自己啓発をして成功する人、しない人
株式会社エス・エス・アイ創業者 / 田中孝顕氏
そうなんです。「どうしたら願いや目標を達成出来るのか」というプログラムを作ったんですが、面白いことをやっているということで、注目されました。 しかし35歳の時に経理の社員に小切手を横領され、いろいろありましたがそれが原因で5月に黒字倒産してしまいました。
僕の不動産だけでなく両親の家まで取られてしまってね。本当に一文無しになってしまいました。むろん、会社の家賃も支払えません。ただ、借りていたビルのメンテナンス会社が東急系列で、同じ東急のよしみということで、上階にあるワンルームをお客さんが見つかるまでの間、ただで貸してくれるといってくれて、倒産後も同じビルにいたんです。だからそこにやくざが取り立てに来るんですよ。
来るのはいいけれど無い物は無いんですよね(笑)それなのに向こうは朝の9時から夜の9時頃まで来て、本当に壊れたレコードのように、同じことを言い続けるのです。「黒字倒産なんだからどこかに隠してあるはずだ。」とね。それが5月6月7月と三ヶ月続きました。
事業が順調だったころによく社員の慰労で行っていたスナックのママに、倒産して何も無くなったって言いに行きました。そしたらゲラゲラ笑われてね。食べさせてくれたんです。食べさせると言っても、お客さんの食べ残しの柿の種ですけど(笑)。こういう状態が7月一杯続きました。
とにかく再起しようと思って、訪問販売の会社に入って働き始めました。7月1日のことです。そこで一緒に働いてた人が、僕のアイデアに共感してくれて、200万円出資するので一緒にやりましょうよ、と言ってくれたんです。そこから再スタートでした。
再スタートして必死に働いて、借金も返して、やっと軌道に乗ったころに、ある会社からDMが来ました。そこには「ナポレオン・ヒル・プログラム」の日本における販売代理店を募集してると書いてあったんです。
すごいショックでした。というのもそれより前からこのプログラムについては知っていて、これを日本で売るならうちで売ると思ってたんです。でも次の一歩を考えていたところにこれ。
「やられた〜!」と思いました。代理店募集ということは総代理店があるということです。もう取られちゃったとは思いながらも諦められないので、しつこくそのパンフレットを隅から隅まで読んでみると、普通あるはずの「日本における総代理店」という言葉が載っていないんです。普通はそういう表記があるはずです。もしや・・・、と1%の望みを託し、間髪入れずにナポレオン・ヒル財団のあるシカゴに飛びました。理事と会って、その会社のことと、代理店を募集しているのか尋ねると「そんなことはない!」と驚いたんです。1%にかけたら、そっちに転がったんですね。
ですからその場で「我々にやらせて欲しい」ということを伝えました。なかなか「うん」と言ってもらえずに、結局、日本とシカゴを五度往復した末に契約書をもらうことが出来ました。