プロフェッショナリズムの追求
株式会社XEED / 波頭 亮
大きく分けて理由は3つあります。 1つ目は、自分のスキルが、自分自身のバリューの源泉であるということを証明してみたかったからです。マッキンゼーで、色んな仕事、そして大きな仕事を任されるという過程や経験を経て、自分の仕事はプロフェッショナルなものであると自負していたし、だからこそマッキンゼーという名前や組織なしでもやっていけるかどうかチャレンジしてみたかったのです。 2つ目は、自分自身でプロジェクトの最終決定者かつ最終責任者として仕事をしてみたかったということです。 3つ目は、クライアント・インタレスト・ファーストを体現できるという事です。プロフェッショナルファームでのマッキンゼーとは言え、局面によってはマッキンゼーの利害を考えて動かなければならないというのも現実です。自分が最終責任者であれば、フィーの設定にしても、プロジェクト内容にしても、100%クライアント・インタレスト・ファーストですっきりやれると思ったのです。
プロフェッショナルの仕事というのは、看板やブランド、組織に依拠しなくても発揮され得るものだと思っています。つまり、自分自身のスキルそのものが価値の源泉です。またお金儲けの為ではなく、純粋にクライアントの為に最適の成果を出すと言う姿勢も大切なポイントだと思っています。
起業には幾つかのフェーズがありますが、期間で言うと1〜2年、売り上げで言うと1億になるまでの最初のフェーズでは、ビジネスモデルがどうのとか、戦略がこうのというよりは、とにかく寝ずに必死でやることが大事です。最初に起業した本人が、誰かに頼るのではなく、必死にやること。結局はその一点に尽きると思います。
その後の、売り上げで言うと5〜10億ぐらいの次のフェーズでは、プランや戦略の構築が必要になってきますが、それまでのフェーズでは、必死にやる事に集約されます。そうやって必死でやって行く中で、プラン自体が少しずつ、修正されていくと思います。
すべきことというよりは、むしろ今やっていることの大半をやめてほしいと思います。そして、何でもいいから、一つの学問分野について一生懸命勉強してほしい。なぜならば、勉強というのは万能であり、古今東西、学校という機関があるのは、勉強を集中的にやらせるための社会的なしくみなんです。NGOでボランティアを経験するとかギャップイヤーを利用して世界放浪すること自体は、全然否定しないし、良い事だと思うのだけれど、それは一つの勉強をやり尽した後にやってほしいと思う。もちろん本や教室の座学では身につけられないようなこともたくさんあって、そういう活動を通じて社会のリアリティを知ることは大切なのですが、それは一つの学問分野について勉強をやり尽した後にやった方が良い。その方が得られるものが圧倒的に多くなると思う。