この記事でわかること
・信頼を失った時にリーダーがやるべきこと
・自己開示をすることはなぜ重要なのか
・自分で自分を信頼するためには何をしたら良いか
・どんな上司なら信頼しようと思えるか
この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画です。
今回のテーマは「信頼関係」(記事のアーカイブはこちら)。
信頼関係とは何か、信頼関係の構築が上手い人の特徴について、信頼関係を築く方法についてなど様々な角度から信頼関係について深掘りをしていきました。最終回となる今回は、信頼関係を築く上で重要な3つの要素についてお話を伺っていきます!
登場人物プロフィール
【インタビュアー】MEGUMI
とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。
今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。
【専門家】嶋津良智先生
日本唯一の『上司学』コンサルタント。「『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。
- 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
- リーダーズアカデミー 学長
- 早稲田大学エクステンションセンター講師
- 他、経歴・著書多数
信頼関係を築くポイントについて、最後に色々とお伺いしていきたいと思います!
よろしくお願いします!
自己開示することで、相手の心を開かせる
信頼関係を築く上で、コミュニケーションに失敗してしまったり、信頼を損ねてしまったりした場合、リーダーや経営者はどのように対応したら良いでしょうか。
信頼には積み重ねの時間が必要だけれど、失うのは一瞬です。失ったことが明確であるなら、素直に謝ることが1番ですね。そして改善をするということです。
前回、信頼関係の構築には自己開示が必要だというお話がありましたが、失った時もしっかりと謝罪の気持ちを開示した方が相手に誠意が伝わりますよね。
そうですね。信頼関係を築くにあたって、相手との関係性は様々ありますが、共通していることが3つあります。
3つあるんですね。1つずつ教えてください。
まず1つ目に、お互いに知っている部分を多く作り出すために、自己開示をしていくこと。人と人の間には、対応の法則が働きます。例えば、自分が離婚していることを引け目に思って他人にはあまり話していない場合、相手が「僕、実は離婚していて」という話をすると、「そうなんですか。僕もそうなんです」と言いやすくなりますよね。
確かにそうですね。相手の言葉によって、自分がいつの間にか自己開示していることはあります。
これが対応の法則と言って、相手が心を開いてくれたことで自分も心を開いているんです。そうすると、お互いに知らなかった一面が引き出されていきます。これにはまず、自分から心を開いて自己開示しないと、そう言った状態は作れません。
自分で自分を信頼する
2つ目は何でしょうか?
自分で自分を信頼できるように、自分を教育するということです。人に信頼して欲しいと思っているのに、自分で自分を信頼できなかったら、ちょっと虫が良すぎるじゃないですか。
おっしゃる通りですね…ただ自分で自分を信頼するってなかなか難しい気もします。自己肯定感の低さなのでしょうか。自分で自分を信頼するためにできることはありますか?
人間100%完璧にできることはありませんから、努力義務ということにはなるのでしょうが、やはり自分との約束を守るということですね。いつまでにこれをやるとか、自分で決めたことを自分で守る。この積み重ねが自己肯定感を上げてくれますし、自分への信頼にも繋がると思います。
逆にそれが守れないと、「自分はこんなことも出来ないんだ」と自分への信頼を損なうことにも繋がりますよね。
大切なのは、小さなことでも積み重ねていくことです。例えば僕はジムに通っていますが、もう本当に今日は行きたくない、という日もあるんです。でもとりあえず、着替えてジムの前までは行きます。それでも気分が乗らなかったらコーヒーを飲んで帰る日もあります。ただ、ジムの前に行くという自分の中での約束だけは守るようにしているんです。
なるほど!ジムを1回もサボらないことは難しくても、ジムの前まで行くという手前で約束事を作って、それを守るようにしていくのですね。
小さいことでも自分との約束を1つ1つ果たす癖をつけていくのが、自分自身を信頼する1番のコツだと思います。時間を守る、約束を守る、いつまでに提出する、メールには必ず返事をする。そういった些細なことから始めてみてはいかがでしょうか。WBCで日本を優勝に導いた栗山英樹監督は、全選手に「アウトでもヒットでも関係なく、1塁まで全力で走る」「先発選手でも控え選手でも、全員が全力で応援すること」を求めたそうです。これは野球が上手いかどうか、その日の体調が良いかどうかに関係なく、全員が出来ることです。
そうですね。誰もが守れる約束事ですね。
こういった基本的なことを守れない人間に、それ以上のことを求められないという意図もあると思うんです。
基本的なことを守ると自分自身への信頼もできますし、それを守ることで自分への成長にも繋がりますよね。
自分がいくらやりたくても、外的な要因や影響があって達成できないこともあります。そういったものではなく、自分が意識するだけで出来ることを大切に、それを確実にやっていくということが重要です。
相手の関心に関心を寄せる
3つ目は何でしょうか?
相手の関心に関心を寄せる。相手が大切にしているものを、一緒に大切にするということです。
どういうことでしょうか?
例えば、家族を大切にしている若手社員に向かって、「家族を大切にするのは良いけど、家族、家族って言う前に、まだ若いんだから仕事で成果を出すためにやらなきゃいけないことがあるんじゃないの」と言うリーダーに、信頼しようと思いますか?
思わないですね。一気に心を閉じてしまうと思います。
反対に、家族の話をよく聞いて、「今度妻の誕生日で、一緒にお祝いするんです」と言っている部下に対して、「今日は誕生日って言ってたよね。早く仕事終わらせて帰ってあげな」と声をかけて、「これお菓子だけど一緒に食べて」なんて渡すような上司だったら、どうでしょうか。
嬉しいですし、仕事も頑張ろうと思えますね。なんだか親近感も湧きますし、子どもが熱を出して早く帰らなきゃいけない時にも相談しやすそうです。
そうですよね。相手が大切にしているものに理解を示そうとする、その姿勢が信頼関係を築く第一歩なんです。
信頼関係の構築とは人間関係の構築であり、当たり前に思えることを地道に重ねていくことが大切なのだと学びました。ありがとうございました!
この章のポイント
・信頼関係を失ったことが明確であるなら、素直に謝る
・お互いに知っている部分を多く作り出すために、自己開示をする(対応の法則)
・自分で自分を信頼できるように、自分を教育する
・小さいことでも自分との約束を1つ1つ果たす癖をつけていく
・相手が大切にしているものを、一緒に大切にする
嶋津式の組織マネジメントをもっと学びたい方へ
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