「仕事は好きになれないならやめた方がいい」リノべる山下社長が若者に伝えたい仕事観
株式会社リノべる 代表取締役 山下智弘
もちろん会社が大きくなるにつれて権限は移譲していっています。
1000万円までの決議は任せるとか。僕らの中で「大戦略」と呼んでいる、会社をつくっていく上で必要な決め事は全部僕が決めるようにしています。また、ミッションとか言葉の定義も大事にしています。
例えば、「戦略」も、「大戦略」と「戦略」に分けて、誰がどこまでジャッジして決めていいかを、細かく決めています。
例えば、現場の戦術的な話は全部現場で決めていいよという風にしています。
現場のその時々の戦術は、現場の人間が一番よくわかるはずだからです。現場の社員と経営者とでは見ている視点が全然違っているので、いくら経営者が現場目線を意識して考えても究極的にはわからないんです。経営者は現場のことがわからないといけないとか、経営者は現場目線で経営をしていかないといけない、とか、言葉としてはそういった方が綺麗なんですけどね。
もちろん意見や上がった声については吸い上げていって、経営課題をあぶりだし、しっかり手を打っていきます。でも、今この瞬間なにが起きているかなんてなんてわからないですから。そこは明確に区別してやっています。
これは全部自分で作りました。
そうはいっても一から考えたわけではなくて、ほとんど僕の部屋にある本からの寄せ集めや先輩からのアドバイス です。
でもいろんなことを集めました。本を読みながらこれはうちには合わないなあとか、リーダーシップとマネジメントって何が違うのかというのを考えながら。
リノべるでは、この言葉はこういう定義で使いますというのを意識してやっています。これを徹底的に決めてやっていかないと、時間のロスがすごく大きいんです。
例えば、戦略と戦術の言葉の意味が曖昧だった場合、戦略に課題があるということになって戦略を見直したけど、実際直さなければならなかったのは日常的な戦術で、状況が変わらなかった、とか悪くなってしまったということが起こりうるんですよね。なので、うちでは言葉の定義をしっかり決めています。例えば一週間以内に影響を及ぼすものに関しては「戦術」と呼ぶようにしましょうと決めています。今経営陣も11人になりましたけど、外資系や大企業、ベンチャーなどいろんなところから来ているので、認識がバラバラにならないように特に言葉の定義についてはしっかり決めるようにしています。普段のミーティングで話す中で、今話しているのはどの部分というのをしっかり振り返りながらやっています。
これは常にずっとブラッシュアップし続けています。
最新版は今年2019年3月ですね(2019年6月インタビュー時)。
僕の部屋には常に最新版が貼っています。正月に経営陣を集めて、新春会というのを毎年開いているんですけど、そこで毎年発表することが多いです。今年はこうやっていくよということを他の経営陣に伝えます。年始から経営陣は各事業部に話を持ち帰って経営計画と照らし合わせて、それぞれの取り組みに強弱をつけ進めていくというのが流れになっています。そういうのは結構大事で、みんなで考えようというのは、聞こえはいいんですけど言う方も聞く方も都合がいい言葉だと思っています笑。
うちの会社には、リノベるバリューといって11個の行動指針があるんですけど、「明るいバカ」は10個ある行動指針全てにかかる言葉です。これまで何度か行動指針をアップデートしてきましたが、「明るいバカ」はずっと残っています。
色々考える中で、行動として顧客と向き合うにも明るいバカは必要だし、家族と向き合う時もそれは必要だしという感じで、全てに+1していく必要があると感じました。
その上で、じゃあ「明るいバカ」って何?というと、、「明るいバカ」とは基本的には姿勢の話です。
具体的に説明する上で「明るいバカ」の逆の人物像を説明するとわかりやすいと思います。
例えば、自分にあんまり情報が入ってこなかったり、人からあえて助けてもらわなかったりする人ってたまにいるじゃないですか。ああいう人はすごくかしこぶっていたり、性格が内向きで暗かったりするんです。
そういう人っていざという時もやっぱり助けてもらえにくいと思うんですね。
でも逆にいつも明るくて、何か困ったことがあった時に、素直にそのことについて「すみません教えてもらっていいですか?」という姿勢だといろんなことが入ってきやすいと思うのです。
でもこれは学生とか社会人の最初の方だと当たり前にそうだと思います。でもだんだん年次を重ねてくるとなかなか「知らない」って言えなくなるんです。いろんなものが邪魔して。例えばプライドが邪魔したり、自分で言ってはいけないと勝手に思ってしまっているとか。でも今は情報社会で、お客さんの方が詳しい時なんてざらに起きます。
お客さんの方が知っている時に、「すみません、少し教えてもらってもいいですか」って言えるかどうか、言える姿勢。もちろん自分の専門の知識のベースは必要ですけど、それができるかどうか、それこそが「明るいバカ」の基本的な姿勢としてのあり方だと考えています。
もちろんです。僕たちの採用基準の中にも入っています。
その中で「明るいバカ」を分解すると「愛され感・頼られ感・オシャレ感」この3つが要素としてあげられると定義しています。つまり、「明るいバカ」というのはいかに人に愛されて、頼られて、オシャレかということです。まあ「愛されて、頼られて」という話はわかりやすいと思うんですけどオシャレに関してはイメージつきにくいかなと思っています。
オシャレ感というのはどう見ているのかというと、ズバリ、「アイデアがあるかどうか」というところを重視しています。
もちろん見た目のオシャレさとかは一定数大事でありますけど、僕自身、オシャレというのはアイデアだと思っています。
例えば、服とかでもマネキンが着ている通りだと完成しすぎて独自性にかけていたりすると思うんです。でも服のオシャレって自分で工夫できますよね。このシャツにこのズボン合わせてみようとか考えて工夫できるじゃないですか。そういう部分だと思います。アイデアがないと考えが深刻化しないと僕自身が思っているので、そういう部分でオシャレ感というのを大切にしています。
それについては面接の時にする細かい質問で見分けるようにしています。いろんな質問を駆使しながら、またSPIとかのツールとかも駆使しながらやっていっています。これ以上は企業秘密なので言えませんけど笑。そうやって対面でお話ししていく中で、「明るいバカ」の適性を見ていくという形です。