STAP細胞の騒動に学ぶ、顧客満足度を上げてファンをつくる方法 | |
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投稿日: 2014/3/13 | カテゴリー: 商品力 |
「STAP細胞」は世紀の発見!
発表と共に世界的な注目を集めた新しい万能細胞
「STAP(スタップ)細胞」の論文について、
内容の不適切さを問う指摘が相次いでいます。
この一件に対して、世間では
「大変なことをしでかした!」
「いったい何を考えているんだ!」
というような憤慨の声が多く聞かれます。
もちろん、このような事態は許されるはずもありません。
ただ、別の角度からこの一件を眺めて見ると、
ビジネスに役立つ学びが得られます。
今回の騒動の是非は一端、横に置いてしまって、
この一件の「構造」を考えてみましょう。
【1】大きな期待が生まれる
大々的な発表によって、注目を集める
【2】大きな落胆が生じる
「期待した価値」が満たされず、落胆する
これが、大枠の構造となります。
ポイントは「評価が2回、行われている」ということ。
実は「これ」は「お客様の満足度」を下げる構造として
ビジネスの現場でも、よく見られます。
例えば、飲食業界の事例を見てみましょう。
「メディアの評判」と「口コミ」の反比例
街を歩いていると、こんな看板を掲げた飲食店を良く目にします。
「◯◯(グルメ番組)ランキングで1位を獲得しました!」
「◯◯(グルメ雑誌)に掲載されました!」
「すごいお店なんだなぁ!」と思いつつ、
疑り深い私は、念の為にiPhoneを取り出して検索をかけてみます。
「店の名前」で検索をすると「食べログ」や「ぐるなび」など、
口コミサイトが上位にヒットして来ます。
その口コミには、どんなことが書いてあると思いますか?
実は、先程のような打ち出し方をしているお店には、
「評価が低い」書き込みが多いのです。
理由を探るために、コメントを読み込んでいくと
おもしろいことがわかります。
「評価が低い原因」は必ずしも「味が悪いこと」ではないのです。
いったい、どういうことでしょうか?
お客さんは「2回」評価をする
いろいろなコメントを総合すると、
大体、次のような内容になります。
「期待したほど、おいしくなかった」
一見、味が不評なように見えますが、
実はそうではありません。
この意味を理解するためにはまず、
お客さんが「どうやって商品を買うのか」を知る必要があります。
実は、お客さんは商品を買ってから使用するまでの間に
「2回の評価」をするのです。
それは「いつ」と「いつ」でしょうか?
「期待値のギャップ」が満足度を決める
お客さんは商品の「購入時」に「1度目の評価」をします。
注意しなければならないのは、
この時点でお客さんが評価しているのは
「商品が良さそうかどうか」だということ。
(これを「認知価値」と言います)
商品が持つ「本当の価値」(絶対価値)は
購入後、実際に使ってみるまでお客さんには伝わりません。
つまり、この時点での評価は
商品の「絶対価値」とは別物なのです。
その後、商品を実際に使用するときになって、
お客さんは「2度目の評価」をします。
このときにお客さんが求めるのは「納得感」。
「これは良い買い物だったのか?」ということを
「評価」するわけです。
この「納得感」は次の式で決まります。
納得感 = 絶対価値 − 認知価値
つまり「一度目の評価」と「二度目の評価」の
「ギャップ」が、「納得感=満足度」を決めるのです。
どんなに商品の「絶対価値」が高くても、
それがお客さんの「認知価値」を上回ることができなければ、
「良くなかった」という感想になります。
それでは、お客さんの満足度を高めるためには、
どうすれば良いのでしょうか?
「期待値」のコントロールが満足度を生む
飲食店であれば、TVや雑誌の取材時には
「お店の一番良い状態」を見せてしまいがちです。
しかしそれでは、実際にお客さんがお店に訪れたときに、
「そのイメージ」を超えるのは難しいもの。
メディアに露出する際は、公開した情報に加えて
「さらに隠し球がある」くらいがちょうど良いです。
webページや広告で商品のことを「良く書きすぎる」と
実際に商品を使ったときに満足度が低くなりがちです。
web上で「どこまで情報を出すか」、
「どういった表現をするか」はよく考える必要があります。
商品を「買う前」と「買った後」の2つの評価を
コントロールすることで、新規のお客さんを
リピーターへと育てることができます。
そして、リピート購入が積み重なっていくと、
お客さんはその会社のファンになります。
「会社の収益の90%はリピーター(既存顧客)がつくる」
と言われるように、リピーターはとても大事なもの。
新規のお客様を獲得することは、会社にとって重要なことですが、
一度買っていただいたお客様をリピーターに育てることも、
同じくらいに重要です。
商品購入前の期待値を高くしすぎず、
商品使用時の満足度を引きあげる。
お客さんの「2回の評価」を設計して、
会社のファンを増やしていきましょう。
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黄塚 森(Shin Kozuka)について
「起業の学校」アントレプレナーアカデミー全体統括。社内外を問わずwebを中心としたマーケティングに携わる。読者1万5,000人のメルマガを執筆する他、記事作成などコンテンツ製作を得意とする。経営者向けセミナーの企画・運営も行っている。