 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
- リーダーズアカデミー 学長
- 早稲田大学エクステンションセンター講師
- 他、経歴・著書多数
時間を効率的に使わなければと思いながらも、つい欲望に負けてしまいます。時間を有効的に使えない人の特徴というのはあるのでしょうか?
あえて時間を減らし、効率を上げる
パーキンソンの法則ですね。パーキンソンの法則とは、以下の2つです。
1. 仕事は、利用可能な時間を全て満たすように拡大していく
2. 支出の額は、収入の額に達するまで膨張する
時間はあるものだと思った瞬間に浪費が始まります。例えば、本来なら30分で終わるはずの会議も、あらかじめ1時間設定されていると、どうしても無駄が生じてしまい、結局1時間かかってしまうんです。
「今日は30分しか取れない」という日があると、意外に30分以内に終わって、元々1時間も要らなかったのではと思うことがあります。Googleを始め、多くの企業が30分単位での会議設定を推奨していますよね。休日も気づいたら何もせずに1日が終わってしまった経験がある人は多いのではないでしょうか。
弊社では以前、子育てと仕事を両立している社員が、深夜遅くまで仕事をする日が続いたので、日報を分析してみたんです。すると、「子供が寝た後にしか集中できない」「夜にやれば良い」という思いが強いあまり、昼の時間の使い方が荒くなっていることに気づきました。子育てしているお母さんが、深夜に仕事をするというのも健康的ではありません。それではどうすれば良いのか。ポイントは、時間がないと思った瞬間に、工夫が始まるということです。
時間がないと思った瞬間に工夫が始まる。時間をなくせば良いということでしょうか?
そうです。弊社では実際に、週休3日制度を導入しました。皆さん、週休3日欲しいですよね?
欲しいです!
そうすると、余計な仕事を削ぎ落として、本当にするべき仕事のみをするようになります。限られた時間で効果の出る行動をするようになるのです。
仕事という観点で言えば、効果や仕事の意味についても考えながら取捨選択できそうですね。もちろん本当にやるべき仕事が大量にある中で時間を減らしたらパンクしてしまうので、そこは経営者やマネージャー層が判断していく必要がありますが、週休3日を実現する想定で動いてみると、色々と見えてくるものがありそうです。
時間術を使えていない人のスケジュール帳は真っ白
他にも、時間を有効的に使えない人の特徴はありますか?
スケジュール帳が真っ白だということですね。真っ白なスケジュール帳に、予定が入ったら埋めていく人は、時間術を使えていない証拠です。
どういうことでしょうか?
私のスケジュール帳は常に埋まっているのですが、すべての時間に予定が入っているのではなく、ブロックしているんです。例えばAの案件の情報収集、企画を考える時間、部下と打ち合わせをする時間といった具合に、自分のスケジュールをあらかじめ決めておく。そして部下から打ち合わせの打診が来たら、打ち合わせ時間として確保していた時間の中で予定を組んでいきます。
なるほど。人との打ち合わせやメールの返信などに時間を奪われていると、情報を集める時間や考える時間はどうしても後回しになりがちです。そうならないように、事前に時間を確保しておくのですね。
はい。時間を他人にコントロールされるのではなく、自分でコントロールする。これを意識すると、時間の使い方が大幅に変わりますよ。
行動の予実管理を行う
時間管理が苦手な部下がいた場合、マネージャー層はどのように導いてあげるのが良いでしょうか。
日報をつけてもらうことと、仕事終わりに翌日の予定を立ててもらってください。企業は予算と実績、予実管理を行いますよね。それと同じように、社員の行動も予定と実際を書き出してもらいます。仕事も時間の使い方も、準備が8割。計画的に行うことと、実際の結果を見て計画の精度を上げることで、時間を効率的に使えるようになりますよ。
マネージャーも、日報を見て、社員がどの仕事に時間を多く割いているのかを見れば良いのですね。
そうです。マネージャーが想定しているよりも多くの時間を割いている作業があれば、躓いている原因を探ることができます。疑問点があって先に進めていないだけか、社員の不得意なことなのか。理由が分かれば、改善点も自ずと見えてくるはずです。これらの繰り返しで、社内全体で、時間の使い方の効率化を図ることができます。
自分だけが効率的に時間を使えていても、会社全体での成果には繋がりません。他の社員が非効率なことで自分への影響もあるでしょう。社内全体で時間を効率的に使う仕組みが必要ですね。
早く行きたければ一人で、遠くへ行きたければみんなで、という言葉があります。自分の時間は1日24時間と限られており、自分の時間を通して実現できることは限られます。しかし、他人の時間を使うことを覚えると、1日の時間が48時間、1000時間に増えていくんですね。自分のスキルを上げるためにも、企業が成長していくためにも、いかにみんなの時間を有効的に使うかは非常に重要な課題です。
以前お話いただいた、仕事の任せ方にも繋がってきますね。(https://www.leaders.ac/freereport-cat/cat11/)今回も学びになるお話をありがとうございました!
この章のポイント
・仕事は、利用可能な時間をすべて満たすように拡大していってしまう
・時間はあるものだと思った瞬間に浪費が始まる
・時間がないと思った瞬間に、工夫が始まる
・週休3日制度で、限られた時間の中で成果の出る仕事を行う
・スケジュール帳は予定が入る前にブロックする
・他人にコントロールされるのではなく、自分で自分の時間をコントロールする
・日報をつけ、翌日の予定を立て、計画の精度を上げる
嶋津式の組織マネジメントをもっと学びたい方へ
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