“社会モテ”する会社を創出
スターブランド株式会社 / 村尾 隆介
世の中のほとんどの会社が、小さな会社です。小さな会社の経営者や、そのスタッフが楽しく仕事をすることができなければ、日本は明るい国にはなれません。では、どうやったら小さな会社を楽しくすることができるのか? 答えは、小さな会社も、その地域・業界の「ブランド」と呼ばれるようになることです。 「ブランド」にはいろんな定義がありますが、ここでは「あの会社・お店が無くなったら、ちょっと困るな。嫌だな」と思われるような存在としておきましょう。僕がお世話をさせていただいている会社には、ただ商売をやるのでなく「社会の困りごとを解決しよう」、「社会で困っている人達を救おう」と、何かしらの社会的観点を持つように指導しています。その会社の“存在自体”が社会貢献的であるということです。これを、スターブランド社では“社会モテ”と表現しています。 そして、なぜ僕がこのように社会とビジネスの距離を縮めるような活動に主眼をおいているかといえば、それは先ほどお話ししたように、僕の元々の政治的バックグラウンドがあるからだと思います。
つい6〜7年くらい前までは、一個人よりも、その個人が属している組織という ものが大切にされてきました。そこで働いている人の名前よりも、その人の社 名の方が重要だったのです。しかし、今の日本は、どんなに大きな 会社も潰れる可能性があります。終身雇用も過去のものとなりつつあるし、社 会人のキャリアの長さと、ビジネスモデルや企業の寿命が全く合わなくなって きた。となると、転職や起業は、一部の人のものではなく、誰にとっても身近 なもの、今後も盛んなものになっていくと考えています。そんな時代において は、小さな会社のブランド戦略や、個人のブランディングは、ますます重要に なってきますね。
僕は、海外での生活が長かったこともあり、普段から外国の方との付き合いが比較的多いです。彼らと話をしていると、近年は、駐在員や出稼ぎとしてではなく、ゆくゆくは起業家として、この日本で頑張ろうと考えている外国人がかなりいることがわかります。それだけではなく、最近は、小さな会社でも、普通に外国人スタッフが一緒に働いているというケースが増えました。社長やマネージャーが外国人で、従業員が日本人というパターンも見られるようになってきました。彼らの中には、「日本が一番起業しやすい国」という人も少なくありません。彼らは起業家予備軍でもあります。また、大小関わらず、日本企業が買収され、オーナーが外国人というケースも増加するでしょう。 今後、それがメインストリームとまではいかなくても、多くのビジネスシーンで、日本人と外国人の融合、そこから新しい価値や文化が生まれるという流れは、各所で見受けられるようになってくると思います。 僕は、これを悪いこととは全く思っていません。むしろ、このダイバーシティ(多様性)が、日本に欠けているダイナミックさのようなものを取り戻してくれるのではと期待しています。
「楽しそうに働いている、自分もああいう大人になりたい」という言葉をいた だけるということは僕にとって最高の褒め言葉のひとつであるので大変嬉しく 思っています。秘訣は「いい意味での公私混同」ができているからだと思いま す。「仕事とは辛いもの。嫌なもの。我慢するもの」、「タイムカードを切るまで が仕事であり、その後は職場やキャリアのことなんて無関心」という人は、今 後もずっと楽しい仕事に巡り合うことはないでしょう。なぜなら、自ら仕事を 楽しくしていく工夫と努力をしなければ、誰にとっても、世の中に「自分にピ ッタリの最高に楽しい仕事」なんて存在しないからです。僕が楽しく仕事をしているのは、長年かけて、それを楽しいものにデザインしてきた結果です。はじめから、そこに用意されていたわけではありません。 例えば、ディズニーランドに出かけたとします。そこで「すごい感動した、楽 しかった」で終わるのではなく、「ディズニーランドで受けたあの素晴らしいサ ービスを、来週会社で実践してみよう」という姿勢を、僕は勤めていたときから、とても大事にしています。 ディズニーランドに行ったのが日曜日であれば、大抵の場合、「ああ、明日は月曜日か。嫌だなぁ」となりますね。でも、週末に見聞きしたことを、月曜日の仕事に結びつけるというような、ある種の「仕事にのめり込む」という感覚がないと、一向に仕事は楽しいものになりません。経済は、全部つながっていますし、ヒントは、どこにでもあるものです。そこを「オン」「オフ」で区切ってしまうと、見えるものも見えてきません。いい意味で公私混同ができれば、それが仕事の成果につながる。仕事で小さな結果が積み重なれば、、おのずと仕事が楽しくなる。楽しくなれば、のめり込む。のめり込めば、自己成長率が高くなるし、当然、それは地位や収入という形で返ってきます。 ですので、スイッチのように「オン」「オフ」で公私を区切るのではなくボリュームのように絞るという感覚で普段から公私を区切るといいと思います。