ピンチの裏に、チャンスあり
村田アソシエイツ株式会社 / 村田 裕之
ビジョンは、短期的なものと長期的なものがあります。
短期的なものとしては、プロジェクトの一つに、カレッジリンク型シニア住宅という日本初の事業があって、関西大学をパートナーにして取り組んでいるのですが、これを成功させ、第二、第三のカレッジリンクを実現させたい。なぜこれを行うかというと、高齢の入居者と、現役の学生が一緒に学ぶことで双方に多くのメリットがあるからです。高齢者は若い学生と一緒に学ぶことで多くの知的刺激を受け、認知症になりにくくなります。一方、。現役の学生は彼らから社会のことを教えてもらったり、就職先を世話してもらったりといろいろと利益があります。
長期的なものとしては、自立して生きていける高齢者の割合を増やすこと、そのための環境作りが必要です。
このまま高齢化がさらに進むと、若年世代への、負の遺産がどんどん大きくなってしまう。現状のまずい制度を根本から作り直すくらいのことをしたいと思っています。高齢者は一般に社会的弱者だとされ、施しの対象と思われています。 しかし、この見方は正しくありません。たとえば、徳島県の上勝村にある『いろどり』という会社は、従業員の平均年齢が75歳程度ですが、多くの人が今でも現役で働いています。
いろいろな葉っぱを加工して販売しているのですが、80歳を超えても多い人では年収1000万円稼ぐ人もいます。
こうして働く高齢者は元気になります。元気になると、認知症になりにくい。認知症になりにくいということは、すなわち要介護状態になりにくい。人口2000人強の上勝村で寝たきりのお年寄りは2人しかいないそうです。要介護状態になりにくいということは、介護コストがかからない。さらに、働いているので彼らは納税者になります。多くの高齢者が楽しく働いて、税金を納めて、それで健康でいられれば、これほど理想的なことはない。でも、これはちゃんと実現できている。不可能ではない。こうした良循環を作るにはプロデューサーが必要です。じゃあ誰がプロデュースするのか、これは高齢者ではなく若い世代だと思います。バイタリティーをもった若い人が仕掛け人になって、高齢者も喜んで、楽しく働ける仕組みを作ることが必要なのです。『いろどり』の場合も横石さんという現在51歳の人が20年前に始めた取り組みなので、始めたころは31歳でした。
だから、今の若い世代ががんばれば、高齢社会の課題は解決できる気がしています。
もちろん私もやります。そして同じように取り組む人も助けていく。これが長期的なビジョンです。
家族がいて起業する場合、最大の壁はね、かみさんなんですよ(笑)かみさんがやめとけって言うんですよね。
いえ、全然。私はこういう考えで、独立するから、と話をしたら、2つ条件を出されました。絶対に親戚に借金だけはするなということと、一切収入がなくても半年間は生活できるようにすること。その二つを言われました(笑)
それはわかりません。この人は止めても無駄だと思ったのでしょう(笑)ただ、こういう人生の節目の時にお互いの人間的度量が見えてきます。だから結婚する時に、結婚10年後にこの人に起業したいと話したら自分に冒険させてくれるかを考えてから結婚したほうがいいですね(笑)
それからこの前言われて思い出したんですが、起業した月の月収は32500円だったんですよ。
いいよ(笑)