努力に勝る才能はなし
社会起業大学学長 / 中村大作
フィジーの会社は、現地の廃校を利用した安価で留学に行けるというプランを提供しました。アメリカ、カナダなどに英語学校を作ろうとすると、めちゃくちゃ高いんです。フィジーは当時少子化になっていて学校が余っていたんです。また生徒がいなければ先生も職を失ってしまいます。何となく閉塞感があったんです。日本ではあまりない傾向なんですが、経済が停滞すると発展途上国では犯罪が増えるんです。犯罪が増えることで、フィジーにくる観光客も減ってしまったんです。そこに目をつけたのが、このビジネモデルなのです。現地の観光省、内務省、外務省、教育省にプレゼンテーションをして、最終的には教育省のお墨付きを頂き、フィジーで初めての語学学校の設立することが出来たのです。当時1年目の売上が300万円程度だったんですが、3年ほどで10億円程度の売上までになりました。しかし、2008年のリーマンショックを契機に順調だった会社の経営が大きく変わったんですその当時経営陣が自分を含めて3人いたんですが、経営状態の悪化により3人経営方針がバラバラになり、自分はその会社を離れることになりました。
社会人が自己実現をもっと積極的に出来る場を提供していきたいんです。その1つの手段として留学があったんです。あるアンケートによると4人中1人しか理想の自分になれていそうなんです。裏を返せば、4人中3人は自分の理想の自分ではないんです。それは自分の好きな仕事に就けていないだとか、生活不安定だとか様々な要因があります。 自分の今までしてきた仕事というのは、フィジーの社会にも、日本で留学したかった人々にも、多く喜んでいただけました。社会性と経済性の両立が出来ていたビジネスモデルでした。今日本には42000団体のNPO法人があります。しかし、その半分は経営が上手く行かず、活動をしていないんです。もの凄く高貴な志があるのに、経営知識、経営ノウハウを知らないがために運営が立ちゆかないんです。NPOで活動される方々は管理、経営、マネジメントなどの知識が十分ではないんですね。そのの結果、半数以上のNPOが潰れてしまっているんです。活動をして行くにはお金を得なければならないし、計画も立てなければいけないんですね。
そこに自分の問題意識がありました。じゃあ、NPOの人々とそのような経営の方法を一緒に学び合って行こうと思い立ったのが起業したキッカケです。
その話は、若者の自己実現出来ていない話に繋がってくるのですが、社会貢献実感がないとか、自分の将来の夢がわからないなと言う人々に、社会貢献を通した自己実現をしてもらおうと思いました。多くの人が「ありがとう」と言われる実感を持って生活して欲しいんです。仕事で成功しているという人は、仕事とプライベート分けているというよりかは、仕事自体を楽しんでいるんですね。社会貢献をして行く中で、仕事とは何か?働くとは何か?という問いに答えを見いだしていって欲しいんです。そのような思いから、社会起業大学を立ち上げたんです。
僕個人の理想は、電車の中のシルバーシートを無くすことです。シルバーシートを設定しなければ席を優先しないのはおかしいと思います。目の前におばあちゃんが居たら譲らないのですか?そこは本人の本質的な問題で、目の前の人を助けたいと思うのは、自然な感情だと思います。相手を敬う気持ちや相手を助けたいという感情は人間だれにでもあります。 社会起業と言わなければ良い会社ではないんですか?わざわざなんで「社会」を付けるのか。それはそうじゃない会社があるからなんです。ただ、本来会社は世のため人の為になくてはならない存在です。「誰もが社会起業家になれる」そんな生き方、働き方を世の中に提供して行きたいと思っております。別に起業する必要はないんです、常に働きながら社会貢献実感を得られる生き方、働き方を誰もがして欲しいのです。サラリーマンでもアルバイトでも社会に貢献できていると実感出来たら、それが社会起業なんです。そんな世の中にしていきたいです。
「努力に勝る才能はなし」これは自分が好きな言葉です。要はやり続けることが大切なのです。しかし、やり続けることは、本当に難しくて、いろんな障害があるんですね。その障害を乗り越えていくには努力が必要です。七転び八起きではいけないんです。もっと多く起き上がらないと。転びながらまた何かをつかみ取ることが大切で、単に起き上がっていてはいけないんです。転んだら、それ以上に大きくなれ!そのような言葉を贈りたいと思います。あえて言うなら、「七転び九起き」ですね(笑) それに「でも、だって、だけど」という、この3つの言葉を頭文字をとって3Dと呼んでいます。これらは良く言いがちな言葉だけど、その裏にはネガティブな言葉しか続かないんですね。その3Dを言っているうちは建設的な意見は出てこないんです。3Dを超えて、自分はこういうことをして行くんだと言うことを考え、挑戦して行く事が大切です。