最終的には「折れない心」「諦めないこと」
株式会社gumi 代表取締役社長 / 國光宏尚
それに対する答えも明確です。社長の仕事と役員の仕事は明確に切り分けています。社長の仕事は会社の未来に対する全てです。一方で、役員の仕事は会社の今に対する全てです。 iPhoneはよくよく考えると矛盾を抱えています。iPod機能を搭載したiPhoneが発売されたら、iPodの売上が落ちることは明白です。しかし、それでもiPhoneの発売を決断したスティーブ・ジョブズは正しいです。それは会社の未来を見据えているからです。この決断は、CEOのジョブズだからこそできたと思います。 もちろん立ち上げ当初の社長の仕事は、また別の話です。立ち上げ当初の社長の仕事は、会社としてやらなくてはいけないことの全てです。そこから未来の仕事をできるようになると、会社の成長の証と言って良いでしょう。
最終的には「折れない心」だと思います。人生には大変なことがたくさんあります。世界を獲ることは容易なことではありません。楽をしたいという気持ちは、どうしてもあります。しかし、世界を獲るとしたら、もっともっと頑張らなくてはいけないんです。 それを学ぶのに、私が教科書として良いと思うのは、漫画のONE PIECEです。
ONE PIECE対ガンダムという構図は、うまく時代を反映していると思います。ガンダムの主人公アムロには、主体性がないんです。偶然ガンダムに乗ったら、偶然強くて、自分の意思のないところで、世界のためにジオン軍と戦わされている。それがガンダムです。 一方で、ONE PIECEのすごいところは、みんなの夢がひとつではないというところです。海賊王になりたいのは、主人公のルフィだけです。他の仲間は、それぞれ別の夢を持っています。しかし、全員が冒険を通じて、自己実現をしています。会社のかたちも、こうあるべきだと思います。
そうなんです。ルフィも、あそこまで強くなったのだから、海賊王の夢を諦めたら楽になると思うんです。しかし、諦めない。一方で、他の海賊は航海が続くにつれて、どんどん諦めていく。諦めないことが決定的に大事です。 もうこれだけ頑張ったよという気持ちにだれでもなってしまう時があります。そこでいかに頑張れるかが、私自身課題だと思います。一旦折れてしまうと、戻ってくるのは大変ですしね。
私の人生だけではなく、国も人種も超えて言えると思うのですが、死ぬ瞬間に自分の人生に満足できるかどうかだ重要です。他人の人生に左右されて生きるのではなく、自分がやりたいことを貫くことが徹底的に重要だと思います、 その前提にたつと、起業の良いところは、自分の意思を持ってやりたいことができる点です。酸いも甘いも自分のために生きる。その結果、失敗しても死ぬわけではないし、それも含めて起業の魅了だと思います。
年配の方の話にあまり耳を傾けなくていいと思っています。もちろん普遍的なものは存在します。しかし、生まれてきた時代が違うのです。 かつて自分の成長と会社の成長と国の成長、これら三つと自分たちの幸せがイコールの時代がありました。高度成長期がそれにあたります。 しかし今はそういう時代ではありません。
一昔前は、敷かれたレールを走れば良い時代でした。ゴールがあらかじめ設定されていました。しかし、今はちがいます。今までの正解が、正解ではなくなっている時代です。 では正解はどこにあるのでしょうか。それは、一人ひとりの心の中です。本当にやりたいこと以外やらなくて良いと思うんです。その過程の一つが、起業かもしれないし、海外に行くことかもしれないし、ベンチャーでのインターンかもしれない。その過程はなんでもいいのですが、最終的に満足して死ぬために、そこに没頭すればいいんです。
ただひとつ注意したいことがあります。それは徹底的に勘違いしていることがあるんですね。それは「やりたいことが見つかった時に、自分がそのポジションにいるかどうか」です。
乗り遅れないためには、「実力」が必要です。「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があります。これはどういうことかというと、天命が来ないと成功しないと言うことです。しかし裏返すと、人事を尽くした奴にしか、天命は来ないという意味にもなります。 私たちも、天命はずっとこない時代がありました。しかし、永遠と準備をしていました。その結果、ソーシャルゲームという分野で、今勝負することができています。
目の前にあるものに、全力を突っ込むことだと思います。それが本当に好きなことかどうかわかりませんが、とにかく全力を注ぐことです。その全力を注いだ経験が役に立つ時が必ず来ます。 私の場合、海外経験が現在の海外戦略で役に立っています。映像系の仕事が、現在のゲームで役に立っています。中国語も、英語も、映像もその局面ごとで誰よりも努力してきた自負があります。だからこそ、今それらが全て爆発して取り組むことができています。 その一方で、自らがやりたいことも探し続けることが大切です。世の中は複雑すぎるので、なかなか見つからないかもしれませんが、死ぬ直前でもいいので、自分のやりたいことが見つかればいいと思います。
そうですね。時代は変わってきています。そして、自分の満足は自分の中にしかありません。その満足できるなにかを自分の中で見つけた時に、全てを賭けてぶつけることが大切です。もしそれがないならば、今目の前にあるものに対して、全力をつっこみましょう。それが後々活きるはずです。若い人たちが奮い立つような姿を見せたいと思い