20年前からの予見
株式会社タイム&ガーデン / 堀部 朝広
アールシーコアに入ってから「自分でチャレンジしたい」という意識はありましたが、それが何かはハッキリしませんでし た。しかしカナダに赴任したことが大きな転機でした。カナダで世界中から集まってくる資材を見ていく中で、「こんな面白い材料もあるんだ」と気付くように なったのですが、シンプルなログハウスでは使える資材も限定されがちで、それを活かすチャンスがなかなかありませんでした。
そんな折、カナダの2拠点の内の一つが規模縮小されるという契機があり、その経営方針に賛同できず、それを機に起業しようと考えました。」
マテリアルワールドが扱っている資材の多くは、木、石、鉄などの自然素材、あるいはユニークで差別化されたものが中心です。
例えば、「トスカーナウェイ」という大理石は、石切り場からとれる小さな端材を再利用してつくられたもので、ジグソーパズルのように簡単につなげていくこ とのできるとても面白いアイテムです。あるいは、「ソーラーブリック」という太陽光を充電して光るLED照明は面倒な配線が不要で電気代もかからないという優れモノですし、ニュージーランド製の「シェルタイル」はアワビや真珠貝の貝殻をハイテク技術を使って薄くスライスしたまるで宝石のような美しいタイル です。
これらは全て、ビジネスとして儲かるからという基準ではなくて、一級建築士でもある自分の「すごいな、使ってみたいな」という“感性のフィルター”でいつも紹介する商品を選んでいるわけです。
単純に建築士の資格を取れば、それだけで食べていけるという時代ではなくなっています。
夢のない話かもしれませんが、一級建築士の資格は『足の裏についたご飯粒』と言われ、とらないと気持ち悪い、でも、とっても食べられない、そう言われてい るのです。そんな業界にあって、自分の個性を伸ばすということがとても重要になってきます。『人に負けないものを何か一つ』絞り込み、その旗を立てること を目指すべきだと思います。もちろん、永遠に隣の芝生は青くて、私自身まだ自分自身の絶対的な強みに関しては半信半疑です。それでも自分を信じて、愚直に 好きと得意 を掘り下げるべきです。