人を生かす社会を作るためのレバレッジポイントは人事だ
株式会社人材研究所 / 曽和利光
仕事が趣味というか、人と会っていても、本を読んでいても、どんなことも人に関係しているものなので、境目が無いという言葉が合っていると思います。何を見ても人と組織のことを考えるんですよね。小説や大河ドラマでも、そこには組織論があります。技術は変わりますが、人の感情はローマ帝国から中国4000年、明治維新、どの時代でも変わらないものがあると思います。町でマクドナルドの店員を見る時も、こういうマネジメントをしているのかと考えたりしています。まあ、人事オタク、組織オタクですね。
いや、不自由ですよ。土日も働いていますし、早朝や夜中に原稿を書くこともあります。でも、自由に関してはいいなと思うのが、B’zの稲葉さんの歌詞で「譲れないものを持つ事が本当の自由であって、束縛されないことが自由ではない」という言葉があります。若い人がよく言う「自由」は、束縛されないという意味の自由じゃないかと思います。しかし私は、自分が大事にしていることを追求できることが「自由」であると思います。
余談ですが、つまらない仕事なんかないと思います。つまらなく感じる人がいるだけだと思います。どんな仕事でも学べることはありますし、後は見方しだいだと思います。要は、小さな仕事から学べない人に、大きい仕事という機会は無いんですよ。こういう言葉もあります。「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみよ」と。逆に、一番になったら誰もその人を下足番のままにはしておかないんじゃないでしょうか。
様々なインプットが大事だと思います。ライフネット生命の出口さんがよく大事なインプット方法についておっしゃっているのが、「人と会う」「本を読む」「旅をする」です。インプットの量と質で、今やっていることに意味を感じられるようになれると思います。インプットがないと、目の前のことが無意味に感じてしまうんですね。たまに「面接がつまらない」とい人がいますが、それは人に関して無知だからだと思います。つまらないという人は「みんな同じだ」と言うのですが、同じなわけがありません。その人の人を見るメガネの解像度が低いだけです。解像度を上げるためには、人に関する大量のインプットをするしかありません。
いや、世界は広がるというか、いつでも既に広がっていると思います。特に交通手段の発達した今なら、行きたいところにはどこでも行ける訳で、そこに壁をつくっているのは「妄想」だと思います。自分に勝手に制約条件をつくっている人が多いと思います。選択肢はもう既にたくさんあると思いますよ。世界が広がるのではなく、殻を破れるということでしょうか。
人からフィードバックをたくさん受けるということだと思います。ただ、人にフィードバックすることは日本人にとって苦手なことかもしれません。特にネガティブなことって人には言わないですよね。そこにメリットを感じない人がいますが、ネガティブなフィードバックって本当に大切だと思います。そして、若い人はフィードバックを貰いやすい分、聞く耳を持つことが大切だと思います。ネガティブなフィードバックが貰える態度、姿勢が大事ですね。フィードバックをお願いすることもいいと思います。フィードバックされて否定したり怒ったりする人は、そのうち誰も言ってくれなくなって、「痛い人」になってしまいますよ。