『心地よい驚きを、世界へ』
株式会社ブラシナ 代表取締役社長執行役員/ 石川裕也
インターンの大学生が起業家へ取材する!起業家インタビューのthe Entrepreneur(アントレプレナー)
1980年。 愛媛県中央市生まれ。
大学在学中に末包厚喜氏(元ユニ・リーバブランドマネジャー)に師事。
大学卒業後、株式会社TCDに入社しナショナルクライアントの商品開発やブランディングを担当。
2004年に建設資材商社の東洋コンクリート工業株式会社の代表取締役に就任し、就任後1期で黒字化。
2006年に同事業を売却した後、同年10月に株式会社ブラシナを設立。代表取締役社長に就任する。
2008年Paris Collectionにて先行発表し話題を集めた禁煙パイポ「CIGARO」を手掛ける。
その後、加齢臭・体臭防止の必携アイテム『noqare』、男の肌を出世肌に変えるシンプルスキンケアブランド『良肌研究室』、21世紀のライフサポートビバレッジ『LLE82』 など美/快(wellness)と食(delicious)の領域における製品・サービスの提供するウェルシャス事業を手掛ける。
また、2014年 にはエナジードリンク&パワーフードの専門店『PIT IN CLUB』を展開する株式会社PICSを設立。代表取締役社長に就任する。
私は学生の頃から会社に3年勤めた後に起業をするというところまで1セットで考えていました。それは、私の親族を含めて、私の周りには経営者が多かったので、起業することが当たり前のこととして育っていましたから。
今後私が何をするか方向性を決めるため広い業界を知った方が良いという理由から、1社目の会社は、マーケティングエージェンシーを選びました。そこでの主な業務は、生活雑貨などクライアント企業の商品企画から、広告・プロモーション・ブランディングなど幅広い業務でした。そこで仕事を続けていたのですが、急遽、私の父親の会社の事業整備をしなければいけなくなり、やむを得なく実家へ戻り、事業を継承しました。事業継承後1年ぐらいで黒字に転換することができ、その事業を外部へ譲渡しました。
当時24〜25歳ぐらいでしたね。事業継承中でも自分自身が次に何をやるのかということを検討していました。私たちの本社がある愛媛県中央市はユニチャームや大王製紙といった製紙加工業の大手メーカーが本社を置く街でもあるので、ものづくりは身近に見て育ちました。
事業継承当時の2005年頃というのは、そのような大手の製紙メーカーを支える中小企業の仕事がだんだんと中国や東南アジアへシフトされていっていた時期でもありました。しかし、そのような中小企業は長年、大手企業の事業活動を支えてきた技術力はあるわけですから、ナショナルブランド品のように広く知られている商品と同じ機能の製品は作ることができます。
ただし、それらと同じように流通させることや、同じように広く消費者に知っていただくといったところに関しては、経験や機能がないという現状でした。
日本がモノづくりで栄えた国だとすると、今ここで見ているのは日本の縮図かもしれないと感じ、自分たちが商品の魅力を広く伝え、流通させるためのハブになれたならもっと素晴らしい未来があるのではないかということで、そういった事業をやろうと決めましてブラシナをスタートしました。
創業時は、現在のメーカー事業と並行して(クリエイティブサービスを提供する)制作事業の2事業でスタートしました。制作事業を持った理由は、どんな商品やサービスを作るにしても制作物というのは必ず発生するからです。商品には作る・伝える・売る、の3工程があるとすると、伝える部分は非常に重要で、どのような商品も伝え方ひとつで変わると思っています。
逆に商品の機能的な価値での差異化というのは、なかなか難しいのかもしれません。そこで自分たちの会社の中にも制作部門を持って、そこに強みを宿していこうということでやってきました。そして自社組織の中だけで制作ノウハウを使うのではなくて、せっかくその部分を強みとして宿せるのならば、それを対外的にもサービスとして出していこうということでBtoBの受託の制作サービスも提供してきました。
過去形でお伝えしたのは、商いとしてそれなりの規模に成長してきた為、お客様に対してよりご満足いただけるサービス環境を整えようということで2015年10月に制作部門を分社化したからです。現状、ブラシナ本体としてはメーカー事業に集中し、メンズスキンケアブランド「ノカレ」シリーズ、「良肌研究室」シリーズ、そして2016年1月6日にリリースしましたライフサポートビバレッジ「LLE82」という自社商品を展開しています。
ちなみに私たちは商品に関して美容と健康、それに係る食をテーマにしています。創業時にメーカーとして初めて作った製品というのも「シガロ」という健康にまつわるものを作りました。簡単に言うとおしゃれな禁煙パイプです。
2000年頃は今よりも禁煙が叫ばれ始めた年代だったので、分煙が急加速的に進み、駅から灰皿が全部撤去されてタバコを吸う人のイメージが悪くなっていった時期でした。私もそうだったのですが、多くの方は喫煙しているミュージシャンや、俳優に憧れてタバコを始める人が多かったのですが、禁煙という出口に用意されているものは禁煙パッチやガムなど、あまりスタイルが加味されていないものばかり。それでは喫煙者もなかなか禁煙に対する足がかりができないということでファッションアイテムとして認知されるような商品を作ろうとなりましておしゃれ禁煙パイプ「シガロ」を作りました。
「シガロ」については、ファッションアイテムとして認知してもらうため、発売前に人気ブランドとコラボレーションして、パリコレクションでデビューさせました。
その後国内の営業を開始したので、どの小売店にも取り扱いのないファーストプロダクトでありながらも、パリコレ発表の実績も奏功し、営業開始後すぐに大手の小売店で取り扱っていただきました。