「タッチ」で未来を実装する。NFCの常識を覆す岩城氏の「ブレない」挑戦
MEET株式会社 / 代表取締役社長 岩城功
株式会社ネクスト(現LIFULL)、グリー株式会社を経て2012年に独立。ゲームコンサルティングやスマートフォンゲーム開発を手がけた後、株式会社アカツキへ会社を売却。その後、動画広告会社アルファアーキテクト株式会社の代表を務め、2024年にミート株式会社の代表取締役社長兼CEOに就任。NFC技術を活用した「フィジタル」(フィジカル×デジタル)ソリューションで、オフラインとオンラインをシームレスに繋ぐ新たな体験価値を創造する。「モテたい」という初期衝動から始まった起業家人生で培った「ブレない軸」と「成功するまでやり続ける覚悟」を武器に、クリエイティビティの力で社会実装を加速させる挑戦を続けている。
はい、私たちはNFCという技術、これはSuicaなどにも使われている近距離無線通信技術ですが、これを使って様々な業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する事業を展開しています。お店の店頭でQRコードを読み取る手間をなくし、スマートフォンを「タッチ」するだけで瞬時に情報へアクセスさせたり、紙の名刺代わりに使っていただいたりしています。
例えば、日本生命様では、全国約5万人の営業職員の方々が一人一枚この「MEET」を持ち、お客様にタッチしていただくことで、紙の資料を使わずにLINE公式アカウントへの登録や資料共有を実現しています。これにより、ペーパーレス化はもちろん、どの営業職員がどのくらいお客様と接点を持っているかという行動の可視化も可能にしています。
そこがまさに僕たちのこだわりの一つです。従来のNFCチップは小型化が進んできたのですが、実は小さいとスマートフォンのどこで読み取ればいいか分かりにくいという課題がありました。特にAndroid端末や、Suicaのように強力な読み取り機に慣れている日本では、ピンポイントで読み取り部分に当てるのが難しいんです。
そこで僕たちは逆転の発想で、NFCタグをあえて大きくしました。大きい方が回路設計は難しいのですが、どこにタッチしても反応しやすい。この「読み取りやすさ」が、ユーザー体験を格段に向上させています。
「シェアブロック」は、弊社の特許技術です。これは、物理的にこの「MEET」カードを持ってタッチしない限り、特定の情報やコンテンツにアクセスできないようにする仕組みです。例えば、アイドルグループの「FRUITS ZIPPER」さんのファンクラブでは、年会費会員の方だけにこの機能付きの会員証を配布し、年会費会員の方だけが限定サイトへアクセスできるようにしています。QRコードのように簡単に複製・拡散されることがないので、年会費会員の方の「特別感」や「優越感」を醸成できるんです。これも単なる技術を活用するだけでなく、どう使えば価値が生まれるか、というクリエイティビティが重要だと考えています。
僕たちが掲げているのは「フィジタル」、つまりフィジカル(物理的なもの)とデジタルを融合させることです。このNFC技術の強みは、オフラインの接点を簡単にオンラインに繋げられること。これを活用して、世の中のあらゆるオフラインの場所をメディア化できないかと考えています。
例えば、日常生活の中にある様々なタッチポイントに「MEET」を設置し、人々が日常的にタッチする動線を作ることで、利用者の属性や状況に応じた価値ある情報、例えば地域に根差した情報などを届けられるような、新たなメディアプラットフォームを構築できる可能性があります。
他にも、自販機やレンタカーなど、様々なオフラインのタッチポイントに「MEET」を設置し、利用者にタッチしてもらうことで、近隣店舗のクーポンを配信したりと、新たなメディア価値を創出できると考えています。
その他にも、様々な利用方法での開発を行っており、リアルな場での新たなコミュニケーションを生み出すような活用も視野に入れています。
最終的には、この「MEET」が社会のあらゆる場所に存在し、人々が意識することなく「タッチ」することで、より便利で豊かな体験ができる。そんな世界を実現したいですね。