「仕事=リアルな“お題”解決」
freee株式会社 /佐々木 大輔
全自動のクラウド会計ソフトfreee(フリー)を運営するfreee株式会社の代表取締役。 Googleで、日本およびアジア・パシフィック地域での中小企業向けのマーケティングチームを統括し、同地域での中小企業におけるオンライン広告プロダクトの浸透に大きな実績を残した後に2012年7月freee株式会社を設立。google 以前は博報堂、投資ファンドのCLSAキャピタルパートナーズにて投資アナリストを経て、レコメンドエンジンのスタートアップであるALBERTにてCFOと新規レコメンドエンジンの開発を兼任。一橋大学商学部卒。専攻はデータサイエンス。1980年生まれ。
【前村 菜緒】
freee 創業当初より学生インターンとして開発を担当。現在は freee で広報・プロダクトマネジメント関連業務に従事する。以前はグリーで社内数値解析ツール等の開発に従事。東京工業大学大学院経営工学専攻終了。1988年生まれ。
2年間体育会のラクロス部にいた関係であまり授業に出られませんでした。でも、大学で留学もしたかったので、成績も気にしないといけない。そこで、授業に出ずに成績をとる方法を考えてテスト評価100 %の数学や簿記や統計ばかり取っていました。すると、その分野の勉強がだんだん楽しくなってきて、「自分に向いているかも」と思い、データサイエンスのゼミに入りました。その後データサイエンスで学んだことを活かすために、当時貴重であった大きなデータを扱えそうだということで、留学に向けて部活を辞めたタイミングでインターネット調査会社のインタースコープでインターンを始めました。
インターネットのベンチャー企業なのですごくハイテクなことをやっているイメージでしたが、入ってみたら意外とそうでもないんです。色んなプロセスが自動化されているだろうと思っていたら、実はそうじゃなくて。アンケートもメールで来た回答結果を手作業で集計していたり、データの分析より整理に時間が取られていました。僕自身、興味のある分析に時間を使いたかったので、自分でプログラムを覚えて社内のプロセスを自動化しました。個人的に自分で持った問題意識を解決して、それによってみんなが喜んでくれた事はすごく良い成功体験でした。
もうひとつは当時社長から「新しい調査手法の開発」という大きなお題が来て、自分なりに国会図書館に行ってその調査手法に関連する世界の手法等を調べたりする中で、その派生で新しい調査手法を開発しました。この調査方法は特許を取得したり、リリース当日は日経新聞に掲載されたりもしました。
僕自身はこのインターンをしようと思った事以外は学生時代にこれといって積極的なことをやったことがなかったので、インターンとして結果を残せたのはよかったです。実は、学生時代に起業家になりたいとは一切思ったこともありませんでした。単純に、やっていて面白かった勉強の延長線上でインターンを始めてみたんです。それこそ、プロセスの自動化や新たな調査手法の開発を考えられたのは、このインターンの経験が世の中の困り事や改善点といった「お題」みたいなものを学ぶきっかけとなって、それに対して自分でも出来る事があるのを感じたからでした。社会には普段の学生生活では気づけないお題や課題がいっぱいあると思うんです。例えば、会計ソフトの必要性を感じない大学生がいきなり起業して会計ソフトをやろうとは絶対思わないですよね。学生起業が盛んになるのは良いことですが、一方で、偏った経験の中から必要だと思われたものしか生まれてこないのは問題だと思っています。そういった自分の生活にはない「お題」と早いうちに出会えることが学生時代にインターンをする価値だと思います。
単純に自分で「これ嫌だな、こうした方がいいのにな」と思う部分であったり、あるいは周りの人が大変な思いをしている部分であったり、そんな風に自分の肌で感じた「問題意識」から「お題」を見つけています。
私は大学生の時からベンチャー企業に興味はあったのですが、実際に中がどうなっているのかはネットの情報で見るくらいしか行動したことがありませんでした。そこで一歩踏み出してみようと思ってインターンを始めたのがfreeeでした。入ってみると、中の人達が本気で世の中を変えようとしている姿とか、ものすごいスピードで成長する組織だとか、なかなか普通には味わえないことを体験できるので、もし興味があるなら学生の時間のあるうちに絶対にやってみた方がいいと思います。また、インターンで社会経験を積むことで度胸がつき、すごく強くなると思います。1人でやらなきゃいけない課題がリアルに来るので、それをこなせるように試行錯誤するうちに必然的に力がつきますね。
スウェーデンは超戦略的に選びました。自分の成績を考えた上で、奨学金の枠をもらい確実に留学に行くために米国などに比べて倍率が低そうなスウェーデンを選びました。でも面接の際に説明する志望理由なんて持っていませんでした。そこで、とりあえずスウェーデン大使館に行って「奨学金をもらうために面接で使えるネタを下さい。」ってヒアリングをしました。それで面接では「大使館でのヒアリングをもとにここに問題意識を持って、僕はこれを学びたいんです」って言えば、大抵「よく考えてるな」って思ってくれますよね。そんなふうに確実に留学に行くための戦略を取りました。