この記事でわかること
・信頼関係を築くためにリーダーがやるべきこと
・言動に一貫性を持つためには何をしたら良い?
・自己開示をすることのメリット

この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。

今回のテーマは「信頼関係」(記事のアーカイブはこちら)。 

第1回目は、信頼関係とは何か、オンライン化が進んだことで組織の信頼関係の築き方はどう変わったかについてお話を伺いました。第2回は、信頼関係を築くメリットと、信頼関係の構築が上手い人の特徴について。そして今回は、信頼関係を築く方法について深掘りしていきます。

登場人物プロフィール

【インタビュアー】MEGUMI

とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。

今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。

【専門家】嶋津良智先生

日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。

  • 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
  • リーダーズアカデミー 学長
  • 早稲田大学エクステンションセンター講師
  • 他、経歴・著書多数

<プロフィールはこちら>

前回は、信頼を得るために特別な魔法はなく、小さな行動から信頼を積み重ねていくことが重要だと学びました。信頼関係を築くための方法について、今回はさらに深掘りしていきたいと思います。

よろしくお願いします!

信頼関係を築くためのポイント「一貫性」

前回教えていただいた、「相手の立場に立って考える」「約束を守る」「相手の話をしっかり聞く」「決断を下し、責任を取る」「人の陰口、悪口、不平、不満を言わない」などは当たり前のことでありながら、疲れている時には自己本位になってしまうこともあります。組織のリーダーとしてはなるべく自己本位な部分やダメな部分はなくしていきたいと思うのですが…。

聖人君子ではないですから、常に全部ができているというのは不可能です。リーダーが完璧すぎても、部下は近寄りがたいですし、リーダーとしても完璧な部分以外を見せられなくて疲れてしまいます。こういった点から自分は孤独だと感じるリーダーも多いですが、時には弱さを見せることが部下にとって親しみやすさに繋がることもあります。

完璧な人には、自分の悩みを共感してもらえないと感じて相談しにくいですもんね。完璧を目指さなくて良いと知れてほっとしました。時には失敗もあるとしても、信頼関係を築くために、ここだけは守った方が良い、ということはありますでしょうか。

一番気をつけなければいけないのは、「一貫性」です。言っていることとやっていることを一致させていく。例えば、部下には嘘をつくなと言っているのに、自分は嘘をついていたら、部下は信頼しようと思うでしょうか。

思わないですね。

部下には悪口を言うなと言っているのに、部下や会社の悪口を言っているリーダーは、信頼されませんよね。

こう言語化すると非常にシンプルですが、実は出来ていないとハッとする方も多いかもしれません。

僕は子育てでも「一貫性」が重要だと考えていて、息子にはほとんど怒ったことがないですし、彼の成長に必要なものにはいくらでもお金を出すと約束しています。ですから、本人が希望したアメリカ留学も快く送り出しました。ただ、娯楽に関するものは自分で買えと言っているんです。先日もiPadが欲しいと頼まれたのですが、何のために使うかを聞いたところ、ゲームや動画鑑賞、娯楽に使いたいということだったので、それは自分で買いなさいと伝えました。息子も納得して、お年玉の貯金の中から購入していました。

一貫性があれば、自分の希望が通らなくても納得できますね。そこには信頼関係が構築されているということですね。

そうです。一貫性も全て保つことは難しいかもしれませんが、軽蔑したり、信頼を損なうようなレベルでの一貫性のなさはないというのが、僕と息子の中にあるのだと思います。これは上司と部下でも同様ではないでしょうか。

一貫性のある上司になるためには

一貫性を持つために、気をつけるべきことはありますでしょうか。

信念を持つということですね。例えば僕は子どもの育児に関して、3つの軸を持っています。

1.子どもから笑顔を奪う教育はしない
2.子どもの「やりたい」を尊重する
3.学ぶことより、学ぶ楽しさを教える

この軸は息子とも共有していて、この軸に反していることをしている場合は遠慮なく言ってくれと伝えています。意思決定の基準を共有しているので、この基準に対して一貫性があるかを判断できるんです。

これは組織においても非常に重要ですね。経営理念については以前もお話を伺いましたが、それに反した行動を企業がしていると、社内外からの信頼を失うことになりますね。また、上司と部下という関係性においても、上司の信念、仕事において重要とすることを部下と共有しておくことで、そこに対して一貫性のある言動を取れているかをチェックできて良いなと思いました。

その通りです。意思決定の基準を伝えておけば、例え部下の提案を通さなかった時でも、なぜダメだったのかを理解できます。部下も否定されたと感じるのではなく、基準に基づいて納得ができます。部下と信頼関係を築こうとして、部下の言うことを全て否定してはいけないと息苦しく感じるリーダーもいるのですが、一貫性のある言動が取れていれば、もし部下の望む通りにならなくても、納得してもらい、信頼関係を築くことができるんです。

昨今は、これを言うとハラスメントになるのでは、部下には押し付けてはいけない、と怯えてしまう方も多いですよね。全部言うことを聞かないといけないと言うのではなく、一貫性を持つことで信頼関係を築くことが重要ですね。

信頼関係を築くために、常にオープンでいる

信頼関係を築くために、他にできることはありますか?

なぜ親友なのか、なぜ恋人なのか、なぜ仲の良い夫婦なのか。会社以外の人間関係に置き換えてみて頂くと、信頼関係を築いている相手は、お互いに分かりあっている相手だと思います。自己開示しあっていて、お互いがどのような人間かを分かりあっているからこそ、信頼し合えるし、仲が深まっているはずです。これは会社でも同様で、いかに関係性の中で知っていることを増やすか、自己開示をできているかというのは大切です。

これはコロナ禍の影響もあって、なかなか出来ていないことが多いですね。オンラインでは必要最低限の会話しかしていなくて。お互いに自己開示できていないから、部下と話していても、本当に理解しているのか分からないケースも多いです。

まずは自分自身がオープンでいることからスタートしてみましょう。オープンでいるということは、相手を信頼しているという証拠でもあります。僕は社員に対して、給料がいくらなのか、何時から何時までどこで何をしているのか、など開示するようにしています。もちろん機密情報で明かせないことは言いませんが、なるべく自分の言動をオープンにしていく。社長やリーダーがオープンにしていないのに、社員に対して日報を書けと言うのは、それこそ一貫性がないじゃないですか。

確かにそうですね。社員から見たら、リーダーは何をしているか言わないのに、自分のことは監視するんだ…という懐疑心を持ってしまうこともあるかもしれません。

リーダーがオープンにしていれば、部下も自分の行動を報告しようと思えます。またリーダーに対しての情報が増えるので、リーダーに対しての理解度が深まり、相談しやすくなりますよね。

そうやって信頼関係が築かれていくということですね。自分の仲の良い友達と同じくらい部下のことを知っているか、知ってもらっているか、という基準で考えてみると、足りない部分が見えてくるように思います。

次回は、さらに信頼関係を築く上で重要な3つの要素についてお伺いしていきます!

この章のポイント
・信頼関係を築く上で一番重要なのは「一貫性」
・一貫性があれば、部下は自分の希望が通らなくても納得できる
・意思決定の基準を共有しておくと、一貫性があるかを判断しやすい
・信頼関係を築いている相手とは、自己開示をできている
・まずはリーダーが部下にオープンでいること

<この記事のシリーズをもっと見る>

嶋津式の組織マネジメントをもっと学びたい方へ

インタビューでは語りきれなかったより詳しい内容を網羅した、オンライン動画コンテンツを無料で提供しています。嶋津式の組織マネジメントをもっと学んでみたいという方は、ぜひ合わせてご覧ください。

<無料で視聴する>