「タッチ」で未来を実装する。NFCの常識を覆す岩城氏の「ブレない」挑戦
MEET株式会社 / 代表取締役社長 岩城功
僕は新卒でネクスト(現LIFULL)に入社し、その後グリーに転職しました。グリーではソーシャルゲームの勃興期を経験し、会社が急成長する一方で、自分自身が歯車の一つになっていく感覚もありました。ちょうどその頃、29歳で離婚も経験し、「20代のうちに挑戦しておこう」と、割とノリで独立したんです(笑)。それが2012年ですね。
最初はゲームコンサルやスマホゲーム開発を手がけ、クライアントだったアカツキという会社に事業を売却しました。その後、動画広告の会社の代表を6年ほど務め、会社を清算した後、1年半ほどは複数の会社の顧問やコンサルをしていました。時間も報酬も自由でしたが、どこか物足りなさ、やりがいのなさを感じていました。40代になってこのままでは楽しくないな、もう一度本気でコミットできる場所を探したいと思っていたんです。
そんな時、アカツキ時代の繋がりから、「MEET」の創業者である北村を紹介されました。北村はNFC技術に早くから着目し、「MEET」の原型となるデジタル名刺などを開発していたのですが、彼はものづくりは得意でも、組織を作って経営していくのは苦手だと。そこで代表を探しているという話を聞き、北村と会ってみて意気投合し、2024年の8月に代表として参画することになりました。
正直に言うと、最初の独立の動機は「モテたい」という欲求が強かったですね(笑)。学生時代は足が速いとか、ちょっとオシャレとかで良かったんですが、社会人になると、やはり社会的地位や影響力がないとモテないな、と。だから、同期の中で一番になりたい、同年代の中で稼ぎたい、という思いが常にありました。それがビジネスで成功したいという原動力になっていましたね。今もその気持ちは変わらず持っています。人に信頼されたい、尊敬されたい、という気持ちですね。
一番の決め手は、創業者である北村健という人間の魅力と、彼が目指すもの(NFC技術での社会変革)を一緒に実現したいと思ったことです。
僕自身、これまでのキャリアを通じて、自分はゼロから1を生み出すタイプの起業家ではないと痛感しています。アカツキ創業者の塩田さんをはじめ、多くの優れた起業家を間近で見てきて、ゼロイチの難しさを知りました。僕はむしろ、北村のようなゼロイチができる人の「右腕」として、1を10に、10を100に拡大していく方が得意だし、そこにやりがいを感じるタイプなんです。だから、「MEET」では北村が生み出したものを、経営者としてしっかり社会に実装していく役割を担っていきたいと考えています。
一番大切にしているのは「ブレないこと」ですね。言っていることがコロコロ変わる人は信頼されないじゃないですか。ビジネスの世界ではなおさらです。メンバーから「あの人、言ってることがブレてるよね」と思われたら、もう人はついてこない。
ブレないためには、自分の中に明確な「決断軸」を持つことが重要だと考えています。例えば、何かを決断する際に、「これはメンバーが1人の場合でも、100人の場合でも同じ決断をするだろうか?」と自問自答します。もし人数によって判断が変わるようなら、それは本質的な決断ではない可能性が高い。投資判断なども同じです。金額の大小ではなく、その投資に本当に意味があるのかどうか、という軸で判断する。この軸を持つことは、サラリーマン時代の上司から学んだことでもあり、今でも非常に意識しています。