アイカンパニーであれ
株式会社リンクアンドモチベーション / 小笹芳央
「モチベーションエンジニアリング」とは、我々の基幹技術のことで、大きく分けると「診断」と「変革」の2つのステップがあります。 まず「診断フェーズ」では、企業の診断をします。具体的に言うと、企業に帰属している従業員のモチベーションに影響を与えるものを、我々は16項目の因子に分類しています。
例えば、1つは報酬です。報酬以外にも、上司の言動だってモチベーションを左右するし、仕事の中身、内容だってモチベーションを左右しますよね。それから、会社のビジョンや戦略に納得しているか、あるいは自分が所属している職場の風土、これら全てがモチベーションに影響を与えますよね。
これら16項目の因子をそれぞれ、社員に無記名で聞いていくわけです。300人の会社であれば300人全員に対して、「どれを重視しますか」という事と、「どれにどれだけ満足していますか」という聞き方をしていくと、「重視しているけど満足してない」項目というのが浮き彫りにされます。
診断によって、会社と社員の関係性の状態というかモチベーションの状態、モチベーションを上げる為にはどうすればいいのか、そこを明らかにします。つまり、その企業の陥っているモチベーションの症状を診断し、浮き彫りにするのです。その会社の状況を診断し、それを経営者と共有する事。これが最初のステップです。
次に「変革フェーズ」です。診断結果に基づいて、社員が人事制度、評価に全然納得していないというケースであれば、制度の変革をしましょうという場合もあります。また、ある会社ではミドルマネジメントを徹底的に育成していきましょうというプロジェクトになります。これは企業ごとの診断結果によって、変革手段は様々です。
そしてどんな症状が出ても、症状に応じて我々は全部治療できますよという、ドクターシップを発揮していくのが我々の強みです。
私自身が勤め人の時から意識していた事なのですが、会社におんぶに抱っこで自分の人生を預けるという、サラリーマン的生き方というのは、どうも賛同できません。最終的には会社と個人がきちんと対等な関係で、パートナーであるべきだと考えています。ですから、個人はもっと自立的に自分のキャリアを描いていく必要があると考えています。
「自立的に自分のキャリアをデザインしなさい」と言われても、ピンときませんよね。私はこの考え方を「アイカンパニー」と名付けました。例えば、タナカ君は、タナカ株式会社の代表者であり、ニッタ君はニッタ株式会社の代表取締役であると。このように、「自分を一つの会社に見立てて、その会社をエクセレントカンパニーに育む」というような意識を持つ事がキャリアデザインなんだよと発信しています。
自分自身の事を株式会社に当てはめると、一般的に企業の世界で使われているビジョンとか、競争優位性などという言葉も全部自分に当てはめなさいと言っています。このような自立精神で、会社と対等な関係を結ぶという意識で働くほうが成長に繋がると思いますね。当社の社員にも「アイカンパニー」という意識を持つようにと、常日頃からメッセージを発信しています。
自分の言いたい事、伝えたい事を純粋にしがらみなく、社会に向けて発信できるという事が最大の魅力だと考えています。その代わり、もちろんリスクもあります。そのメッセージが届かず、誰からも見向きもされないリスクですね。
起業するしないにかかわらず、一人一人が自分株式会社の代表者である、つまり「アイカンパニー」の経営者であるという意識をしっかりと持って欲しいと思います。ひと昔前と違って、企業、もっと言えば社会や国が、あなたの人生の面倒を見てくれる時代ではありません。一人一人が主体的に自分の人生を描き、さまざまな岐路に立たされた時に、自己の責任で選択していく、そういう意識が必要です。まさにそれは企業経営者と同じなのです。「アイカンパニー」の経営者として、自分が人気企業になるように、これからの人生をデザインして、経営者として成長していって下さい。