やりたくないことはやらないほうがいい
中小企業共和国理事長、ブランドファーマーズインク代表取締役 / 安田 佳生
1965年大阪府生まれ。株式会社ワイキューブ元社長。
斬新な人材コンサルティング事業で一世を風靡するも、2011年に40億円の負債を抱えて民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。
現在はNPO法人理事長、ぼくら社編集長、ゲリラマーケッターとしてコラムの執筆や講演活動、ポッドキャストなどを行っている。著書に『千円札は拾うな』『私、社長ではなくなりました』『疑問論』など。
境目研究家安田佳生HP
現在は、境目研究家という肩書きで、物事の境目を研究し、それを講演等で発表しています。あとは、NPO団体法人 中小企業共和国理事長を務めています。
当時は、43億円を圧縮させるために、民事再生をするなど大騒ぎをしていたものですから、事業母体の移転に伴った手続きで頭がいっぱいでした。
市場が飽和状態になってしまい、期待していた以上の収益があげられなかったのが原因です。経営が予想以上に伸び悩んでくると、これまで投資に積極的だった銀行が返済を要求してくるようになるんです。銀行と交渉をしながら交渉期限を伸ばしていくのと同時に「ケチケチ大作戦」を社内で実行していき、不必要な支出を抑えるように工夫をしました。その取り組みが次第に実を結び、再び事業が盛り上がるだろうと予感していた矢先のリーマン・ショック。これが痛手となり、売上は3分の1まで下がってしまい、結果として経営破綻となってしましました。
それは分かりません。私自身はブランディング戦略こそがワイキューブを大きく成長させた要因だと考えています。学生をターゲットにする就活業界であれば、会社のイメージは重要となってきます。このブランディング戦略は、後悔ではなく、むしろ必要不可欠な政策だったと思っています。
一つは、社員の給料を上げすぎたことかな。2年間で社員の年収を450万円から800万円に引き上げました。しかし、高い給料が社員のモチベーションアップに繋がるかどうかは別のこと。むしろ経営が傾き、社員の給料を下げると、かえってその落差から現状に不満を感じやすくなる傾向がありますね。
もう一つは、事業移管が遅かったこと。ここまで築き上げてきた会社を手放すことに躊躇してしまい、なかなか民事再生に踏み出せませんでした。そのせいで、だいぶ周囲に迷惑をかけてしまいました。物事には何でも終わりがあるのと同様に、会社も永久的に広がるわけではありません。会社を始めるときは、同時に終止符を打つ覚悟も持つ必要がありますね。