「仕事は好きになれないならやめた方がいい」リノべる山下社長が若者に伝えたい仕事観
株式会社リノべる 代表取締役 山下智弘
<経歴>
リノベる株式会社 代表取締役 山下 智弘
1974年、奈良県生まれ。 大学卒業後、社会人ラグビーを経て、ゼネコンに入社、建築の面白さを知る。 建築・建設業に携わる中で、建てては壊す「スクラップ&ビルド」を繰り返す 日本の現状を目の当たりにし「自由な空間をもっと手に入れられるような世の 中をつくろう」と独立を決意。
その後、デザイン事務所・不動産・家具職人・大工などを経て、大阪の南堀江 に株式会社esを設立。デザイン事務所・家具工房・インテリアショップ・レス トラン・農場運営まで行い、野菜・家具から空間まですべて手作りで作り出 す。
2010年、拠点を東京に移し、リノベる株式会社設立、代表取締役就任。
「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に」というミッションのもと、 日本の資産ともいえる中古マンションのリノベーション事業をスタート。テク ノロジーを活用したリノベーション・プラットフォームを構築し、国内No.1(※ 1)のワンストップ・リノベーション事業者に急成⻑※させると共に、リノベー ション業界に向けてプラットフォームのオープン化を進めている。また、都市 の文脈も踏まえて遊休不動産の一棟リノベーション・コンバージョン(建物の 用途変更)を行う都市創造事業も展開。更に、スマートホームや暮らし領域の ICT化を含むLIVINGTECH分野の活性化に取り組んでいる。
経済産業省「先進的なリフォーム事業者表彰」選定(2015年) 新経済サミット2015「NES STARTUP COMPETITION」第2位(2015年) 2019 Red Herring Top 100 Asia(2019年)
他受賞歴多数。
※2019年11月6日『日経MJ』第37回サービス業調査において、一人あたり売上 高伸び率ランキング(前年度売上30億円以上部門)で3位にランクイン。
詳しい会社の紹介はこちら。
「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。」というミッションを掲げている会社です。
今期でちょうど10期目を迎えました。若いころに、世界の色々な国をまわる機会があって、そこで日本の住まいと海外の住まいのギャップの大きさを感じました。もっともっと日本もこうなればいいのにな。。。ってところから今のビジネスを練り上げて、起業しました。だから、もともと経営者になりたかったわけではなくてこういうことをやりたいと思って探した結果、どこにもなかったので自分で作ったという形です。28歳で初めて独立をして、経営者としては16年ほど経ちました。最初に立ち上げた前の会社は売却して、2010年に今の会社「リノべる」を立ち上げました。
起業する前海外に住む友人を訪ねて、しばらく旅をしていた時期がありました。その時に知ったのですけど、欧米は約8割の人が中古マンションを購入して、自分好みにリノベーションして暮らしを楽しんでいるのです。実際、海外に住む私の友人たちは自分の家に招待したがるのです。そして皆が口を揃えたかのように楽しいぞって自慢していました(笑)。そんな住まいを日本でももっと増やしたいなって心の中で感じていました。
ラグビーを辞めて、先輩のツテでゼネコンに入社しました。その後ゼネコンを退社してから数年デザイン会社で働いていました。その時は目の前のお客さんに深く刺さるものは何かというのをずっと考えていました。でもやればやるほど自分がやりたいと思っていた多くの人にいい暮らしを送ってもらいたいという所から離れていくんですよね。もちろん来てくださるお客さん、つまり一部の人には深く刺さるけど、多くの人にはなかなか刺さらない。でも多くの人に刺さるには丸くなってみんなに一定のものをってなると、なかなか深くは刺さらない。これどうやったら解決できるかなあってずっと悩み続けていました。
その時、自分の頭の中でイメージしていたのは、丸いボールに棘がたくさんついてればいろんな人に刺さるんじゃないかな、ということ。そこでそういう業態って世の中にないかなって思った時、アパレルでいうセレクトショップがそういうことをしているなと気づいたんですね。自社ブランドだけじゃなくて、いろんなセレクトの商品を置くことによりいろんな人に刺さりやすくなるっている。
「これだ!」と思って住宅業界でそういう業態を探したんですけどなかったので、自分で独立したという形です。だから僕らはセレクトショップという言い方をしますけど、お客さんに我々のサイトに足を運んでもらって、物件を探す所から、どんな設計者がいいか、どんな工事会社がいいか、どんなローンを組めばいいか、どんな家具を選べばいいのかというのをオンラインとオフラインをつなぐO2Oモデルで行なっています。
つまり、私たちはO2Oのリノベーションプラットフォームを構築しているということです。
事業計画は1人で作っていました。考え始めたのは2009年ごろですね。人と何かを一緒に考えるのは、割と好きなんで、今も昔もいろんな人に意見を持ち寄ってもらい、ディスカッションしたりします。でも決め方がすごく大事だと思っていて、会社のことは自分で決めるようにしています。多数決で決めたからうまくいくとは限らないと考えているんです。
第一回リノべる会議というものをこの事業を立ち上げる前にしました。
いわゆる有識者、住宅系の知見を持った人たちで、建築家の先生もお呼びしたりしました。みなさんご意見ください、もしよかったら一緒にやりませんか、という感じでお呼びしたのです。話を聞いてくださって、みなさんいいね、いいねっておっしゃってくれました。そして、じゃあ実際一緒にやりましょう。って話が進んでいったのですが、でも、誰がどこのリスクをとってリターンをとっていくのか、この話をしていくとみんな腰が引けていきました。面白いけど、そこまではという人が大半、いやほとんどだったんです。会議の中盤で収拾がつかないなって思ったので、その場で僕が「リスクを取れない方は、帰ってくださって結構です。」と言ったんです。そしたらほとんど全員が帰りました。というか1人しか残らなかったんです。
その時に残ったのが共同創業者として今役員をやっている、大森さんです。彼は最後までやろうっていってくれました。「やるからには全力で一緒にやりましょう」と言われて2人で創業しました。これが2010年ですね。それからだんだんと人が増えてって今は11人の経営陣でやっています。
よく「one for all all for one」 って言葉をいろんなところで聞くと思います。あの言葉の意味をどう捉えていますか?日本語訳の多くが「みんなは1人のために、1人はみんなのために」こう訳されると思うんです。でも、あれは間違っていると僕は思ってます。
最初の「one for all」は「1人はみんなのために」、これはみんなが知っている意味です。
でも「all for one」は「みんなは1人のために」ではなくて、「みんなは1つの目的のために」だと僕は思っています。
事業計画とか制度とかは多数決だとなんにも決まらないのです。もちろん意見は聞くんですけど、最後にジャッジするのは意思決定者である1人がバチっと決める。今、経営陣11人いますけど、判断の大小はあるものの、最終的には自分が全て決めています。これが大事だと思います。僕が最終的に決めないと、どうしてもふわっとしちゃうんですよね。なんというか魂が入らないというか。だからこの会社のことは全部最後は僕がジャッジするようにしています 。
その際に大切にしているのがdisagree&commit。意見が違うならばすべてその場で出す。そのうえで決まったことは誰の意見であろうが自分の意思決定としてcommitする。あとから「やっぱりあれは、、」というようなことは言わない、ということです。